おはようございます。猫山と申します。精神科医です。
言及されているのは以下のページの解説のことかと考えます。
http://togoshicchosho.jp/a07iden.html単刀直入に申し上げて、この記事は間違っています。
2008年にSRLという会社が中心となって統合失調症の遺伝子診断キットを開発し、「統合失調症検査技術の開発に成功」というプレスリリースをしました。恐らく「統合失調症キュア」で取り上げているのはこの検査技術のことではないかと愚考いたします。
http://www.jst.go.jp/pr/info/info531/index.htmlしかしこの検査法は厚生労働省の承認を得ておらず、実臨床にはいまだ応用されるに至っていません。その信頼性においては懐疑的な見方をする研究者、臨床家が大勢です。
なぜならば、統合失調症は単一の遺伝子によって発症が決まるような単純な疾患ではなく、このプレスリリースで述べられている「統合失調症に関連して変動する10種類程度の生物学的マーカーと考えられる遺伝子」が本当に統合失調症のマーカーになるかどうかが証明されていないのです。
もし統合失調症の遺伝子診断が可能になれば、ノーベル医学賞ものとされています。
SRLの研究がそれほどニュースになっていない時点で、それが学術的に高いレベルのものではないことの証明です。
これ以外でも、統合失調症の遺伝子診断として認められている技法はありませんし、当然、統合失調症の遺伝子診断を行っている医療機関もありません。
もしまだ疑問がありましたら、「統合病キュア」に直接お問い合わせになってみられてはいかがでしょうか。
http://togoshicchosho.jp/mail.html以上、確認させていただけますと幸いです。