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猫山司
猫山司, メディカルアドバイザー
カテゴリ: 神経科
満足したユーザー: 14261
経験:  医師。国立大学医学部卒業後、臨床と研究に10数年間従事
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4年前、車の運転中に急に呼吸ができなくなり、目の前が真っ白になりつつ意識も遠のく状態になって以来、動悸、息切れ、めま

解決済みの質問:

4年前、車の運転中に急に呼吸ができなくなり、目の前が真っ白になりつつ意識も遠のく状態になって以来、動悸、息切れ、めまい、吐き気、酷い頭痛になり、会社も退社せざるおえなくなりました。
今は、外出、乗り物にも乗れず、うつ状態になりつつあります。
通っている心療内科の先生も、安定剤をくれるだけで、改善策などまったく教えてくれません。
確かに、自分自身の気持ちの問題なんでしょうが、意欲がまったくおこらず…
私どうしたらいいのでしょうか?
投稿: 4 年 前.
カテゴリ: 神経科
専門家:  猫山司 返答済み 4 年 前.
こんにちは。猫山と申します。精神科医です。

①心療内科にはいつから通われているのでしょうか。

②心療内科から受けている診断を教えて下さい。またその疾患と治療方針についてどのように説明を受けられているかを教えて下さい。

③処方されているお薬とそれぞれの1日量を教えて下さい。

④主治医から、「行動療法」という治療法について説明を受けられたことはおありでしょうか。

以上、確認させていただけますと幸いです。
質問者: 返答済み 4 年 前.

行動療法は聞いたことありません。

4年前からパニック障害ではないかと診断されました。でも自分の気持ちの持ちようだとあしらわれるだけです。

2週間に一度通院していて、この2週間何があったかなど話を聞いてくれるだけで、あとは安定剤を出してくれるだけです。

薬の内容は、エチセダン0.5mgを1日6個まで頓服として出されています。

先週、外出できないからこの量に減らされてしまいました。

理由は、外出しないなら薬必要ないねとの事。私自身は、外出出来るなら以前のようにエチセダン0.5mg1日6個まで、メデポリン0.4mg1日6個まで、セニラン5mg1日2個までを処方してもらいたいのですが…

飲み方は、外出前にメデポリン2個セニラン2個飲み、途中で頓服としてエチセダンを6個のんでしまいます。

専門家:  猫山司 返答済み 4 年 前.
ご返信・追加情報ありがとうございます。

結論から申し上げると、「以前のようにエチセダン0.5mg1日6個まで、メデポリン0.4mg1日6個まで、セニラン5mg1日2個までを処方して」もらわない方がよろしいですし、現在の心療内科に通われるのは止めて他の病院・クリニックに転院された方がよいでしょう。

どこから説明したものか迷うくらいに滅茶苦茶な治療を、相談者様は受けられているようです。
まず、診断と治療から見解を述べさせていただきます。

<診断>
相談者様の症状に関しましては、パニック障害の中でも、「広場恐怖を伴うパニック障害」という診断が付くでしょう。
この場合の広場とは、広い場所、という意味ではなく、「発作が起きてもすぐには逃げ出せない、助けを求められない場所」という程度の意味です。飛行機などは典型ですし、電車、自動車、バス、地下鉄、人ごみなどもこれに当てはまります。
外出ができないということですから、相談者様の場合はこれがかなり拗れた状態であると言えます。

<治療(薬物療法)>
パニック障害の標準的治療は、まず薬物療法でパニック発作を抑制し、平素は発作が起きなくなったら次第に薬を減らしながら行動範囲を広げていき、最終的には薬を飲まずに元通りの生活が送れるようになることを目指します。

薬物療法はSSRI(選択的セロトニン再取り込阻害薬)と呼ばれる抗うつ薬/抗不安薬と精神安定剤(エチセダン、メデポリン、セニランは全て精神安定剤です)の併用で開始し、SSRIを増量しつつ、次第に安定剤を頓服薬にするなどして減らしていきます。

SSRIは、具体的な薬剤名としては、ルボックス(デプルメール)、パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロのことです。
脳内のセロトニンという物質を増やすことで、不安を消褪させると考えられています。
SSRI は服用を開始して十分量に増やしてから有効性が現れるまでに数週間かかります。今日飲んだら明日効くというタイプのお薬ではないのです。

一方で安定剤は、飲めばその時その時でパニック発作に効きます。一方で定時服用を数週間以上続けたら依存が生じます。
この2つのタイプの薬の特性をうまく利用し、SSRIが効くまでは安定剤で繋ぎ、SSRIが効いてきたら依存が生じる前に安定剤を減量していくわけです。

SSRIを速やかに増量して、改善後は速やかに減量するのがパニック障害の治療における薬物療法の良手です。
調子が悪い状態が長引くと二次的・三次的に種々の問題が生じてきますので、早期治療が大切です。

<治療(行動療法)>
広場恐怖を伴うパニック障害の場合は、まず薬物療法でパニック発作を一定以上までコントロールした後に、行動療法を用いて行動範囲を広げていく必要があります。

