こんばんは。
精神科医の猫山と申します。かつては老人率が日本一の市の市立病院で神経内科兼任で3年間ほど勤務し、ご高齢の患者様をたくさん診てきた経験があります。
お姉様の言動は、高齢者のうつ病の症状として矛盾するものではありません。
初老期は、心身共にうつ病になりやすい因子が増えてくる時期ですので、元々うつ病の既往があったのであれば、この時期に再発しても不思議ではありません。
高齢者のうつ病の特徴としては、典型的な抑うつ気分よりも、漠然とした不安感や身体的不定愁訴を主症状として訴えられる場合が多いことです。
うつ病はもともと、重症化すると妄想を伴うことがある疾患ですが、高齢者の患者様ではしばしば、「物を盗られた」、「みんなが自分の悪口を言っている」というような妄想を伴うことがあります。
また、不安感・焦燥感が強くて、ささいなきっかけで興奮状態になる患者様もおられ、他の精神疾患と誤診されることも少なくありません。
妄想と、それに基づくと思われる言動については、証拠が残っていますから、ご本人にその真意を正しても問題は無いと思われます。
腫物に触るような対応をする必要はなく、「だから病院に行こう」と誘導されるべきでしょう。現在はまだ取り繕う余裕があっても、治療をしなければ悪化していく可能性はあります。
それでも本人が病院に行きたがらなかったらどうすればよいか、という追加質問をしばしばいただきますが、これに対する魔法の鍵のような方法はありません。ご家族が粘り強く説得するほかないでしょう。
上述のように、高齢者のうつ病では若い人のうつ病とは病像がしばしば異なりますから、もし受診されるのであれば専門の病院がよろしいかと存じます。
日本老年精神医学会認定 こころと認知症を診断できる病院&施設 http://184.73.219.23/rounen/H_sisetsu/read.asp?k=13
以上、ご参考になれば幸いです。