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カテゴリ: 特許・商標・著作権
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派遣社員のとき、本来の特定業務と異なる業務で数ページ分の原案を執筆・編集しました。別の仕事で身に付けた専門知識と経験を生

ユーザー評価:

派遣社員のとき、本来の特定業務と異なる業務で数ページ分の原案を執筆・編集しました。別の仕事で身に付けた専門知識と経験を生かした内容で、「○○の科目のグループワークや演習を考えて」という指示は受けていますが、内容面については一切指示は受けていません。派遣先の出版社の出版物に使われ、たまたまそれが売りになって売上向上に貢献したのですが、そうしたことも一切知らされず、正社員の編集者だけが表彰されました。私としては、対価が払われていないと感じています。その後、派遣法違反ということで直接雇用になりましたが、講師と兼務ということを理由にアルバイトにされており、デート印や名刺もいただけず、派遣社員以下の扱いを受けています。職務著作とするのではあれば、原案を考える仕事の時期にさかのぼって契約社員や嘱託社員にしていただき、差額を支払っていただきたいという交渉を会社に持ちかけるのは可能でしょうか?

知的財産権を専門としている者です。

ご質問内容を伺いますと、アルバイトという雇用形態であるにもかかわらず「事業計画で自分の部署の主たる仕事にも複数関わり、提案書の本体(裏表一枚の提案書は正社員しか書かない会社ですので)を複数提出しています。 ・ときどき外国の出版社・新聞社・博物館等に版権申請をしていますが、ここ数ヶ月は毎日、外国の企業への版権申請をしています」というように正社員と同様の仕事に従事しているようですので、会社は質問者様を低い地位においておき、質問者様の業務能力を利用しているようにも感じられます。

そのため、何とかして質問者様のお力になってあげたと思いますが、この件でポイントとなりますのは、質問者様が作成した原案が「職務著作」に該当するかどうかということになろうかと思われます。

仮に職務著作とならずに、その原案の著作者が質問者様ということになれば、質問者様は、自己の著作権に基づいて、会社に対して無断でその原稿を出版した行為に対して、複製権(著作権法21条)や譲渡権(同法26条の2第1項)の侵害であることを理由として、出版物の差止め(同法112条)や損害賠償請求(民法709条)により損害額を受け取ることも可能ですし、場合によっては、契約社員や嘱託社員とするような交渉も可能かと思われます。

そこで、質問者様が作成された原案が職務著作となるかどうかについての検討が必要になろうかと思われます。職務著作となるには以下の要件すべてを満たす必要があります。

(1)法人その他の使用者(法人等)の発意に基づくこと
(2)法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物であること
(3)その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものであること
(4)契約・勤務規則等に別段の定めのないこと

まず、「(1)法人その他の使用者の発意に基づくこと」につきましては、使用者が「こういうものを創作しなさい」と命じた場合に限らず、雇用契約にたつ従業者が勤務時間内に自発的に創作したものであっても、「法人等の業務と関連を有し且つ使用者の意図に反しない」場合はこれに該当します​。ご質問には「別の仕事で身に付けた専門知識と経験を生かした内容で、『○○の科目のグループワークや演習を考えて』という指示は受けていますが、内容面については一切指示は受けていません。」とありますが、この場合であっても、「法人等の業務と関連を有し且つ使用者の意図に反しない」のであれば、法人等の発意に基づくものと認められる可能性があるものと推測されます。

ただし、どのような場合に「発意」が肯定されるのかは、さまざまな説があり、もっと厳しく見る見解もありますので、ここは裁判での争点になるところではないかと推察されます。例えば、会社の「発意」を裏づける証拠・資料がないと、ある社員がイニシアチブを取って発案し、かつ自宅などで制作を行なっており、これを会社が使うといったような場合には、後々問題となってきます。また、社内文書やメールなどで、その原案の作成について、会社の職務として行っていること、上司や会社が指示・承認したこと、作成について会社にメールなどで適宜報告をさせるようにする、その他において「発意」を立証できる資料を確保できなければ、会社は発意を立証できず、職務著作とはならない可能性があります。

したがいまして、質問者様が、会社と交渉する場合には、このような発意の立証するための証拠がないことや、この「発意」の要件を満たしていないことを主張して、この原案が職務著作ではないことを認めさせることが必要ではないかと思われます。会社が認めない場合には、事前に法律家と相談したうえで、裁判で争うといった方法での解決もあろうかと思われます。

