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猫山司
猫山司, メディカルアドバイザー
カテゴリ: 神経科
満足したユーザー: 14067
経験:  医師。国立大学医学部卒業後、臨床と研究に10数年間従事
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アルコール依存症、うつ病の2つの疾患と強迫性障害とは、関連性のある病気なのでしょうか?傷病手当を申請したら、精神

質問者の質問

アルコール依存症、うつ病の2つの疾患と強迫性障害とは、関連性のある病気なのでしょうか?傷病手当を申請したら、精神疾患はすべて、同一の疾患であると、健康保険協会から言われております。もともと、アルコールと鬱は治療中でしたが、強迫性障害は去年7月に発症しました。医学的見解をご指導ください。よろしくお願いいたします。
投稿: 4 年 前.
カテゴリ: 神経科
専門家:  猫山司 返答済み 4 年 前.
おはようございます。

アルコール依存症とうつ病と強迫性障害の生物学的関連性については「否定されていない」、「示唆されている」というレベルで、同一の脳基盤が関与しているということが証明されているわけで張りません。

この3つを含めて、 近年では、精神疾患は「心の病」から「脳の病気」として理解されるようになってきた傾向があります。薬物療法中心の治療が行われるのもそうした背景があることも1つの理由です。
一方で、例えばうつ病が、脳のどこに、どのような問題が生じて起こるのか、という「病態生理」はまだよくわかっていません。
「うつ病は脳の病気である」という基本的な考え方からして証明されていない仮説の域を出ないのです。

従って、アルコール依存症とうつ病と強迫性障害の関連性については「状況証拠」によって示されているに過ぎません。

ひとつには合併率の高さです。うつ病がある人はない人に比べて強迫性障害を合併する確率が高い、強迫性障害がある人は無い人に比べて物質依存(アルコール依存を含む)を合併する率が高い、といった統計学的事実があるのです。
これらをもって、それぞれの疾患が重複した生物学的基盤を持つことが示唆される、というわけです。

もう1つは家族研究と呼ばれるもので、うつ病患者の親戚は非うつ病患者の親戚よりも強迫性障害の発症率が高い、強迫性障害患者の親戚は非強迫性障害患者の親戚に比べて物質依存の発症率が高い、という研究があって、それゆえにこれらの疾患は共通の遺伝学的基盤をもっているのではないかと考えられています。

臨床的には、2つ以上の精神疾患が合併していると、治療が若干難しくなりますし、患者様のご親戚に他の精神疾患をもった方がおられれば心の隅には留めますが、それによって治療方針が変わることはありません。

「精神疾患はすべて、同一の疾患である」という健康保険協会の見解は、上述のような研究や臨床とはまた別の次元のお話でしょう。
「傷病手当金と傷病手当金との調整」のことを言っているのだと思われます。

【傷病手当金と傷病手当金との調整】

A疾病で労務不能となり傷病手当金受給中に、B負傷により労務不能となった場合、B負傷に関しても待機期間を経て、4日目から傷病手当金が支給されます。但し、支給金額はA疾病及びB負傷によるものと合算し、標準報酬日額の3分の2が限度額となります。また、B負傷による傷病手当金は、待期期間経過後4日目から最長1年6か月が支給期間の限度となります。

要するに、骨折で労務不能となり傷病手当金を受給していた方が、その途中で脳梗塞を起こした場合(そしてそれば労務不能の水準である場合)、受給期間が延長されることになるのですが、精神疾患同士ではそれは認めない、というのが今回の健康保険協会が言わんとしているところなのでしょう。

極端な話、うつ病+アルコール依存症で労務不能となり、傷病手当金の支給を受けていた相談者様が、支給期間の終了間際になって今度は強迫性障害を発症してそのために労務不能だからと言って、あらたにそこから支給期間の起算が始まって支給期間が長くなるということはありません、と言いたいのでしょう。

これに関しては、私が理解するところでは明文化された決まりがあるわけではありませんし、精神疾患は皆同じ、と言いきれるほど精神医学の研究が進んでいるわけではありませんので、審査担当者の考え方一つ、というところがあります。
各疾患の間に因果関係があるかどうかがその判断材料になります。

「同じ病気やケガまたは、その病気やケガから発症した病気やケガとは、単に同じ病名でなければいいという訳ではなく、最初の病気と因果関係があるのかどうかということです。

例えば、うつ病で1ヶ月休んで傷病手当金を支給された人が2ヶ月働いた後、自律神経失調症となり休んだ場合は、最初のうつ病と同一の病気または、その病気から発症したと判断され、支給期間は最初のうつ病の支給開始日から1年6ヶ月が支給期間となります」(http://www.syoubyou.net/sikyuukikan.htmlより引用)。

相談者様においては、強迫性障害はアルコール依存症+うつ病と因果関係があるので、最初のアルコール依存症+うつ病の支給開始日から1年6ヶ月が支給期間であって、2011年7月から1年6ヶ月ではありませんよ、と言いたいのでしょう。

今回のご質問の趣旨は判じかねますが、強迫性障害が他の2疾患を因果関係が無く、また強迫性障害単独でも労務不能、という医師の診断書があれば、保険者側の見解も変わる余地はあるくらいの問題だとは思います。

以上、ご参考になれば幸いです。
専門家:  猫山司 返答済み 4 年 前.
拙回答をご閲覧いただきありがとうございました。
もし、回答の内容にご不明な点がございましたら、可能な範囲で対応いたしますのでご質問をご追加いただけますと幸いです。

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