特許・商標・著作権
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作詞者、作曲者などの著作者には著作権があります。そして、演奏などをされた実演家の方に対しては著作隣接権が認められています。
しかし、著作者の権利と実演家の権利には大きく違いがあり、著者者の場合は継続的な権利として、複製、利用などについて、その都度使用料を求めることができますが、実演家の方については、ワンチャンス主義といいまして、収録時の契約がすべてという形になっています。したがって、収録の際に、利用の都度いくらというような契約を締結していない限りは、継続的な使用料を請求する権利は、残念ながら認められておらず、発売について、同意や拒絶する権利も(契約上定めていない限りは)ありません。
・そもそも著作権や著作隣接権では、氏名表示権も認められており、この表示権の中には、実名ではなく芸名での表記を求めたり、あるいは匿名を求める権利も含まれていますが、基本的には私が作者だと主張したいであろうというのが前提としてあり、プライバシーを考慮した法律体系にはなっておらず、むしろ、やむをえない事情がない限りは、きちんと表示しなさいと定められています。
・実演家の氏名表示権が認められたのは2002年からであり、法改正以前の作品であることから、氏名表示権を根拠として、表示の削除を主張することは残念ながら難しいと考えられます。
しかし、基本的には表示義務や慣習があること、表示によって権利者に敬意を表することを目的として表示しているわけですから、きちんと要望を伝えれば対応してもらえる可能性も十分にあります。氏名の表示を望まれないということであれば、削除を求めたり、芸名を考えて、そちらでの表記をお願いする余地はあるものと考えられます。