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猫山司
猫山司, メディカルアドバイザー
カテゴリ: 精神科
満足したユーザー: 14290
経験:  医師。国立大学医学部卒業後、臨床と研究に10数年間従事
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32歳になる娘が統合失調症です。発症したのは10年ぐらい前からで、5年前に精神科に2ヶ月入院、その後薬物 治療をず

解決済みの質問:

32歳になる娘が統合失調症です。発症したのは10年ぐらい前からで、5年前に精神科に2ヶ月入院、その後薬物
治療をずっと続けています。昨年いい人にめぐりあい結婚したのですが、今年の7月終わりくらいから薬の服用を止
めてしまい、再発してしまいました。婿が主治医の先生と話しをして、なんとか薬を飲めるように説得してくれている
んですが飲もうとはしてくれません。私は車で50分ぐらい の距離に住んでいて、なかなか毎日会いに行けなくて
電話での話しになるんですが、最近は状態がよくないのが電話の声から伝わってきます。妄想がひどいように思い
ます。婿も最初はなんとか薬を飲まそうと、私にも色々相談してきていとのですが、最近はあきらめもあるのか何も
言ってきません。なんとか自分の意思で薬を飲むようにしたいと思のですが何かいい方法はないものでしょうか。
どうしたら本人を納得させて病院に連れて行くことが出来るのか・・・・とても悩んでいます。
投稿: 5 年 前.
カテゴリ: 精神科
専門家:  猫山司 返答済み 5 年 前.

こんにちは。

精神科医の猫山と申します。

 

ご相談内容は、精神科領域においてしばしば直面する問題です。それに対するノウハウもございますので、もしかしたらお役にたてるかもしれません。

 

結論としては水液を用いた非告知投与が提示できる方策ということになりますが、既にお試しになっているのであれば以下はお読み流し下さい。

 

病識(自分が病気であり、治療を受ける必要があるという認識)のない統合失調症患者様をいかに治療に導入するか、は精神科臨床の古くからのテーマです。

過去には、数人の医師と看護師で「往診」して、患者様を拉致同然に連れて行き入院させる病院もありました。
今は人権問題になりますのでそれをする医療機関は恐らくありませんが、「患者搬送代行」を謳って患者様を病院まで連れて行く「サービス」を提供する警備会社等はあるようです。
この話を持ち出したのは、そうした業者の利用を勧めているわけでは決してなく、そのような商売が成り立つほどにこの問題が一般的なものであることをわかっていただきたかったからです。

統合失調症であっても、患者様を説得して、同意していただいて治療するというのが現在の精神科医療の流れですが、幻覚や妄想が激しい急性期において、それが難しい患者様がおられるのも厳然とした事実です。
そうした場合の次善の策としてしばしば用いられるのが「水液」です。

これは抗精神病薬の液剤で、ある程度の味や匂いはありますが、飲み物や食べ物に混ぜることで患者様にそれとは知られずに飲ませることができる剤形です。

非告知投与と呼ばれる方法で、理想的なやり方ではありませんが、それを行わなければならない状況があるのも確かです。

お嬢様には受診歴があり、主治医もおられますので、条件としては恵まれている方です。

ご主人が家族相談の形で主治医に相談された上で、抗精神病薬の水液を処方してもらい、食べ物や飲み物に混入してお嬢様に投与し、落ち着いたところで病院に連れて行くのがよいと思います。

この場合、連れて行った際に即入院させてもらえるよう話をつけておくことが望ましいかもしれません。

 

残念ながらお嬢様のようなタイプの患者様を、病状が不安定な時期に規則的に外来で治療することは困難であり、まずはとにかく入院させて、症状の改善と疾患教育(自分が統合失調症であり、生涯に渡る服薬が必要であることを認識していただくことです)を行ってもらい、徐々に外来で治療が行えるように移行していくのが無難かと存じます。

このあたりはご家族内でご相談されるべき事案ですが。


ご参考まで。
薬物療法のインフォームド・コンセントと看護
168ページから169ページにかけて、非告知投与の判例が示されています。


また、私とは異なる観点でこの問題に関するマニュアルを作成・公開している精神科医もいますので、こちらも参考になさってみてください。
「受診拒否!」 ご家族の対応マニュアル(統合失調症編)

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