ご相談、拝見させていただきました。労働問題担当の社会保険労務士です。
お世話になります。よろしくお願いいたします。
早速、回答させていただけたらと存じます。
降格とは会社が行う制裁の一種で、その基準や対象は就業規則に記載することで有効性を持ちます。
会社の就業規則はご確認になられましたでしょうか?
「勤務成績や勤務態度不良の者は降格にする」「業務遂行能力が認められない者は降格にする」等、定めがあるかと思います。降格だけでなく懲戒解雇の基準等も就業規則に定めることになっております。
降格に伴う減給は合理的な措置として認められております。
そして退職勧奨されておられるとの事ですが、退職勧奨自体は違法な行為ではありません。恫喝や脅迫による退職強要は違法行為です。
そのうえで、ご相談者様が退職か異動かの決断を迫られている今の状況ですが、退職する意思がなければ退職する必要はありません。退職勧奨は「退職されたらいかがですか?」という会社の意思表示ですから、退職するか否かを決めるのは労働者の権利です。解雇でない限り、会社が自主退職を労働者に強制することはできません。
次に、異動を受け入れるかどうかの問題ですが、
単に「納得できない」から異動を拒否すると、懲戒処分がなされる危険性があります。異動や業務命令ですので、業務命令違反による懲戒処分です。
ただし「ご相談者様に部門を任せられない」という降格処分に対してご相談者様がその理由が合理的理由とは納得できない、というお考えであれば、労働基準監督署への相談や、あっせん・労働審判といった方法で、会社の人事権の濫用を主張して取下げを要求することは可能です。つまり行政という第三者に判断をしてもらうわけです。
ですのでご相談者様の今後のオプションとしては、
①退職を受け入れる
②異動を受け入れる
③異動に異議を申立て、労基署への相談やあっせん・労働審判といった手続きで「今回の会社の異動命令は人事権の濫用である」として無効を主張して争う
という3つになります。
おつらい状況であると思いますが、この3つのどれかをご相談者様は選択して会社に回答することになります。
就業規則に記載してあるからといって、必ずしも会社の措置が正しいとは限りませんので、「ご相談者様に部門は任せられない」という会社判断に納得がいかない場合は、③の選択をされるべきかと存じます。
【あっせん】
都道府県労働局に申し立てをし、あっせん委員と呼ばれる専門家が労使双方の主張を聴き、和解案を提示してくれる国の制度です。
申立ては、労働基準監督署内の総合労働相談コーナーでも受け付けてもらえます。
以下に東京労働局のあっせんのURLを添付させていただきます。
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/kobetsu_roudou_funsou/_84171/roudou-soudan/3.html
【労働審判】
労働審判は地方裁判所に申し立てを行います。申し立てをすると、労働審判官(裁判官)と労働審判員(弁護士などの専門家)が労使双方の主張を聴き、証拠の確認を行い、原則3回以内の審理で、調停や審判で解決を図ってくれる国の制度です。
裁判ではありませんので、弁護士を依頼する必要はありません。当事者には参加義務があるので、労働者が申立てをすれば、会社側は労働審判への参加を拒否できません。
調停や審判に双方が合意して和解すると、その内容は裁判の判決と同等の効力を持ちます。
提示された審判に最終的に労使双方もしくは片方から異議申し立て(その審判は受け入れられない、という不服)がなされると労働審判は打ち切りとなり、通常の訴訟に自動的に移行する、という仕組みです。
ご参考までに、裁判所ホームページの労働審判のURLを添付させていただきます。
【労働審判制度とは】
http://www.courts.go.jp/saiban/wadai/2203/index.html
【労働審判手続き】
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_minzi/minzi_02_03/index.html
【労働審判手続きの必要書類】
http://www.courts.go.jp/saiban/qa_minzi/qa_minzi_48/index.html