こんばんは。猫山と申します。神経内科医です。
「薬を減らしてから計画的に出産準備を」されるべきでしょう。
てんかん発作自体はコントロールされているということですから、考えなければならないのは、服用されている抗てんかん薬が胎児に及ぼす影響と、仮に出産準備のために抗てんかん薬の減量を行った場合のてんかんの再発リスクということになります。
母体が服用する薬物の胎児への危険性はFDA Pregnancy Category(米国食品医薬品局による薬剤の胎児への危険度分類基準)によって定められています。これは主に、催奇形性に関する評価です。
テグレトール(成分名:カルバマゼピン、CBZ)とセレニカ(成分名:バルプロ酸、VPA)はともに「分類D」に当たりますので、慎重に投与されるべき薬剤ということになります。
************************************
分類A:人の妊娠初期3ヵ月間の対照試験で,始児への危険性は証明されておらず,またその後の妊娠期間でも危険であるという証拠もないもの。
分頼B:動物生殖試験では胎仔への危険性は否定されているが,人妊婦での対照試験は実施されていないもの。あるいは,動物生殖試験で有害な作用(または出生 数の低下)が証明されているが,人での妊娠初期3ヵ月の対照試験では実証されていない,またその後の妊娠期間でも危険てあるという証拠はないもの
分類C:動物生殖試験では,胎仔に催奇形性,胎仔毒性,その他の有害作用があることが証明されており,人での対照試験が実施されていないもの,あるいは, 人,動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分原される薬剤は,潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること
分頴D:人の始児に明らかに危挨であるという証拠があるが,危険であっても,妊婦への使用による利益が容認されるもの(たとえば,生命が危険にさらされてい るとき,または重篤な疾病で安全な薬剤が使用できないとき,あるいは効果がないとき,その薬剤をどうしても使用する必要がある場合)
分類Ⅹ:動物または人での試験で飴児異常が証明されている場合,あるいは人での使用経験上胎児への危険性の証拠がある場合,またはその両方の場合で,この薬剤 を妊婦に使用することは,他のどんな利益よりも明らかに危険性の方が大きいもの。ここに分類される薬剤は,妊婦または妊娠する可能佐のある婦人には禁忌で ある。
Xは禁忌で、それ以外では、Dに近づくほど危険、Aに近づくほど安全と判断されます。
************************************
また、日本てんかん学会が「てんかんを持つ妊娠可能年齢の女性に対する治療ガイドライン」を発表しており、これによるとCBZとVPAは、「特に避けるべき抗てんかん薬の組み合わせ」であるとされています。
http://square.umin.ac.jp/jes/pdf/pregnancyGL.pdfただし、テグレトールとセレニカは、本来は対象となるてんかんのタイプが異なりますから、そもそもあまり併用されることはない抗てんかん薬同士ではあります。
妊娠準備のためには抗てんかん薬の種類や量を調整する必要がありますが、そのためにはてんかんのタイプの特定が必要です。
①「自分のてんかんの種類がはっきりわかりません」とのことですが、これはいかなる理由のためでしょうか?
②相談者様の主治医はてんかん専門医ですか?
まず以上、確認させていただけますと幸いです。
※回答は夜明け以降になるかもしれません。ご了承下さい。
【「評価」「再投稿」「オプトアウト」の使い分けがわからないままこれらの機能を使わないで下さい。回答にご不明点がある場合は、「評価」をせずに返信機 能でご質問下さい。評価は「最終評価」です。マイナス評価を賜った場合には、より有意義に相談を進めていただくために、私はオプトアウトさせていただきます】