消費者被害
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返還請求訴訟自体は,返してもらう約束なのに守られていないのであれば,内容証明を送ったかどうかにかかわらず,起こしていくことは出来ます。
問題となるのは,貸したという証拠,返却期限がいつかという証拠,及び返していないという証拠ということになります。
返却期限が決まっていれば,それを過ぎていれば直ちに裁判してかまわないわけですが,
決まっていないのであれば,通常は何らかの目的で貸しているわけで,その目的が終了しているか,あるいはどういうことになったら返すとなっていたか,そのあたりをふまえて,まずは内容証明で返却を請求しておき,返却がないので訴訟,というのがいいですね。
内容証明を送り,代理権のない第三者から返却された場合,結果的には返却されたので,返還請求訴訟はできなくなります。
それまでの損害賠償をどうするか,という問題は別の問題として残るかもしれませんね。
返答がない場合は,結局返還もないわけですから,訴訟提起できます。
見解の分かれた点は,私の理解が誤っているのかもしれませんが,代理権のない者が返還してきたが,結論的には返して欲しい物が返ってきた,ということではないのでしょうか。
返された物が,課していた物と同じ物か分からない,だから代理権ない者からの返還では目的の物が返ってきたとは扱わない,
それはそれで正しいと思います。
この見解の分かれたところは,返還を求めている「物」が何かが分かっていないからかもしれませんが,
返ってきた「物」が,返して欲しい「物」そのものだったのか,それとも違う「物」かもしれないということなのか,そのあたりの違いかと思います。
代理権がない者が返してきたとしても,返してもらいたい「物」が本当に戻ってきたら,それ以上に返還請求をする実益はありませんよね?もう返ってきているのですから。
このあたりの違いのように思いましたが,いかがでしょうか。
法律的に返したか,ということと,返還請求訴訟が認められるか,というところには若干違いがあるように思います。
「物」という抽象的な話をしていますので,かみ合わないのではないでしょうか。具体的に何の話なのか,特定して考えるべきだと思います。
「物」と言われているので,イメージしづらいのですが,例えばお金を貸したとします。代理権のない第三者が返済したとします。お金を貸した側は,第三者の弁済として受け取ることはできます。
債務の性質上,第三者によるものでは許されないような場合は別です。出演依頼をしたが,他の人が来た,というような場合は意味がないですからね。物の返還は,たとえばレンタルビデオを借りていて,落として,拾った人が返却した,このときにレンタルビデオ店は借りた人に返還請求訴訟をしても,意味がないですよね?
また,訴訟をするときには,訴訟をする要件として,「訴えの利益」というものがあります。物が返ってきているのに,返還請求訴訟をしても,訴えるメリットがありません。訴えるとすれば,ものが返っていないからか,あるいは遅れたなどの損害賠償か,そうでなければ訴えの利益なしとして,訴えられないことになります。
10万円前後の美術品ですが,これは特定の物ですよね。ほかでは代わりにならないような。もともと持っていた美術品を貸した。それがかえってこない。
その美術品が,仮に第三者からでも返ってきたとして,
まずは,同じものがかえってきたのか,似ているけど違う物なのか,そういうことが問題になりませんか?
仮に,同じものがかえってきていたら,物がかえってきたのに,返還請求訴訟をしても,意味がないと思われませんか?
この場合に,返還請求訴訟ができる,という見解があるのかどうか分かりませんが,少なくとも訴えの利益はないように思います。
物は返ってきているけど返還請求訴訟をしたいといっても,裁判所は,なぜですか,となると思いますけどね。
また,似た美術品だけど違う物が返ってきていたのなら,本来の物は返還されていないわけですから,返還請求は出来て当然ともいえます。
このケースはもちろん,返還請求できます。
世の中に出回っている今回の問題になっている美術品は多数あって,自分が持っていた美術品を貸したけど,同じ美術品で例えば新品で買い直された物が第三者から返還された,そのような場合は,それをちゃんとした返還と認めるかどうか,その問題はあると思います。
そうでしたか,ありがとうございます。
こちらこそ,何度も申し訳ありません。
代理権のない第三者からの返還は拒否できる,それは同意します。
理論的には,返還請求できるという理論もありうるのかもしれませんが,どういう趣旨で回答されたのか・・・
法律の解釈は,たしかに,意見が分かれることはあります。裁判例としても別れているところはあります。
弁護士の回答が違ったものになることは,行列のできる法律相談所などでもそうですが,ありますよね。
ご参考になりましたら幸いです。
そうですね,こういったサイトでの相談と,実際の法律相談とでも回答が違うことはあり得ますし。
文章だけではなかなかお伝えできなかったところもあるかと思いますが,ありがとうございました。