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猫山司
猫山司, メディカルアドバイザー
カテゴリ: 精神科
満足したユーザー: 14293
経験:  医師。国立大学医学部卒業後、臨床と研究に10数年間従事
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お尋ねします。 友人のお子様が、統合失調症になり、一度入院をして退院しましたが、薬を飲まなくなり、状態はどんどん悪

解決済みの質問:

お尋ねします。
友人のお子様が、統合失調症になり、一度入院をして退院しましたが、薬を飲まなくなり、状態はどんどん悪くなり、病院にも相談しましたが本人が治す気持ちがなければ、治療できないと言われ、一度残っている薬を大量に飲み手首に傷があり、自殺未遂をしました。今は、母親に対して攻撃的で、物を投げる壊すといった事が日々続い ているそうです。母親も、青あざがたえないようです。まだ、母親は我慢が出来ると言いますが、このままで良くなるとは思えません。母親は、精神病院では治らないと、他に病院を探したいと言っていますが、仕事を持っておりなかなか、病院探しも困難です。日がたてば、たつほど悪化していくのではと、とても心配です。下に受験生の兄弟もいます。どうしたらよいのでしょうか。宜しくお願いします。 H
投稿: 5 年 前.
カテゴリ: 精神科
専門家:  猫山司 返答済み 5 年 前.

患者様のお母様であられるご友人が苦しい状況にあるのはお気の毒に思いますが、統合失調症なのですから「精神病院では治らない」ではなく「精神病院でないと治らない」病気です。

ただ、急性期統合失調症の治療において「本人が治す気持ちがなければ、治療できない」とのたまうような病院には見切りをつけて、他の病院を探した方がいいかもしれません。

しかし今の状況で他院に連れて行くことが出来たとしても、初診の患者さんを入院(後述するように、このの患者さんについては必要になると思います)させてくれるかどうかはまた難しい問題ですが。

 

ともあれ、いま重要なのはいかにご友人の息子さんを精神科医療に繋げられるかを考えることです。

 

病識(自分が病気であるという認識)のない統合失調症患者様をいかに治療に導入するか、は精神科臨床の古くからのテーマです。

過去には、数人の医師と看護師で「往診」して、患者様を拉致同然に連れて行き入院させる病院もありました。
今は人権問題になりますのでそれをする医療機関は恐らくありませんが、「患者搬送代行」を謳って患者様を病院まで連れて行く「サービス」を提供する警備会社等はあるようです。
この話を持ち出したのは、そうした業者の利用を勧めているわけでは決してなく、そのような商売が成り立つほどにこの問題が一般的なものであることをわかっていただきたかったからです。

統合失調症であっても、患者様を説得して、同意していただいて治療するというのが現在の精神科医療の流れですが、幻覚や妄想が激しい急性期において、それが難しい患者様がおられるのも厳然とした事実です。
そうした場合の次善の策としてしばしば用いられるのが「水液」です。

これは抗精神病薬の液剤で、ある程度の味や匂いはありますが、飲み物や食べ物に混ぜることで患者様にそれとは知られずに飲ませることができる剤形です。

非告知投与と呼ばれる方法で、理想的なやり方ではありませんが、それを行わなければならない状況があるのも確かです。

本来ならば、ご友人の息子さんは受診歴がありますので、主治医に相談された上で、抗精神病薬の水液を処方してもらい、食べ物や飲み物に混入して少しずつご友人の息子さんに投与し、落ち着いたところで病院に連れて行くのがよいと思います。

この場合、連れて行った際に即入院させてもらえるよう話をつけておくことが望ましいでしょう。

それを了承してもらえないのであれば、入院を受けてくれる病院を紹介してもらえないか、交渉はしてみるべきです。

それでも埒があかなければ、地域のお役所――保健所や区役所などで「精神保健相談」をしていることがありますので、そうした機関に入院先を紹介してもらえないか相談することもできます。


残念ながらご友人の息子さんのようなタイプの患者様を初めから規則的に外来で治療することは困難であり、まずはとにかく入院させて、症状の改善と疾患教育(自分が統合失調症であり、生涯に渡る服薬が必要であることを認識していただくことです)を行ってもらい、徐々に外来で治療が行えるように移行していくのが無難かと存じます(経験的には、それでも相当数の患者様が断薬⇒病状再発を何度かは繰り返します)。

いささか乱暴に思われるかもしれませんが、本音で、現実的な方法を提示したつもりです。

統合失調症は、これも綺麗ごとではなく、未治療のままだと自傷他害に至る患者様もおられる精神疾患です。
将来的なことを考えても、現時点で、多少強硬に思えても、ご友人の息子さんを治療につなげる方法を選択すべきであると愚考いたします。

乱筆乱文をお許しください。

ご参考まで。
薬物療法のインフォームド・コンセントと看護
168ページから169ページにかけて、非告知投与の判例が示されています。

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