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カテゴリ: 特許・商標・著作権
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大学で非常勤講師としてオンライン講座を担当することとなり、パワポで講義資料(30人前後の学生向けに配布も想定)を作成中で

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大学で非常勤講師としてオンライン講座を担当することとなり、パワポで講義資料(30人前後の学生向けに配布も想定)を作成中です。著書文献やネット上のイラストや写真類を引用する際の注意点をご教示願います。因みに、官公庁HPからの引用は、問題ないと考えております。
JA: 了解いたしました。お住まいの都道府県を教えていただけますか?
Customer: 早速のご返信、ありがとうございます。私は埼玉県在住です。尚、大学の所在地は、福島県です。
JA: ありがとうございます。上記の他に、法律の専門家に事前に伝えておきたいことはありますか?
Customer: 万一、引用が難しい場合、パワポに格納されたイラストや無料サイトから引用して、独自のオリジナルを作成してみようと考えます。但し、一見すれば異なるイラストですが、基本的な流れや枠組みが同じと見られても仕方ない場合もあると思いますが、如何でしょうか?

知的財産権を専門とする者です。

もう少しお待ちください。

著作権法上の引用に該当すれば、著作者の許諾を得ないで利用することができます。

この引用は著作権法32条1項に次のように規定されています。

「公表された著作物であって、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」。

ここでいう「公正な慣行に合致し」及び「引用の目的上正当な範囲内」の内容は、実際には著作物(文章、写真、イラスト、動画など)の性質、引用の目的、必要性、量、内容、方法等を考慮して、社会通念をもってケース・バイ・ケースに判断されているようです。旧著作権法の事案ですが、パロディー事件の上告審判決では、以下の要件をすべて満たす必要があるとされています。

①公表された著作物であること

②明瞭性→引用する側の著作物と、引用される側の著作物との区別が明瞭であること。

③付従性→引用する側の著作物が主体で、引用される側の著作物が従たる存在であること。要するに引用される側の著作物が引用する側の著作物の中に吸収されており、引用される側の著作物がメインであるような内容になっていないということです。

④必要最小限→引用の範囲が引用の目的上必要最小限の範囲であること。例えば、引用される側の著作物が、必要以上にたくさん引用されているような場合には、引用の要件を満たさないと判断される可能性がでてきます。

⑤引用の目的が報道、批評、研究等であることです。報道、批評、研究等の目的でないと判断されるときは、正当引用とは認められないこととなります。ただし、これらは例示であって、これ以外の目的であっても、その著作物を引用せざるを得ないような必然性があれば、この要件を満たすものと考えられます。

また、元の著作物を引用するにあたりましては、出所を明示する必要があります(著作権法48条1項1号)。例えば、著作者名(氏名、雅号、サイン、略称など)、会社名やURLなどの明示が必要となります。

また、引用される著作物を改変できませんが、翻訳は可能です(同法47条の6第1項2号)。

これらすべての要件を満たす場合には、著作権者の承諾を得ずに利用できると旧法下の上告審判決ではされており、実務上もこの要件を重視しています。この「利用」は複製のみならず、本件で予定しているオンライン講座などの公衆送信(放送、ネット配信など)など利用方法が限定されません。

なお、「絵画鑑定証書事件」~知高判平22.10.13では、いわゆる「総合考慮説」といわれる法理が適用され、裁判では、「引用としての利用に当たるか否かの判断においては、他人の著作物を利用する側の利用の目的のほか、その方法や態様、利用される著作物の種類や性質、当該著作物の著作権者に及ぼす影響の有無・程度などが総合考慮されなければならない。」と判示されました。

この判例は、先に記載した引用の具体的な要件に合致するか否かで判断せず、諸般の事情を総合考慮して判断すると判示されているため、結論の予測可能性が低く、実務家としては対応に苦慮するため、引用に該当するか否かの判断においてあまり利用されていないものと思われます。

そのため、本件では、この総合考慮説ではなく、最初に提示した方法で引用に該当するか否かの判断をする方が判断しやすいものと思われます。

そうしますと、著書文献やネット上のイラストや写真類は公表されているものですので、これらを上記の要件に該当するように利用すればよろしいかと思われます。

続きまして、「官公庁HPからの引用」についてですが、著作権法13条2号には以下のように規定されています。

「(権利の目的とならない著作物)

第13条 次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない。

一 省略

二 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人・・・又は地方独立行政法人・・・が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの

三、四 省略」

すなわち、国や地方公共団体等が発する告示、訓令、通達等は、著作物であっても著作権の目的から外されていますので、著作権は生じていません。そのため、これらは自由に利用できます。

また、同法32条2項には次のように規定されています。

「(引用)

第32条2項

国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。」

すなわち、以下の要件をすべて満たすことにより、著作者の許諾なく利用でいることとなります。

① 一般に周知させることを目的とした資料であること

② 行政機関等の名義の下に公表した資料であること

③ 説明の材料として転載すること

④ 新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載すること

⑤ 転載を禁止する旨の表示がないこと

なお、「出所の明示」が必要となります(同法48条1項1号・3号)。

具体的には政府が発行する白書、新聞発表資料、調査統計報告書、広報紙誌などが該当し、一般の学術文献と同じ性格の資料は該当しないとされています。

また、国等の名義で公表が予定されている転載禁止表示のない著作物である必要があります。

そして可能な行為は、「説明の材料として」、「刊行物に転載すること」です。「説明の材料として」というのは、32条1項の引用のような主従性は要求されず、ある程度の説明文を付けた上で説明文より大量の広報資料等を転載してもよいとされています。また、「刊行物」は新聞、雑誌のような定期刊行物である必要はないとされていますので、「公衆に対し頒布により公開することを目的として複製された文書、図面、写真等の情報伝達媒体(パワポ)」も含まれるものと考えます。

なお、1項と同様に翻訳して転載することも可能です(同法47条の6第1項2号)。

続きまして、「万一、引用が難しい場合、パワポに格納されたイラストや無料サイトから引用して、独自のオリジナルを作成してみようと考えます。但し、一見すれば異なるイラストですが、・・・」につきましてですが、著作権法には翻案権という権利があります。以下のように規定されています。

「(翻訳権、翻案権等)

第27条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。」

この翻案とは、既に存在する著作物(文章、イラスト、画像など)に修正増減を施し、新たに創作性のある表現を付加しても、その新たな著作物が、元の著作物(原著作物)に依拠し、かつ、原著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができる場合をいいます。

そして、そのように翻案されたのであれば、新たな著作物は原著作物に対する二次的著作物となります。そして、原著作物の著作権(翻案権)に抵触することになります。

すこし、ややこしい表現で理解し難いかもしれませんが、大雑把に言いますと、そっくりといえるほどには原著作物と近似していないが、全く別の著作物ともいえない著作物。あるいは、そっくりといえるほどではないが、それでもなお、二次的著作物から原著作物を直接想起させるほどに似ているといったようなものです。

実際には、どのような行為が翻案に該当するかは、著作物の種類や表現態様などによって異なり、確定的な基準は存在せず、ケース・バイ・ケースで判断せざるをえません。

そのため、原著作物(文章やイラストなど)の一部を改変した新たな著作物から原著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができる場合には、この翻案となり、原著作物の翻案権と抵触することになろうかと思われます。

一方、改変の度合いが進み、新たな著作物から原著作物の本質的特徴を直接感得することができず、原著作物とは全く別の著作物となった場合には、原著作物の著作権とは抵触しないこととなります。

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