弁護士のエイティです。ご指名ありがとうございます。
汚水が溢れたトイレというのは、ご相談者様が借りている専用部分ですよね。
そうすると、溢水の原因が長年蓄積した汚物とのことであり、ご相談者様の用法違反ではないわけですから、修理費は本来、全額を賃貸人が負担すべきものです。
そのため、本来は賃借人であるご相談者様が負担する必要のない費用でした。
これを任意に支払ってしまった場合には、法律の規定とは別個に、本来なすべき負担以上の負担を自らの意思でしたことになり、返還を求めることはできない、という結論になる可能性があります。
ただ、当時の事情から、賃貸借契約をそのまま続けるためには賃貸人の要求に応じざるを得なかったものとして、自由な意思で支払いに応じたものではない、と主張して返還を求めることも検討してよいと思います。
実際に訴訟等になった場合に認められるかどうかは、ご事情次第のところがありますが、まったく成り立たない主張ではありませんので、請求するだけしてみるのもよろしいかと存じます。
汚水処理費用については、貸室の使用を再開するために必要な費用ですから、賃貸人に対する必要費償還請求が可能と考えます。
配管工事による業務上の損害については、貸主の賃貸借契約上の「貸す義務」の債務不履行と言えますので、この債務不履行による損害賠償請求が可能です。ただし、工事によるキャンセルであることが裏付けられる客観的な証拠が必要です。
なお、営業用の貸室であることから商行為であるとして、事故から5年で時効にかかりますので、この点はご注意下さい(上記必要費償還請求は、退去後1年経過するまで請求可能です)。
ご参考になれば幸いです。