成年被後見人(:精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者)、被保佐人等(:精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者)等制限行為能力者の行為は、取り消すことができます(民9条、13条)。
また意思無能力(意思はあり行為とは認められるが、正常な判断ができない状態にあること)の状態にある者を、意思無能力者といいます。事理を弁識する能力を欠く常況にある精神障害者などを指します。
被後見人とされるには家庭裁判所の審判が必要であり、審判を受けていないと、制限行為能力者制度の保護を受け得ないことになってしまいます。
そこで、意思無能力による無効(相対的無効 表意者からの無効主張を認める)の理論があります。法的拘束力を根拠づけるに必要十分が判断能力に裏づけられた意思がないことから、意思無能力の状態でなされた契約を無効とする理論です(大判明38.5.11)。
無効主張が認められる場合は、違約金云々はその前提を欠く主張になります。
ただ先周りしていうならば、兄弟が実印を持参して押印した場合(→こんなことは絶対ありえない、してはいけない行為です)は、相手方は無効行為の追認、表見代理、信義則違反(矛盾主張の禁止)の主張をしてきますでしょう。