先ほどの者です。
既存の曲を打ち込んだり、生演奏したものを録音する行為は、著作権法上の「複製」に該当します(著作権法2条1項15号)。
「複製とは、 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい・・・」(同法2条1項15号)。
すなわち、本件における行為は著作物である楽曲を録音したり、演奏情報をパソコンに記録したりして有形的に再製しているため、この「複製」となります。
そして、著作権者は、著作権である複製権を有しています(同法21条)。
「著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。」(同法21条)。
そのため、著作物である楽曲を無断で複製しますと、この複製権と抵触することになってしまいます。
一方、私的使用を目的として複製する場合には、著作権の侵害にはならないのですが、結婚式場という公の場で録音した楽曲を再生することを目的とした録音等、すなわち複製は私的使用目的の複製とはなりません。
「(私的使用のための複製)
第三十条
著作権の目的となっている著作物・・・は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。」
また、著作権者は著作権である演奏権も有しています(同法22条)。
「(上演権及び演奏権)
第二十二条
著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。」
そして、この「演奏」には、録音されたものを再生することも含まれます(同法2条7項)。
「この法律において、・・・『演奏』・・・には、著作物の・・・演奏・・・で録音され、又は録画されたものを再生すること・・・を含むものとする。」(同法2条7項)
したがいまして、録音したものを結婚式場で再生しますと、この演奏権と抵触することになってしまいます。
一方、営利を目的としない演奏の場合には、著作権の侵害とはなりません(同法38条1項)。
「(営利を目的としない上演等)
第三十八条
公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に・・・演奏・・・することができる。ただし、当該・・・演奏・・・について実演家・・・に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。」
しかし、本件のように結婚式場で演奏する場合には、この非営利目的の演奏には該当しないことになります。
したがいまして、JASRACなどの音楽著作権管理団体の許可を得る必要があります。
アイサムを利用する場合は、アイサムが代行して著作権管理団体(一般社団法人日本音楽著作権協会=JASRAC、株式会社ジャパン・ライツ・クリアランス=JRC、株式会社イーライセンス=e-License等)とCD楽曲を利用する場合には日本レコード協会への利用申請、及び著作権・著作隣接権使用料を支払うことになりますので、質問者様がアイサムを利用する場合であっても、料金は発生することになります。