ご相談、拝見させていただきました。労働問題担当の社会保険労務士です。
お世話になります。よろしくお願いいたします。
「会社の労働契約書?」というのはおそらく就業規則だと思われます。会社は解雇の基準を就業規則に定めなければならないとされています。
ただし就業規則に定めたからと言って、その解雇が妥当とは限りません。合理的理由のない解雇は解雇権の濫用として無効、とされているからです。
ご相談者様のケースでは、医師から復職許可が出ておりますので、「完治をしていない」から解雇、というのは合理的理由に欠けるように思われます。
会社の解雇を不当解雇とされるのであれば、まずは労働基準監督署へご相談されることをお勧めいたします。労働基準監督署内に総合労働相談コーナーがございますので、そこが相談窓口になります。
【愛知労働局ホームページ・総合労働相談コーナー】
http://aichi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/roudoukyoku/kanren_shisetsu/sougou_roudou_soudan.html
そして必要に応じて「あっせん」や「労働審判」といった手段で会社の不当解雇を主張して取り下げさせる行動をとる事になります。
具体的にご説明させていただきます。
【あっせん】
都道府県労働局に申し立てをし、あっせん委員と呼ばれる専門家が労使双方の主張を聴き、和解案を提示してくれる国の制度です。費用はかかりませんし、弁護士などの専門家を依頼する必要もありません。
【労働審判】
労働審判は地方裁判所に申し立てを行います。申し立てをすると、労働審判官(裁判官)と労働審判員(弁護士などの専門家)が労使双方の主張を聴き、証拠の確認を行い、原則3回以内の審理で、調停や審判で解決を図ってくれる国の制度です。
裁判ではありませんので、弁護士を依頼する必要はありません。当事者には参加義務があるので、労働者が申立てをすれば、会社側は労働審判への参加を拒否できません。
調停や審判に双方が合意して和解すると、その内容は裁判の判決と同等の効力を持ちます。
提示された審判に最終的に労使双方もしくは片方から異議申し立て(その審判は受け入れられない、という不服)がなされると労働審判は打ち切りとなり、通常の訴訟に自動的に移行する、という仕組みです。
ご参考までに、裁判所ホームページの労働審判のURLを添付させていただきます。
<労働審判制度とは>
http://www.courts.go.jp/saiban/wadai/2203/index.html
<労働審判手続き>
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_minzi/minzi_02_03/index.html
<労働審判手続きの必要書類>
http://www.courts.go.jp/saiban/qa_minzi/qa_minzi_48/index.html
これら個別労働紛争解決手段で、会社の不当解雇を主張して認めさせることになります。
退職金の取り決めに関してはもう少し説明が必要となります。
そもそも退職金という制度は「支払わなければいけない」義務ではありません。退職金という制度自体が存在しない会社も多数存在します。
義務ではない以上、退職金制度を設けるかどうか、そのような支給基準にするか、は会社の任意です。ただし退職金を支払うのであれば、前もって就業規則で対象や基準を定めなければならない、とされております。
そのため「病気理由で解雇になった者は自主退職扱いでの査定とする」という定めが就業規則に既にあるのでしたら、その就業規則の定めに従って退職金が支払われることに問題も違法性もないことになります。
就業規則にそのような定めがなく、会社が「病気理由だから自主退職扱いだ」と言っているだけでしたら「自主退職扱いはおかしい」と主張できます。
話し合いで解決ができればベストですが、話し合いで解決できない場合には、先述の「あっせん」や「労働審判」の中で退職金の認識の件も併せて主張していく事になります。