雇用・労働カテゴリ担当の特定社会保険労務士です。質問をご投稿いただき、誠にありがとうございます。
労働基準法91条により、「減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」と定められています。5分の遅刻で半日タダ働きになるのは労働基準法違反です。
40時間以上はタダ働きになるのも賃金未払いになり労働基準法違反です。その他、割増賃金の支払いがないのも労働基準法違反です。
労働基準法違反は労働基準監督署に申告することができます。また、未払い分は退職していても過去2年分をさかのぼって請求が可能です。
労働基準監督署は労働基準法や労働安全衛生法などの違反を改善指導するのが業務の一つです。労働基準監督署の労働基準監督官には会社や工場などを臨検・資料の提出を求める権限や、特別司法警察職員としての権限があります
妊娠をしたら退職させるのはマタハラとなります。この件については労働局にも相談することができます。もし、妊娠を理由に解雇したら不当解雇です。解雇撤回や慰謝料の請求が可能です。もし、解雇はしていないけれども退職を無理にさせるようなことがあれば退職強要になる可能性もあります。退職強要となれば慰謝料請求が可能です。
解決の方法としては訴訟がありますが、それ以外にも次の労働局のあっせんや労働審判という方法もあります。
●労働局のあっせん
労働局の紛争調整委員会による「あっせん」とは、相対立する個々の労働者と使用者との間に
弁護士、大学教授などの学識経験者である第三者が入り、当事者双方の事情を聴取、整理、相互の誤解を解くなどして、
当事者双方の話し合いによる紛争の解決を目指す制度です。
都道府県に必ず1つあります。
●あっせんのメリット
①非公開
②手続きが裁判ほど難しくない
②迅速な解決が期待できる
③本人が手続きすれば無料(特定社会保険労務士に代理を依頼すれば費用発生)
●あっせんのデメリット
①強制力がない(相手側があっせんの参加を拒否したり、参加しても和解案に応じる義務がない)
●労働審判とは
労働審判官1名(裁判官)と労働審判員2名(民間の労使の専門家)で構成される労働審判委員会が個別労働紛争を審理して調停による解決を目指します。原則、3回以内の期日で審理は終了します。調停が成立しなかった場合は審判が出されます。
審判が出ても紛争の当事者が納得出来ず、異議の申立てがあれば通常の裁判に移行します。
労働審判の申立ては地方裁判所にします。
裁判所のホームページ
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_minzi/minzi_02_03/index.html
●労働審判のメリット
①裁判に比べると迅速な解決が期待できる
②事案の実情に即した柔軟な解決が期待できる
●労働審判のデメリット
①通常の裁判に移行すると二度手間となる
②弁護士に代理を依頼すれば費用が発生
●あっせん→労働審判
あっせん不成立の場合、労働審判又は裁判に進むことができます。最初から労働審判又は裁判をすることもできます。