雇用・労働
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雇用・労働カテゴリ担当の特定社会保険労務士です。質問をご投稿いただき、誠にありがとうございます。
フレックスタイム制が適用されるためには、所定の手続きが必要です。具体的には、就業規則その他これに準ずるものにより始業および終業の時刻を労働者の決定にゆだねる旨を定めた上で、労使協定を締結しなければいけません。
上記、手続きをしていなければフレックスタイム制は有効ではなく、法定労働時間である1日8時間、1週間40時間を超えた労働時間について、残業代を支払う必要があります。残業代を支払わなければ労働基準法違反です。
労使協定には次を必ず定めなければいけません。
①対象となる労働者の範囲
②清算期間
③清算期間の総労働時間
④標準となる1日の労働時間
お勤めの会社では就業規則もなく、始業時間と終業時間の両方を自由に決定できているわけではないようなので、フレックスタイム制は有効ではありません。したがって、労働基準法違反があることになります。
労働基準法違反は労働基準監督署に申告することができます。労働基準監督署は労働基準法や労働安全衛生法などの違反を改善指導するのが業務の一つです。労働基準監督署の労働基準監督官には会社や工場などを臨検・資料の提出を求める権限や、特別司法警察職員としての権限があります。労働基準監督署には「相談」ではなく、「申告」でなければ動いてくれないのでご注意ください。
その他、訴訟をすることもできます。
労働基準監督署に申告するにしても、訴訟をするにしても、できるだけ給料明細やシフト表など労働時間を証明できるようなものを用意するようにしてください。何時から何時までどんな業務をしたなどの詳細なメモ書きもあったほうがより良いでしょう。
先日は、返信していただきありがとうございました。現在の会社は、従業員数が10名です。メインの会社は出版社として存在しているため、裁量労働制をとっていると以前上司に説明されました。しかし、私が行っている業務はその出版社の子会社である食品販売を行う会社で制作業務は一切ありません。その状況でフレックス制や裁量労働制を理由に長時間労働になっていると説明されてきたので、その点が間違っているとわかり、少しほっとしました。また、私が従事している業務は、
子会社の食品販売での仕事で
倉庫における商品管理、商品発送、受注・発注という内容です。しかし雇用上は所属が出版社となっているため、保険証は出版社のものを与えられています。就業規則は、配布されておらずわたしは一度も目にしたことがありません。(パートの方が持っているものを見せてもらったことはありますが、社員用は別に作成されているとそこに書かれていたため、内容が異なり参考にはなりませんでした。)給料明細の記載内容も不安を感じています。支給欄;基本給、基本給追加 課税支給合計、非課税通勤手当、総支給額控除欄;健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、 社会保険料合計、課税対象額、源泉所得税 控除額合計、 差引支給額以上の部分にのみ数字の記載があります。給与として振り込まれている金額は、記載と一致しているので問題はないと思われます。しかし、「勤務欄;記載なし」です。有休残、開始月、前年度繰り越し、前月までの取得、当月取得、残日数これらはすべて空欄です。この給与明細は、書き方として正しいものなのでしょうか?2年目ですがこのような不明点については、正直に上司に相談すべきでしょうか。
雇用・労働カテゴリ担当の特定社会保険労務士です。
お返事ありがとうございます。
会社は、常時10人以上の労働者を使用している場合は就業規則を作成して、労働基準監督署に届け出る必要があります。10人はパートやアルバイトも含めて数えます。一時的に10人未満になっても常態として10人以上の労働者であれば作成義務があります。
また、労働基準法106条では、「就業規則を常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない」としています。
よって、配布の義務はありませんが、見やすい場所におき、かつ、いつでも見ることができる状態にしておく必要があります。もし、そうなっていなければ労働基準法違反となります。
雇用上は出版社となっているとのことですが、出向とかになっているのでしょうか。いろいろ問題がありそうです。労働基準監督署は匿名で申告も可能なので、相談だけでもまずはされると良いでしょう。
給与明細の書き方は法律では決まっていません。
有給残などの欄が空欄があっても間違っているわけではありません。
上司へ会社の労働基準法違反などの相談しても良い答えは返ってこないと思います。ただ、もし退職を考えるほどお悩みでしたら、悩んでいることの相談はしても良いと思います。
補足で回答させていただきます。
雇用保険法施行規則で、原則、適用事業の事業主は被保険者に関する届出その他の事務を、その事業所ごとに処理しなければならないと定められています。
なので、「しかし雇用上は所属が出版社となっているため、保険証は出版社のものを与えられています。」はおかしいです。
現在、10名もの従業員がいるのであれば、その会社で被保険者となるべきものです。
一度、ハローワークにも相談されたほうが良いと思います。