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猫山司
猫山司, メディカルアドバイザー
カテゴリ: 精神科
満足したユーザー: 14256
経験:  医師。国立大学医学部卒業後、臨床と研究に10数年間従事
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猫山先生
投稿: 3 年 前.
カテゴリ: 精神科
専門家:  猫山司 返答済み 3 年 前.
ご質問ありがとうございます。

大変申し訳ないのですが、ただいま少々立て込んでいまして……

回答は、本日夜間帯か、明日以降になってもよろしいでしょうか?
質問者: 返答済み 3 年 前.

今週の木曜と金曜日に休みをとってますので木金でかまいません。

よろしくお願いします。

 

 

専門家:  猫山司 返答済み 3 年 前.
大変お待たせしました。

まず、「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」が、ベンゾジアゼピン系と大きく異なるお薬であるわけではないことは強調しておきたく存じます。

マイスリーもアモバンも、ベンゾジアゼピン骨格を有していませんが、化学構造はベンゾジアゼピンに酷似しています(「ベンゾジアゼピン系」とは、一定の化学構造を有する化学物質の総称です)。
脳における働き方はベンゾジアゼピンと同様で、GABA受容体のベンゾジアゼピン結合部に結合することで眠気を催させます。

このベンゾジアゼピン結合部に何種類かあり、そのどれに結合しやすいかが薬によって少しずつ異なるために、若干のプロフィールの違いは出ますが(たとえばマイスリーでは筋弛緩作用が弱いので転倒リスクが低い)、睡眠薬の本質的な部分の違いはありません。
「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬はベンゾジアゼピン系睡眠薬と脳にもたらす作用は同じだが、深い睡眠のノンレム睡眠が増加して依存性や耐性が少ない」ことは、少なくともマイスリーとアモバンに関しては確認されていません。
どちらも短時間作用型、特にマイスリーは長短時間型の睡眠薬で、実質2時間くらいしか効きませんから、入眠から覚醒までをカバーすることはできません。よってこれらのお薬がノンレム睡眠を増やせるはずがないように思われます。

唯一の例外かもしれないのがルネスタです。
実はルネスタはエスゾピクロンという物質名からも察せられるようにアモバン(ゾピクロン)の親戚です。ただしくは片割れです。
化学物質には、化学式が同じでも、化学構造がちょうど鏡に映したような形になる等量の「光学異性体」(http://www.geocities.jp/mw_web2005/SInfo/99aut/imgs/fig2-1.gif)からなるものがあります。
アモバン(ゾピクロン)も、2つの光学異性体からなっていて、その一方がエスゾピクロンなのです。つまり、アモバンを服用した場合、その有効成分の半分はルネスタだということになります。

多くの場合、光学異性体は、特許が切れた薬剤から新薬を生み出す手軽な手段であることが多いのですが、ルネスタの場合、アモバンとは異なる扱いを受けています。
ベンゾジアゼピンの処方制限が厳しいアメリカで、睡眠薬として唯一、6ヶ月もの長期処方が許可されているお薬なのです。理由はもちろん、耐性と依存性が無いから、とされています。

俄かには信じがたいのですが、アメリカでそういった扱いを受けるだけのデータの裏付けがあるわけで、あるいはもしかしたら、相談者様が現在服用されているエバミールをルネスタに置換して、眠れるようになった後に減量・中止するという戦略は成り立ちうるかもしれません。
ただ、新薬ですので、まだ臨床経験が蓄積されておらず、私が知る限り、ベンゾジアゼピン断薬のためにルネスタを用いることの有効性を示す論文等はありません(アメリカでは2005年発売のお薬ですから、そういう研究があってもよさそうなものなのですが。そのような研究が無いことが、私がルネスタの存在意義を疑う理由の一つです)。

ちなみに、エバミールもルネスタも1~2mgが臨床用量ですから、ほぼ同じくらいのパワー(力価)の睡眠薬であると思われます。エバミール0.5mgならば、ルネスタも0.5mgに置換するのがよいでしょう。

この「力価」についても説明しておきます。
「薬の錠剤の量も7.5mgとか多いのが不安になります」とのことですが、これは気にされる必要がありません。
力価というのは、上述のベンゾジアゼピン結合部位に、薬が結合する力のことです。くっつく力が強いお薬と弱いお薬があり、前者は少量でも効き、後者はたくさん飲まないと効かないのです。
それを調整するために、結合力が強いお薬は1錠あたりの含有成分量が少なく(例:ハルシオン 0.25mg)、結合力が弱いお薬は1錠あたりの含有成分量が多いのです(例:ドラール 15mg←ベンゾジアゼピン系です)。

よって、単純にmg数だけで強い弱いは語れません。
Aというお薬の何mgと、Bというお薬の何mgが同じくらいの強さになるのかが、等価換算表と呼ばれる表にまとめられていますのでご参考まで。
http://www.oct.zaq.ne.jp/afalx209/hataclinic/medicine/kouseibun.html

結論としては、エバミールをを2~3ヶ月に0.1mgずつ、行きつ戻りつするのが王道で、もしかしたらルネスタが近道になるかもしれないといったところでしょう。

以上、ご参考になれば幸いです。
猫山司, メディカルアドバイザー
カテゴリ: 精神科
満足したユーザー: 14256
経験: 医師。国立大学医学部卒業後、臨床と研究に10数年間従事
猫山司をはじめその他名の精神科カテゴリの専門家が質問受付中
質問者: 返答済み 3 年 前.

大変くわしいご説明をありがとうございました。

また疑問点が出た際には質問させていただきますのでよろしくお願いいたします。

 

 

専門家:  猫山司 返答済み 3 年 前.
こちらこそ大変お待たせして申し訳ありませんでした。

また何かございましたら、拙ブログよりご質問下さい。

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