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猫山司
猫山司, メディカルアドバイザー
カテゴリ: 医療
満足したユーザー: 14189
経験:  医師。国立大学医学部卒業後、臨床と研究に10数年間従事
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9才、4月」からは4年生になる女の子の母です。2歳ころには1度おむつが完全にはずれました。が、5才ころよりおねしょが

解決済みの質問:

9才、4月」からは4年生になる女の子の母です。2歳ころには1度おむつが完全にはずれました。が、5才ころよりおねしょが始まりました。いろいろ私なりに原因を考え、夜の水分を控えたり、さみしい思いをさせないように・・・などしてきたつもりなのですが、ときどきのおねしょだったのが、今では週5回くらいは失敗しています。
5月には、宿泊学習もあり本人も困っています。
かかりつけの小児科には毎年相談してますが、一向に治療らしいことはしてもらえず、どこの病院へ行けばいいのかもわからず困ってます。
投稿: 4 年 前.
カテゴリ: 医療
専門家:  猫山司 返答済み 4 年 前.
こんばんは。猫山と申します。小児精神科医です。

相談者様が色々と試行錯誤されたように、夜尿症は多要因性の病態であり、膀胱機能、睡眠因子、内分泌因子、遺伝的因子、精神的因子といった要因が絡まり合って悪化したり改善したりします。
お嬢様の場合、2歳時にいちどおむつが外れ、5歳時から夜尿が始まり、しかも頻度が増し、現在9歳とのことですから、専門的治療を受けられることを検討されるべきでしょう。

まずは夜尿作用の各因子がどのような意味も持つのかを簡単に説明いたします。

■膀胱機能:お子様の成長とともに膀胱の発達していき、4~5歳になると夜間トイレに一度も行かなくてもよい位の寮の尿をためられるようになります。夜尿症の子どもの中には、膀胱が未発達で、十分量の尿を溜められないことがあります。

■睡眠因子:成人の場合は、膀胱に一定量以上の尿が溜まると睡眠が浅くなり、覚醒します。子どもでは睡眠が深いため、この膀胱内の尿量増加⇒覚醒という機能が十分に働かないことがあります。これは必ずしも異常所見ではありませんが、年齢不相応であればある種の訓練が必要とされる場合があります。

■内分泌因子:抗利尿ホルモンという、尿を出にくくするホルモンの分泌リズムの障害が夜尿症の原因となる場合があります。抗利尿ホルモンは通常、昼間の分泌量が少なく、夜になると分泌量が多くなるため、夜間の尿量が抑えられます。夜尿症のお子様の25%で、夜間の抗利尿ホルモンの分泌がむしろ低下することが知られています。

■遺伝的因子:両親がともに夜尿症であった場合は77%、どちらか一法が夜尿症だった場合は44%の確率でお子様が夜尿症を呈するというデータがあります。

■精神的因子:ストレスにより自律神経の働きが不調となることが排尿のコントロールに影響することがあります。特に夜尿症の場合、夜尿そのものがストレスになり、悪循環を呈することが少なくありません。

治療も、それぞれの因子の軽重を判断した上で複数の治療を組み合わせていく必要があります。
しかし、これらの5つの要素すべてを改善しなければならないわけではありません。

5つの錘がついて舞い上がれずにいる気球を想像してください。
この気球を宙に浮かすにはどうすればよいでしょうか。
5つの錘すべてを小さくしたり取り除いたりする必要はありません。5つのうちのいくつかを外したり小さくしたりして、総量としての錘の重量を軽くできれば、気球は空に飛ぶはずです。
例えば遺伝的因子はご子息ご本人やご家族の努力でどうこうできるものではありません。
よって、膀胱機能、睡眠因子、内分泌因子、精神的因子の4つに働きかけて負荷を減らしていく必要があります。

まずは飲水量・排尿習慣のコントロール、就寝時排尿の習慣化といった生活指導が行われます。

膀胱機能と内分泌的因子に問題がある場合は、薬物療法が第一選択治療となります。
抗利尿ホルモンの点鼻薬が夜尿症に対して保険適応を有しており、就寝前の点鼻で、抗利尿ホルモンの分泌不足を補うことができます。
また、三環系抗うつ薬の有効性も広く確認されています。これはその抗うつ作用や抗不安作用のために夜尿症に効くわけではなく(したがって精神的因子にはあまり関係がありません)、尿意覚醒を促進する作用、排尿抑制作用、尿量減少作用などによって多面的に夜尿症に対する薬理作用を発揮すると考えられています。
病態や改善の有無に合わせて、これらの薬を切り替えたり組み合わせたりして最善の薬物治療をみつけだす必要があります。

膀胱機能障害に対しては、排尿抑制訓練なども有用とされています。ベッドの上に敷いたり、下着や体に直接装着して水分を感知すると警報が鳴る夜尿アラームは広く推奨されている夜尿症治療法の一つですが、この装置は、尿意による覚醒を促すことによって睡眠因子に働きかけるのではなく、睡眠中の尿の保持力を増加させることで尿意覚醒をせずに朝までもつようになる膀胱機能への作用が大きいと考えられるようになっています。

また、精神的因子に関しては、「自分の意思とは関係無く夜尿をするため、本人に非は無い。それでも落ち込んだりコンプレックスを持ったりするため、叱ったりせず、家族でサポートすることが重要」という親の見守りが基本姿勢となります。
両親の離婚、転居、いじめ、弟妹が生まれたといった環境の変化が明らかに影響していると思われる夜尿症の場合は、カウンセリングが行われることもあります。夜尿症治療におけるカウンセリングではそのための専門知識が必要ですから、普通の心理士がその役割を果たすのは難しいでしょう。

お嬢様のように、生活指導も功を奏さず、一定の年齢(7歳が目安になります)になっても夜尿症が続くお子様は、薬物療法、非薬物療法、カウンセリングを組み合わせて改善を図る必要があります。夜尿症では、治療的介入を行った場合、3年後には90%の症例で改善が得られます。

しかし、相談者様が既にご経験のように、普通の小児科医に上述したような複合的な治療を期待するのは難しいでしょう。
その場合は夜尿症専門外来がある施設の受診が必要となります。以下のサイトで専門施設を地域別に検索することができます。

【相談ができる医療機関 | 夜尿症-おねしょ-ナビ】
http://www.kyowa-kirin.co.jp/onesho/search/index.html

JustAnswerでは特定の医療機関の紹介・推薦は行いませんが、上記のサイトから通院可能な医療機関をみつけて受診されることをお勧めいたします。

以上、ご参考になれば幸いです。
猫山司, メディカルアドバイザー
カテゴリ: 医療
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経験: 医師。国立大学医学部卒業後、臨床と研究に10数年間従事
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