一方、「(2)法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物であること」の要件につきましては、RGBアドベンチャー事件の最高裁判決では、法人と著作者の関係を形式的にみるのではなく実質的にみて、「法人等の指揮監督下において労務を提供するという実態にあり、法人等がその者に対して支払う金銭が労務提供の対価であると評価できるかどうかを、業務態様、指揮監督の有無、対価の額及び支払い方法等に関する具体的事情を総合的に考慮して、判断すべきもの」と判示しており、著作活動を行っていない法人等に著作者人格権及び著作権が帰属するのは、著作者が法人等から対価を得て、法人等の指揮の下に、法人等のために著作を行ったという実態がある場合となります。労働者派遣事業法に基づく派遣労働者は、派遣元と雇傭関係にたち派遣先とは雇用関係にたちませんが、派遣先から具体的な指揮命令をうけて派遣先のために労務を提供し、報酬の実質的提供者も派遣先ということになりますから「業務に従事する者」に含まれると考えるのが多数説となっています。

また、「職務上作成する」とは、法人等に対する職務の履行としてないしはその関連で作成するという意味となります。したがいまして休日に自宅で作成した場合でも職務を自宅に持ち帰ったものであれば本条に該当しますが、勤務時間内であっても全くプライベートに作成した場合(美術会社の営業マンが勤務時間内に作詞した場合)は該当しないこととなります。本件では、質問者様の「本来の特定業務とはことなる業務で原案を作成した」というケースですが、それが本来の職務と関連した職務で作成したものであると判断される場合には、「職務上作成する」という要件を満たすことになるものと推測されます。

つづきまして「(3)その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものであること」につきましては、発行者として法人等が表示されるのでは足りず著作者として法人等が表示される必要があります。また現実に法人等の著作名義で公表されている必要はなく、公表が予定されていればよく、公表が予定されていなくてもかりに公表するとすれば当然法人名義で公表する性格のものであればよいとされています。本件ではすでに出版社が出版(公表)しているようですので、それに著作者としてその出版社名が記載されていれば、本要件を満たしますが、単に発行者としてのみその出版社名が記載されている場合には本要件を満たさず、職務著作にはならいということになろうかと思われます。

また、「(4)契約・勤務規則等に別段の定めのないこと」につきましては、以上の(1)~(3)の要件を全て充足していても、法人等との間の契約、勤務規則等で実際の創作者を著作者とすると定められていればその定めに従うことになります。法人等と創作者である質問者様との間で個別に取り決めがあれば、それを優先するとこになります。ご質問ないようからはこのような取り決めがあることはうかがえませんので、この要件では職務著作を否定することは難しいのではないかと推察されます。

したがいまして、主に(1)の「法人等の発意」がないことを理由に職務著作でないことを争うことになるのではないかと推測されます。また、発行に際して著作者を出版社名としていない場合には、(3)の「その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものであること」でも職務著作を否定することができる可能性はあるものと推測されます。

質問者: 返答済み 6 ヶ月 前.
19969;寧に御回答いただき、どうも有り難うございます。
この出版社には15年以上勤務しており、2002年8月から2012年3月までは派遣社員、同年4月から直接雇用のアルバイトになりました。
(2)についてです。以前、専門26業務のうち、翻訳の派遣社員として雇われておりましたので、私が翻訳したものについては会社に著作権があるのはわかります。ですが、「○○の科目のグループワークや演習を考えてくれ」というのは、私が○○の科目で大学院に行き、大学で教えているからできる仕事です。○○の科目の外国教科書の翻訳をしてはおりましたが、業務の半分がアイディアを出すよう指示されていましたので、まず、当時の派遣法に違反していると思います。翻訳が90%未満になった時点で、契約社員にしていれば、私が考案して執筆したページを編集者が利用することは全く問題ないと思いますし、職務著作と言えると思います。その後、翻訳以外の業務が増えており、とくに昨年からは勤務日数・時間数が増えたため、会社の事業計画で私の部署の複数の業務に関わるようになっています。にもかかわらず、待遇が改善されていません。私としては、自分の考案したものが出版物に使われること自体は嬉しく思っていますが、対価がいただけていないことが不満です。著作権というより、旧派遣法に関わる問題かもしれませんが、当時に遡って契約社員の待遇を会社に要請できないでしょうか?

事情は分かりました。ただし、当方は知的財産権を専門としている者ですので、派遣法については詳しくありませんので断定的なことをご説明することはできませんが、当時に遡って契約社員の待遇を会社に要請するには、質問者様が損害賠償請求をして勝訴した場合には、過去に遡って金銭賠償を受け取るということは可能であると思われます。その場合には、会社の行為に違法性があることが必要となりますので、当初は翻訳という業務内容で雇用され、対価もその翻訳という業務に対する対価を支払うという契約であったものを、期間が経つに従ってその翻訳という業務範囲を超えた範囲まで質問者様の業務が拡大したにも関わらず、支払われる対価は従前の翻訳業務としての対価しか支払われていないということですので、その点に関して違法ないし債務不履行となる可能性があるものと推測されます。

また、先述申しましたように、その出版物が職務著作でない場合には、会社の行為は質問者様の有する著作権の侵害ということになりますので、その点からも民事や場合によっては刑事訴訟(著作権法119条等)の対象ともなりますので、それらを交渉材料として使うという選択もあろうかと思われます。

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