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猫山司
猫山司, メディカルアドバイザー
カテゴリ: 精神科
満足したユーザー: 14293
経験:  医師。国立大学医学部卒業後、臨床と研究に10数年間従事
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坂本と申します。妻(56歳)が統合失調症と思われます。2年半ほど前にも同様な症状がありました。いつも“お父さん”、”

解決済みの質問:

坂本と申します。妻(56歳)が統合失調症と思われます。2年半ほど前にも同様な症状がありました。いつも“お父さん”、”お父さん”優しい妻が性格が変わったように攻めてきます。夜が眠れないようです。最初の時精神科に行って薬をもらって治療していたのですが私がこんなになっていくのは薬の せいだと止めてしまいました。病院にも連れて行くことは無理です。本人に病気の自覚はありません。こちらにも生活があり、夜がつらいです。顔つきも変わって険しい表情で口論を(論理の筋が通っていない)しかけてきます。このような症状は時間さえ立てば、前回のように軽減していくものでしょうか?前回は約6ヶ月後くらいには何とか普通になりました。今回は、ベトナムに連れて行ったのが極度のストレスで再発症のきっかけだった気がします。宜しくお願いいたします。
投稿: 5 年 前.
カテゴリ: 精神科
専門家:  猫山司 返答済み 5 年 前.

こんにちは。猫山と申します。精神科医です。

 

奥様の精神医学的診断が統合失調症かどうかは検討の余地がありますが(統合失調症は典型的には10代後半~20代に発症し、薬物療法無しに寛解と悪化を繰り返すような病気ではありません)、とにかくお困りなのは理解いたします。

 

ここでは診断論は置いておいて、奥様が統合失調症であるという前提で回答させていただきます。

 

病識(自分が病気であるという認識)のない統合失調症患者様をいかに治療に導入するか、は精神科臨床の古くからのテーマです。
残念ながら、解決方法はそう多くはありません。

過去には、数人の医師と看護師で「往診」して、患者様を拉致同然に連れて行き入院させる病院もありました。
今は人権問題になりますのでそれをする医療機関は恐らくありませんが、「患者搬送代行」を謳って患者様を病院まで連れて行く「サービス」を提供する警備会社等はあるようです。
この話を持ち出したのは、そうした業者の利用を勧めているわけでは決してなく、そのような商売が成り立つほどにこの問題が一般的なものであることをわかっていただきたかったからです。

統合失調症であっても、患者様を説得して、同意していただいて治療するというのが現在の精神科医療の流れですが、幻覚や妄想が激しい急性期において、それが難しい患者様がおられるのも厳然とした事実です。
そうした場合の次善の策としてしばしば用いられるのが「水液」です。

これは抗精神病薬の液剤で、ある程度の味や匂いはありますが、飲み物や食べ物に混ぜることで患者様にそれとは知られずに飲ませることができる剤形です。

非告知投与と呼ばれる方法で、理想的なやり方ではありませんが、それを行わなければならない状況があるのも確かです。

奥様には精神科受診歴がありますので、その時の主治医に相談された上で、抗精神病薬の水液を処方してもらい、食べ物や飲み物に混入して少しずつ奥様に投与し、落ち着いたところで病院に連れて行くのがよいと思います。

この場合、連れて行った際に即入院させてもらえるよう話をつけておくことが望ましいでしょう。

それを了承してもらえないのであれば、入院を受けてくれる病院を紹介してもらえないか、交渉はしてみるべきです。

それでも埒があかなければ、地域のお役所--保健所や区役所などで「精神保健相談」を受付けていることがありますので、そうした機関に入院先を紹介してもらえないか相談することもできます。

 

あくまで統合失調症であれば、ですが、生涯に渡る服薬が必要です。


残念ながら奥様のようなタイプの患者様を初めから規則的に外来で治療することは困難であり、まずは入院させて、症状の改善と、診断確定、診断が統合失調症と確定した場合の疾患教育(自分が統合失調症であり、生涯に渡る服薬が必要であることを認識していただくことです)を行ってもらい、徐々に外来で治療が行えるように移行していくのが無難かと存じます。


いささか乱暴に思われるかもしれませんが、本音で、現実的な方法を提示したつもりです。

統合失調症は、これも綺麗ごとではなく、未治療のままだと自傷他害に至る患者様もおられる精神疾患です。
将来的なことを考えても、現時点で、多少強硬に思えても、奥様を治療につなげる方法を選択すべきであると愚考いたします。

ご参考まで。
薬物療法のインフォームド・コンセントと看護

http://dspace.lib.niigata-u.ac.jp:8080/dspace/bitstream/10191/6080/1/18_0018.pdf
168ページから169ページにかけて、非告知投与の判例が示されています。
また、私とは異なる観点でこの問題に関するマニュアルを作成・公開している精神科医もいますので、こちらも参考になさってみてください。

「受診拒否!」 ご家族の対応マニュアル(統合失調症編)

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