昨日、回答しました弁理士です。
早々、新たなご質問をしていただき、ありがとうございます。
素材として使用なさるのが「写真」ということですが、写真の著作権は、原則として、その写真を撮影した者に発生します(著作権法2条1項2号)。
著作権法2条1項2号 著作者とは「著作物を創作する者をいう。」と規定されています。
生産者さんの顔写真を撮影した者がその写真の著作権者となりますので、その写真をご使用になる場合は、写真に写っている生産者さんの許諾を得るというよりも、著作権者である撮影者の許諾を得る必要があります。
一方、写真は著作権法上の「著作物」となり得るものとして例示されています(同法10条1項8号)。
しかし、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」(同法2条1項1号)と規定されています。
すなわち「創作性」のある写真が著作物となるのであって、創作性のない写真は著作物とならず、著作権は発生しません。
では、写真について具体的にどのような場合に「創作性」があるものとなるかは、
固定式監視カメラで撮影した写真、自動証明写真、プリクラ、絵画の忠実な写真などについては、創作性が認められないとしてその著作物性が否定されます。
写真につきましては、被写体の組合せ・配置、構図・カメラアングル、光線・陰影、背景等に独自性が表れていなければ著作物として認められません。
生産者さん撮影に何ら創意工夫がされていないような写真であれば創作性がなく著作物とはならないため、そのような写真であれば許諾を得ずに使用してもそもそも著作権は発生していないのですから問題は生じません。
一方、顔写真などの肖像につきましては、著作権のみならず、肖像権が絡んできます。
本件で申しますと、プライバシー権のことですが、 この権利は、強いて法律上の根拠を挙げるとすれば、憲法13条の幸福追求権に含まれるものとして、1964年の「宴のあと事件」以来、プライバシー権が社会通念となり、個人の肖像もその対象と考えられるようになったという経緯でできた権利です。
そのため、著作権のように自己の顔や肖像に複製権があるというようなものではなく、その肖像写真の公開によって、秘匿すべき私生活(プライバシー)を暴露されないという権利です。
そして、その延長線上に、通常のマナーに反する方法で撮影されたり、描かれたりすることを拒否する権利も含まれていると考えられています。
したがいまして、自分の家の中にいるところを盗み撮りされたり、公開の場でも付きまとって撮られたり、誰が見ても不名誉と思われるような私生活上の写真を公開されるのを拒否する権利といえますが、本件では、店主は「本人に許可を得た」と言っているのですから、本人が掲載れることを承諾している以上、プライバシー権の問題は発生しないはずです。
ただし、その写真が生産者さんの不名誉となる(変にパロディ化するといった)ような用い方をしないように留意してください。そのうような使われ方に対しては使用許可をしていないということにもなりかねませんので。
また、店主の言がイマイチ怪しいと思われるのでしたら、プライバシー権の問題で後々問題が生じる可能性があることを告げて、店主に今一度、「本人の許可を得た」かどうかを確認することも必要かもしれません。
この点に気をつければ、その写真を使用することに関してご心配はないと思われます。
なお、自治体の写真に関しましても、著作権は原則として、写真を撮影した者にありますので、本来であれば著作権者である撮影者に許諾を得る必要があります。
しかし、著作権を自治体が撮影者から譲り受けた場合(同法61条)、あるいは、自治体の職務上において撮影された写真であれば、一定j要件の下、職務著作となり(同法15条)、著作権は当初から自治体に発生します。
当方の想像ですが、自治体運営のwebサイトで用いられている画像ですので、その写真は職務著作ないし著作権を譲り受けて自治体に著作権が生じているのではないかと推測されます。
そうであるとすれば、自治体が使用の許可を出している以上、著作権の問題は生じないのではないかと推測されます。