上述の標準治療によって平素は発作が起こらなくなってきたあたりで、行動療法を並行して行います。
ここでは、もっとも多く見られ、説明もしやすいので、「1人で電車に乗れるようになる」ことを目標とした例をあげますが、これを患者様ごとにアレンジしたものが行われます(相談者様の場合は、まず「外出する」をテーマに行動療法のセッションを組む必要があるでしょう)。
具体的には、以下のように行います。

安定剤を飲んだ30分後に空いている時間帯に各駅停車に1駅分、誰かと一緒に乗る。
⇒これで発作が起こらなければ、同じ条件で2駅分乗る
⇒やはり発作が起こらなければ、安定剤を飲んだ30分後に各駅停車に2駅分、1人で乗る
⇒安定剤は飲まず、しかし持参して(水なしでも安定剤を飲めるようにしておくと便利です。できなければペットボトル持参)、発作の予兆があったら服用することにして各駅停車に2駅分、1人で乗る
……というふうにステップアップしていきます。

元も子のない、というか、ある意味わかりやすいアプローチではないでしょうか。
これを行動療法的アプローチといいます。行動療法で大切なのは「成功し続けること」です。
電車に乗ってパニック発作が起こると、次に乗るときも「また発作が起きるのではないか?」と無意識に思ってしまうでしょう。
これを「予期不安」といいます。
予期不安はパニック発作の呼び水となり、発作を起こしやすくします。そのような状態で電車に乗れば、またパニック発作が起きてしまいます。
すると、「やはり電車に乗ると発作が起きるんだ」という確信が深まってしまい、その次に電車に乗る時の予期不安をより強いものにし、より発作が起こりやすくなります。
このようにして条件反射の悪循環が生じ、電車に乗るのが怖くなってしまうのです。
行動療法はこの循環を逆に回し、電車に乗っても発作が起きない経験を積むことで予期不安を小さくしていきます。

<治療のまとめ>
薬物療法だけではなく、行動療法も指導してくれるような心療内科/精神科に通われるのがベストと考えます(JustAnswerでは特定の医療機関の推薦・紹介を行っていません。ご了承ください)。
そうした医療機関が見つからなければ、ご自分で行動療法的に行動範囲を広げていく努力をされるようにすべきだと考えます。

私の臨床経験では、パニック障害は、正しい治療を行えば半年間くらいでほぼ寛解(症状が出ない状態)にまで持っていける精神科疾患です。
4年間かけて悪化しているのは適切な治療が行われていない証左といえるでしょう。

ここでいったん回答を区切り、相談者様の治療の問題点について述べさせていただきたいと考えます。
猫山司, メディカルアドバイザー
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専門家:  猫山司 返答済み 4 年 前.
最大の問題点は、相談者様が標準治療を受けておられず、そればかりではなく「薬漬け」になってしまっていることです。
相談者様は恐らく、ベンゾジアゼピン依存症の診断基準を満たすでしょう。

エチセダン(エチゾラム)、メデポリン(アルプラゾラム)、セニラン(ブロマゼパム)は全て「ベンゾジアゼピン系薬物」に分類されます。
脳での作用も作用持続時間もこの3剤ではほとんど違いが無く、併用する意味は全くありません。頭痛に対してセデスとノーシンとバファリンを一緒に飲むようなものです。
まず、この処方を組んでいる時点で相談者様の主治医には心療内科医/精神科医としての知識と技術が無いことは明らかです。

「自分の気持ちの持ちよう」という疾患教育(教育とは程遠いレベルですが)ももちろん問題外です。パニック障害は脳に基盤をもつ生物学的疾患の側面があることがわかってきており、前述のように適切な薬物療法と行動療法の組み合わせが奏効する疾患です。
「気の持ちよう」は必要ですが、それは疾患と行動療法に関する適切な説明に基づいて患者様がもつ正しい方向での「治療意欲」のことです。

結局、相談者様の主治医は、疾患や治療に対する正しい知識や技術を持ち合わせておらず、この4年間、対症療法としてのベンゾジアゼピンを無原則・大量に垂れ流していただけ、ということになります。
ベンゾジアゼピンは、「常用すると効果が薄れ、耐性がつきやすい。当初の服用量では効果がなくなり、次第に薬の量や種類が増えていく」ことが知られています。耐性や依存性と呼ばれる現象です。
こういった問題がある薬物を、診断や適応を考慮せずに、年単位で漫然と投与できるのは国際的に見ても日本だけです。
このことは、昨今、一般マスコミでも報道され、大きな社会的問題として認識されつつあります。

【抗不安・睡眠薬依存(2) ベンゾジアゼピンの害:読売新聞】
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=60619

相談者様は、今からでも遅くありませんので、パニック障害に関して適切な治療を受けられるとともに、ベンゾジアゼピン依存症の治療も行わなければならない状態にあります。
また、パニック障害の患者様の6割がうつ病を合併すると言われていますが、「意欲がまったくおこらず…」というご記載からは、相談者様もまた、パニック障害が長引く中でうつ病を発症されている可能性が否定できません。

然るべき精神科/心療内科医療機関に転院され、治療の軌道修正を図られる必要があろうかと存じます。

以上、ご参考になれば幸いです。

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