その出版物の保護期間が切れている場合には、許諾なく利用できます。
著作権の保護期間はTPP協定に基づき、2018年12月30日に改正された著作権法が発行されましたので、旧法における著作者の死後50年から70年に延長されました。
そのため、1967年12月31日24時までに亡くなられた方の著作権につきましては旧法の死後50年が適用され、その著作物はすでにパブリックドメインとなっていますが、1968年1月1日0時以降に亡くなられた方の著作権につきましては死後70年まで延長されますので、保護期間が満了していないこととなります。
また、無名または変名の著作物や団体名義の著作物につきましては、死後ではなく公表後50年(旧法)ないし70年(改正法)となります。
なお、外国の著作物であっても、日本におきましては日本国の著作権法が適用されて保護されます。(同法6条3号)。
我が国の著作権法58条において「相互主義」を規定していますが、これは外国の著作物についてはその国の保護期間が日本の保護期間より短いときは日本でもその著作物をその短い期間しか保護しないとこを意味します。
ただし、欧米の保護期間は死後70年ですので、日本でも欧米の著作物は70年(旧法が適用される場合は50年)の保護期間となります(ただし、各国の著作権法の保護期間の規定が改正されている場合はこの限りでありません)。
さらに、我が国と第二次大戦をした外国の著作物に対しまして、著作権法とは別に戦時加算というものがされます。
これは、第二次世界大戦中、わが国において連合国およびその国民の著作権が実質上保護されていなかったことを理由として、わが国は連合国および連合国民の著作権について通常の保護期間に戦時中の期間を加算する義務を負うというものです。いわゆる制裁規定といったものです。
戦時加算の対象となるのは、昭和16年12月7日に「ベルヌ条約」および「日米間著作権保護二関スル条約」により保護義務を負っていた連合国または連合国民の著作権に限定されるため、平和条約を批准した45か国のうち16か国が対象国とされています。
具体的には、アメリカ、イギリス、フランスなどは1952年4月28日に平和条約が発効していますので、それらの国の国民が戦争開始前から有していた著作権については、本来の保護期間である著作者の死後70年または公表後70年に、日本が参戦した1941年12月8日から平和条約発効前日までの3,794日(約10年5ヵ月)が加算されます。
また、戦争期間中(アメリカであれば、1941年12月8日から1952年4月28日)に著作物が完成し著作権が生じたものにつきましては、その著作権が生じた日から平和条約発行の日である1952年4月28日までの期間が、加算されることとなります。
少し面倒ですがこのような期間が過ぎているものは、パブリックドメインとなっていますので、利用しても著作権の問題は生じません。
ただし、保護期間が過ぎているものであっても、著作者の意に反するような改変をしますと著作者人格権(同一性保持権 20条)と抵触することになります(同法60条)。なお、意に反するか否かはケースバイケースで判断されることとなりますが、少なくとも中傷したり、名誉を傷つけたり、パロディ的なものとなったりしますと意に反する可能性が高まろうかと思われます。
保護期間が切れていない場合には、創作したものから元の出版物を直接感得できるようであれば翻案となり、翻案権と抵触することになります(著作権法27条、28条)。
翻案かどうかは難しいのでこの場で具体的に判断することはできません。ケースバイケースとなります。
そのため、元の著作物を直接感得されないくらい改変の度合いを高めて創作していただく必要があろうかと思われます。