>1番最初の役員のときに1.4倍と書いたのに 間違っていると元社長に言われなかったので、その倍数が正しいものだと思ってしまいました。元社長と経理の私との責任は半分ずつだと思っています。会社の責任は?
→過失の競合になると思います。負担割合は二分の一でしょう。
>私が このまま 1年後 契約が終わり 再雇用なしで辞めた場合 その後 判明した場合はどうなるのか お聞きしたいです。
あと、本当に 気が付かなかった場合は?
→退職後に退職金(質問者様の退職金のことです。)不支給事由が判明した場合、退職金を不支給にすることができるか、また既に支払った退職金の返還請求ができるかの問題です。
イ 退職金支給規定に「退職後懲戒事由が判明したときは退職金は支払わない」旨の規定がある場合
規定がある場合は不支給にできるし、既に支給していれば返還請求ができます。
しかし、規定さえあればどのような事由であっても全額不支給にできるわけではなく、それまでの勤続の功を抹消するほどの著しい背信性があることが必要です(日本広告社事件 名古屋高判平2.8.31)。
なぜなら、退職金には賃金の後払いという性格もあることから、社会通念の許容する範囲でのみ不支給が是認されるからです。
Q:では支給した退職金が本来不支給のものであったにもかかわらず支給した場合、支給した退職金の返還請求ができるかが問題です。
本来であれば全額不支給であるところ、たまたまその事実が支給の際に判明しなかったために支給されたものであり、その支給は、支払い義務のない支給であることからして、使用者は不当利得の返還請求ができると解されます。
同業他社に就職して人材の大量引き抜きを行ったことを理由に退職金の全額の不当利得返還請求を認めた裁判例として、福井新聞社事件(福井地判昭62.6.19)があります。
曰く「このような退職は退職一時金支給規程の趣旨に照らすと、正に不支給事由に該当する。・・・・・・・・従って、被告らは、本来退職一時金の支給を受ける地位になかったにもかかわらず、真の退職理由を秘してそれぞれ支給を受け、会社に退職一時金相当額の損失を与え、これを不当に利得したものである」
ロ 規定のない場合
「退職後一定の事由があった場合、退職金を支払わない」旨の規定がない場合は、不支給にはできないし、返還請求もできないと解せられます。
なぜなら、このような規定がない限り、使用者が退職金の全額支給義務を負っているからです。
(補足)退職金の計算を間違って払いすぎた場合は、背任罪(刑247条)になる可能性がありますが、故意が必要ですし(本件は過失です)、目的犯であるため、主観的要件として、故意のほか、自己若しくは第三者の利益を図る目的(利得の目的)、又は本人に損害を加える目的(加害の目的)を要しますから、成立しません。
不当利得返還請求の時効は10年です。
基本的には、何か言ってくるまでほおっておいてよいと思います。気がつかないほうが悪いのですから。