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猫山司
猫山司, メディカルアドバイザー
カテゴリ: 神経科
満足したユーザー: 14262
経験:  医師。国立大学医学部卒業後、臨床と研究に10数年間従事
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ヨーロッパ在住の主婦です。67歳(白人)の夫の右足の甲が昨年秋頃から上がらなくなり、4月に「MNDではないか」との所

解決済みの質問:

ヨーロッパ在住の主婦です。67歳(白人)の夫の右足の甲が昨年秋頃から 上がらなくなり、4月に「MNDではないか」との所見をこちらの神経内科医の先生に聞きました。
日本では「ALS」と呼ばれているとのことですね。
リルゾールと言う薬を処方してもらっています。
日本ではエダラボンという薬を点滴してもらうことはできるようですが、こちらでは認可されていません。薬剤師の友人が「エダラボンは気まぐれ程度の効果」といっていますがどうなのでしょう。
最終的な診断は6月になりますが、もしMNDと言われたら、現在の医療では打つ手がないのでしょか。また、右足の甲にしか異常がないのですが、ほかの病気の可能性はないでしょうか?
もし万が一別の病気なら、治療を試したい気持ちでいっぱいです。
MNDは、引き算タイプの診断(これはちがう、あれはちがう、だから残る可能性はMNDだろう)ということなので、体のほかの部位に異常がない状況では、他の病気の可能性を否定できないでいます。
日本に帰って道が開けるなら連れて帰りたいと考えています。
どうか、アドバイスをいただければ幸甚です。
投稿: 5 年 前.
カテゴリ: 神経科
専門家:  猫山司 返答済み 5 年 前.
こんにちは。猫山と申します。神経内科医です。

まず、エダラボンについてはお友人のコメントに賛同します。日本でのみ認可されているローカルドラッグであり、本来の効能である、「脳梗塞急性期に伴う神経症状,日常生活動作障害,機能障害の改善」に関しても、効果は目覚ましいものではありません。
エダラボンはALSに対しては適応がありませんが、一部の医師が保険外適応で使用し、また、ALSの家族会が厚生労働省に適応拡大を迫っていますが、このお薬がALSに有効であるという根拠は薄弱で、「他に打つ手がないのでせめてこのお薬を使えないだろうか」という程度のものでしかありません。
少なくとも、このお薬の投与を受けるために来日される意義は無いと考えます。

ご記載を読む限り、ということになりますが、「右足の甲が上がらない」というだけの症状ならば、通常はALSは疑わないと思います。他にも神経症状があるのでしょうか。

ALSの初期症状と鑑別すべき疾患としては、脳腫瘍、多発性硬化症など脳幹病変、頚椎症、後縦靭帯骨化症など脊髄病変、末梢神経障害、筋疾患など多岐に渡ります。
現在「MRIスキャンやレントゲンなどの検査を受けている最中」とのことですし、仰る通り、特定的な検査が存在せず、臨床症状から疑い、他の疾患を除外して診断がつく病気ですから、現時点では確定診断じみたことを申し上げるのは難しいと考えます。

以上、ご参考になれば幸いです。
質問者: 返答済み 5 年 前.
猫山 先生
回答ありがとうございました。なんどか再信したのですが、送られなかったので、遅くなってしまい済みません。
『ご記載を読む限り、ということになりますが、「右足の甲が上がらない」というだけの症状ならば、通常はALSは疑わないと思います。他にも神経症状があるのでしょうか。』
この部分が気になって、もうひと言うかがいたいです。
ほかの神経的な症状は今のところありません。ただ、四肢にtwitching(ちくちく感?)が時折あるとのことです。
こちらの病院では、神経細胞が舌の部分でも減っているので、疑わしいと言われましたが、具体的な数値は聞かされていません。
以上の症状でも、ALSと判定できるものなのでしょうか?
ALSと断定されればいまのところ対処療法以外には治療方法はないのでしょうか?
もう一度お答えいただければ幸甚です。
専門家:  猫山司 返答済み 4 年 前.
ご返信ありがとうございます。
相談者様のご返信の直後に質問リストへの掲載期間が終了してしまい、回答不能になっていましたが、運営側にお願いして掲載期間を延長していただきました。
改めて回答させていただきます。

まず、twitchingに関してですが、むしろそれはALSを否定する所見です。
ALSはMND(Motor Neurone Disease)の別名の通り、運動を司る神経細胞の疾患です。

「ALSは全身が動きにくくなる病気ですが、出にくい症状というものが6つほどあります。そのうち4つを4大陰性徴候といいます。筋肉の問題では、手足やからだ・顔が全く動かなくなっても目を動かす筋肉が最終的にある程度は残ることが挙げられます。また、尿道や肛門をキュッと締める括約筋も筋肉ですが障害は受けにくいのです。すなわち尿や便が勝手にもれて、垂れ流しにはなりにくいということです。動き以外では、知覚障害・感覚障害が起こりにくいことが挙げられます。すなわち見たり聴いたり、あるいは冷たさや痛さなどを感じる感覚は最後まで残ります」(http://www.alsjapan.org/contents/whatis/index_2.html より引用)。

従って、本来は四肢のちくちく感は、ALSを疑わせる神経症状とは言えません(ただし、ALSであっても、3割の患者様で感覚障害が現れるという研究もあります。http://www.als.gr.jp/staff/document/kiso/kiso_26.html

「神経細胞が舌の部分でも減っている」ことについては、どのような検査が行われたのか、想像がつきません(ただし、舌が萎縮しているのであれば、これはALSで頻繁に認められる徴候です)。

間接情報でもありますので確定的なことは申し上げられませんが、相談者様のご記載を文字通りに読み下すならば、ALSを積極的に支持する神経所見があるとは言えないと考えます。

最後にALSの予後についてですが、ALSの確定診断が付けば、根治療法は現在までのところ存在しません。
対症療法としてはリルゾールというお薬と、最近では医療大麻の有効性が注目されています(http://asayake.jp/modules/report/index.php?page=article&storyid=1789)。

以上、ご参考になれば幸いです。
猫山司, メディカルアドバイザー
カテゴリ: 神経科
満足したユーザー: 14262
経験: 医師。国立大学医学部卒業後、臨床と研究に10数年間従事
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