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猫山司
猫山司, メディカルアドバイザー
カテゴリ: 神経科
満足したユーザー: 14258
経験:  医師。国立大学医学部卒業後、臨床と研究に10数年間従事
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娘27歳が現在、電車やバスには怖くて乗れない事で、病院に通い「パニック障害」との診断され 8年ほど病院通っていま

解決済みの質問:

娘27歳が現在、電車やバスには怖くて乗れない事で、病院に通い「パニック障害」との診断され
8年ほど病院通っています。日常生活は乗り物に乗らなければ普通に生活をし、毎日会社に行っています。薬は(パキシル錠)を貰ってますが、今回結婚話でこの事が障害になっています。このままでなおるでしょうか?
投稿: 4 年 前.
カテゴリ: 神経科
専門家:  猫山司 返答済み 4 年 前.
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こんばんは。猫山と申します。精神科医です。

率直に申し上げて、パニック障害で8年も病院に通われていて全く改善が無いのであれば、お嬢様のパニック障害がよほどの難治であるか、それとも適切な治療が行われていないかです。圧倒的に後者である可能性が大ですが。
8年かかって改善が得られなかったのであれば、今後そのままその病院に通われても改善は見込めないでしょう。

お嬢様には「広場恐怖を伴うパニック障害」という診断が付くでしょう。
この場合の広場とは、広い場所、という意味ではなく、「発作が起きてもすぐには逃げ出せない、助けを求められない場所」という程度の意味です。飛行機などは典型ですし、電車、バス、地下鉄、人ごみなどもこれに当てはまります。

治療は薬物療法が主体になりますが、それだけでは広場恐怖が治りきらないこともあります。

相談者様の場合も、まず薬物療法でパニック発作を一定以上までコントロールした後に、行動療法を用いて行動範囲を広げていく必要があると思います。

長くなりますので、項を分けて、まず標準的な薬物療法について、次に行動療法について述べます。
専門家:  猫山司 返答済み 4 年 前.
パニック障害の標準的治療は、まず薬物療法でパニック発作を抑制し、平素は発作が起きなくなったら次第に薬を減らしながら行動範囲を広げていき、最終的には薬を飲まずに元通りの生活が送れるようになることを目指します。

薬物療法はSSRI(選択的セロトニン再取り込阻害薬)と呼ばれる抗うつ薬/抗不安薬と精神安定剤の併用で開始し、SSRIを増量しつつ、次第に安定剤を頓服薬にするなどして減らしていきます。
SSRIは、具体的な薬剤名としては、ルボックス(デプルメール)、パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロのことです。
脳内のセロトニンという物質を増やすことで、不安を消褪させると考えられています。
SSRI は服用を開始して十分量に増やしてから有効性が現れるまでに数週間かかります。今日飲んだら明日効くというタイプのお薬ではないのです。十分量とは、パキシルなら40mg/日です。
一方で安定剤は、飲めばその時その時でパニック発作に効きます。一方で定時服用を数週間以上続けたら依存が生じます。
この2つのタイプの薬の特性をうまく利用し、SSRIが効くまでは安定剤で繋ぎ、SSRIが効いてきたら依存が生じる前に安定剤を減量していくわけです。

SSRIを速やかに増量して、改善後は速やかに減量するのがパニック障害の治療における薬物療法の良手です。
調子が悪い状態が長引くと二次的・三次的に種々の問題が生じてきますので、早期治療が大切です。
専門家:  猫山司 返答済み 4 年 前.
薬物療法が奏効し、平素は発作が起こらなくなってきたあたりで、行動療法を並行して行います。

ここでは、もっとも多く見られ、説明もしやすいので、「1人で電車に乗れるようになる」ことを目標とした例をあげますが、これを患者様ごとにアレンジしたものが行われます。

具体的には、以下のように行います。

安定剤を飲んだ30分後に空いている時間帯に各駅停車に1駅分、誰かと一緒に乗る。
⇒これで発作が起こらなければ、同じ条件で2駅分乗る
⇒やはり発作が起こらなければ、安定剤を飲んだ30分後に各駅停車に2駅分、1人で乗る
⇒安定剤は飲まず、しかし持参して(水なしでも安定剤を飲めるようにしておくと便利です。できなければペットボトル持参)、発作の予兆があったら服用することにして各駅停車に2駅分、1人で乗る
……というふうにステップアップしていきます。

これを行動療法的アプローチといいます。行動療法で大切なのは「成功し続けること」です。

電車に乗ってパニック発作が起こると、次に乗るときも「また発作が起きるのではないか?」と無意識に思ってしまうでしょう。

これを「予期不安」といいます。

予期不安はパニック発作の呼び水となり、発作を起こしやすくします。そのような状態で電車に乗れば、またパニック発作が起きてしまいます。
すると、「やはり電車に乗ると発作が起きるんだ」という確信が深まってしまい、その次に電車に乗る時の予期不安をより強いものにし、より発作が起こりやすくなります。
このようにして条件反射の悪循環が生じ、電車に乗るのが怖くなってしまうのです。

行動療法はこの循環を逆に回し、電車に乗っても発作が起きない経験を積むことで予期不安を小さくしていきます。
専門家:  猫山司 返答済み 4 年 前.
お嬢様が、40mg/日未満のパキシルをだらだらと処方され続け、広場恐怖があるのに行動療法的な治療を受けられていないのであれば、標準的な薬物療法と行動療法も指導してくれるような心療内科/精神科に転院されるのがベストと考えます(JustAnswerでは特定の医療機関の推薦・紹介を行っていません。ご了承ください)。

パニック障害は長引けば長引くほど難治化していきます。
結婚のみならず、お嬢様の社会生活を健全なものにするために、現在通われている病院での治療内容を検討され、必要ならば治療の場を変える必要があるでしょう。

以上、ご参考になれば幸いです。
猫山司, メディカルアドバイザー
カテゴリ: 神経科
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経験: 医師。国立大学医学部卒業後、臨床と研究に10数年間従事
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