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カテゴリ: 特許・商標・著作権
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1954年に公開された映画「ゴジラ」(東宝株式会社)のポスター(http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Gojira_1954_Japanes

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1954年に公開された映画「ゴジラ」(東宝株式会社)のポスター(http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Gojira_1954_Japanese_poster.jpg?uselang=ja)の著作権は、公開後50年以上経っているので著作権が切れているようです。このポスターの写真画像をそのまま営利目的のマウスパッドやマグカップに流用しても問題ありませんか? 東宝の商標権などに引っかかりませんか?
知的財産権を専門とする者です。
映画のポスターをご利用するに際しまして考慮すべき権利としましては、著作権と商標権があります。
そのため、以下に著作権と商標権に分けてご説明いたします。
1.著作権
著作物である「ゴジラのポスター」の著作権の保護期間が終了していれば、それを改変などせず、そのままの状態での利用であれば、問題は生じません(著作権の保護期間が終了していても、著作者人格権(公表権、氏名表示権、同一性保持権)は存続しますので、著作物の改変などをしますと、著作者人格権のうちの同一性保持権に抵触します(著作権法20条))。
そこで、著作権の保護期間は、①著作権者がポスターの作成者である場合は、その作成者の死後50年までとなります(著作権法51条)。一方、②著作権者が法人その他の団体であれば著作物の公表後50年までとなります(53条)。
そのため、ゴジラのポスターの著作権者が、実際にそのポスターを作成した者に帰属している場合には、その作成者の死後50年まで著作権が存続しますので、現時点でも著作権が存続している可能性もあります。その場合には、ポスターの利用に際しては、その著作権者の許諾が必要となります。
一方、ゴジラのポスターの作成者から、法人である東宝株式会社へ著作権が譲渡されている場合には、その著作権の存続期間は公表後50年ということになりますので、1954年公開ということですと、すでに公表後50年が経過していますので、その利用に際しては、許諾を必要とはしません。
ここで、ポスターの著作権が実際の作成者(個人)ではなく、法人たる東宝株式会社が有することとなる場合とは、作成者から東宝へ著作権が譲渡される場合、それから、法人著作(同法15条)となる場合です。
「法人著作」とは、法人の発意に基づき、その法人の従業者が、職務上作成した著作物であって、その法人の著作の名義で公表するものなどの場合に、原始的にその法人に著作権が生じるというものです。
映画のポスターにつきましては、法人著作である可能性が高いのではないかと推測されますので、おそらく法人たる東宝株式会社が著作権者であると思われます。そのため、すでに公表後50年が経過していますので、著作権の保護期間が終了していると予想されます。
しかし、あくまでも推測の域を出ませんので、東宝に著作権の存在を確認するのがベストかと思われます。
2.商標権
ポスターの利用に関して商標権の観点から問題となるのは、ポスターそのものというよりも、ポスター内に記載されている「東宝」「東宝株式会社」の名称や「東宝のロゴ」、「ゴジラ」や「GODZILLA」などの名称についての利用ということになります。つまり、絵画的要素の強いゴジラのポスター自体について商標登録をすることはあまり考えられないということです。
もちろん、ポスターも商標の構成要件を満たせば、商標として出願し、審査に合格すれば、商標登録を受けられるのですが、通常、商標は、出所表示機能、品質表示機能という役割を担っていることからすれば、絵画的なポスターよりも、法人の名称やロゴについて商標権を取得するのが一般的だからです。
そこで、商標権の侵害が成立するためには、「その指定商品もしくは指定役務またはこれらと類似する商品もしくは役務について、登録商標またはその類似商標を使用する場合」です(商標法2条3項、25条、37条等)。
そのため、商標権がどの指定商品や指定役務について登録を受けているかを調べ、その指定商品や指定役務と同一または類似のいずれでもない「非類似」の商品や役務に「東宝」等の名称やロゴを使用する場合には、商標権の侵害となりません。
おそらく、登録商標として「東宝」「東宝株式会社」などの名称、「東宝のロゴ」、「ゴジラ」「GODZILLA」などの名称が考えられ、指定役務としましては、「第41類 映画、演芸、演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営 映画の上映、制作又は配給 演芸の上演 演劇の演出又は上演 音楽の演奏 放送番組の制作」が考えられます。
その他の商標や指定役務(場合によっては商品)についても、登録している可能性がありますので、使用する前には、商標権の調査をすることをお薦めします。
また、商標権の存続期間は登録後10年までです(商標法19条1項)が、更新登録の申請をし続けることによって半永久的に存続しつづけます(同法19条2項)。
反対に更新登録の申請をしていなければ存続期間は満了していることになります。
そのため、商標権の調査は、特許庁が無償で提供している電子図書館(IPDL)を利用することで実施できます。インターネットから特許庁のホームページにアクセスしますと、第1ページに電子図書館(IPDL)へのアクセス表示が現れます。
ただし、初めてご利用される場合は、検索漏れなどを生じる場合もありますので、できれば特許事務所に依頼して調査してもらった方が確実です。調査料金は数千~数万程度だと思われます。
仮にマウスパッドやマグカップについて、商標権が存在している場合であっても、質問者様のポスターの写真画像の使用が法上の「使用」に該当しない態様である場合には、商標権の侵害にならない、ということもありえます。
この判断は難しいので断定しかねますが、形式的には、ポスターの画像をマウスパッドやマグカップに転写するということは、そのポスターに記載されている「東宝」等の登録商標の使用ということになります(指定商品として、マウスパッドやマグカップについて登録を受けている場合)(同法2条3項)。
しかし、形式的な登録商標の使用であっても、それが実質的な登録商標の使用でなければ、商標権を侵害しないということになります。
少し専門的で難しいのですが、商標とは先にも少し述べましたが、自他商品等識別機能、出所識別機能、品質保証機能、広告宣伝機能の各機能を発揮するような態様で用いる場合にはじめて商標の機能が発揮されるわけですので、そのような態様の場合のみ実質的な商標の「使用」ということになり、商標権の侵害となりますが、そのような諸機能を発揮しないような態様で商標を使用する限りは、単なる形式的な商標の使用に過ぎないので、商標権の侵害にならないということです。
この判断は難しいので、本件の場合にどうかと問われますと、断定はできません。この判断も含めて特許事務所に調査依頼してみるが良いかと思われます。
特許事務所の選択には、日本弁理士会のサイトからできます。また、千葉県であれば、県の商工会議所で紹介してくれるかもしれません。
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