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patent777, 弁理士
カテゴリ: 特許・商標・著作権
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初めまして。弊社の扱う写真画像の無断不正使用についてご質問させていただきます。

解決済みの質問:

初めまして。弊社の扱う写真画像の無断不正使用についてご質問させていただきます。
弊社はストックフォトビジネスとして、自社著作物である写真画像をネット上で販売(レンタル)しております。また関連ビジネスとして撮影スタジオの運営も営んでおります。
先日、とある会議場紹介サイトに、弊社のスタジオの写真画像と企業情報が掲載されておりました。身に覚えがないので確認すると、無断で掲載し、商用利用していたことが分かり、先方より謝罪等のメールを頂きました。著作物の使用が生業である弊社にとって死活問題ですので、弊社写真使用規約に基づき、最低写真使用料7.560円に不正使用のペナルティ率10倍の75,600円をお支払いして欲しいとの旨をメールにて伝え、連絡をいただくようお願い致しました。数日経っても連絡がないのでこちらから連絡をすると「弁護士を通して裁判でもなんでもやってくれ」と担当者に告げられ、一方的に電話を切られました。先方は、調べるとIT関連のベンチャー企業のようです。そこでお伺いしたいのは、写真画像の不正使用と企業情報の不正掲載について訴訟の対象になり得るのか、また特に企業情報の不正掲載について損害賠償できるのかどうかをご指導頂ければと思います。宜しくお願い致します。
投稿: 5 ヶ月 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
専門家:  patent777 返答済み 5 ヶ月 前.

知的財産権を専門とする者です。

写真につきましては、著作権が生じていると思われますので、著作権法を根拠として、その無断掲載に対して差止請求(著作権法112条)及び損害賠償請求(民法709条)の対象となると考えられます。

一方、企業情報につきましては、これが「著作物」に当たるかどうかにより結論が異なってきます。少し調べてから再度ご説明させていただきますので、ご了承くださいませ(明日の昼前後までにはご説明したいと思います)。

専門家:  patent777 返答済み 5 ヶ月 前.

昨日の者です。

不正使用されたスタジオhttp://www.kinostudio.jp/life.top.htmlと先方の会議場紹介サイト https://businessroom.jp​のウェブサイトを拝見しましたが、不正使用されたスタジのウェブページに掲載されているどの写真とどの企業情報が、先方の会議場紹介サイトの何処に掲載されているのかは分かりませんでした。

しかしながら、少なくともスタジオの写真画像につきましては、「著作物」となると思われますので、これを無断でサイトに掲載しますと、その写真をサーバーに複製することになりますので著作権のうち複製権(著作権法21条)を侵害し、また、先方のサイトへアクセスした者へ画像データを送信することになりますので、公衆送信権(送信可能化権を含む。同法23条)を侵害する行為となります。

また、後述する判例により、著作者人格権のうちの氏名表示権(同法19条)の侵害にもなると思われます。

一方、企業情報ですが、これが「著作物」に該当する場合には、写真と同様にそのサイトへの掲載は複製権、公衆送信権及び氏名表示権の侵害になると思われます。

先ほども申しましたように、企業情報がどのようなものかは、分かりませんでしたので、それが著作物がどうかは断定できませんので、この「著作物」についての一般的なご説明をさせていただきます。

この「著作物」とは、著作権法上「思想又は感情を創作的に表現したもの・・・」と規定されています(著作権法2条1項1号)。
 すなわち「創作的」な「表現」について著作物であるとされ、著作権が生じます。そのため、「創作的な表現」でないものは著作物とはならず、著作権は生じません。
 この「創作性」とは、完全な独創性までは要求されておらず、また、学術性や芸術性の高さも求められてはおらず、何らかの個性が現れていればよいとされています。もう少しくだけた言い方をしますと、他人の著作物の「模倣」でなければ、創作性は認められるといった程度のものといえます。
 ただし、いくら先行する他人の著作物の模倣ではなく、人事異動や死亡記事などの事実の伝達にすぎない雑報や、単なる日々の社会事象をそのまま表現したに過ぎない時事の報道については、著作物とは認められません(同法10条2項)。
 また、「思想又は感情」の「創作的な表現」が著作物として認められますので、例えば、「東京タワーの高さが333メートルである。」といった事実そのものを表現したにすぎないものや、月の軌道データのような自然科学上の事実、電車のダイヤ等のデータ、時刻表、理科年表などデータをほぼそのまま記載しているにすぎない文章は、「思想又は感情の創作的な表現」とはいえず、「著作物」には該当しません。
 それから、日常の挨拶文(時候の挨拶文、転居通知、出欠の問合せなど)、商用文(物品の発注、代金の督促など)、スポーツやゲームのルール自体(ルールの解説書は除く)、題号(映画、書籍、CD等のタイトル)のようなものも「思想又は感情の創作的な表現」ではないといえます。
 上記のような創作性のないもの(単なる事実やデータなど)と共に、著者独自の(説明)文章も掲載されているような場合には、そのような独自の文章と創作性のない部分(単なる事実やデータ等)を併せた全体に対して、著作物と認められる可能性はあります。
 その場合であっても、単に創作性のない箇所(上記の例では事実の伝達にすぎない雑報部分、時事の報道部分、データ部分等)のみを利用しても、その部分が著作物でない以上、その利用は著作権の侵害とはなりません。
 要するに、模倣ではなく著者独自の何らかの個性が表現されている箇所は「創作的な表現」と認められ、「著作物」に該当し、「著作権」が生じていますので、その箇所を利用した場合には、著作権の侵害になります。ここでいう「利用」とは、その創作性のある箇所を「複製」したり、「編集などの翻案」したり、ネットへ掲載したりといったようなことです(同法21条~28条)。
 一方、創作性の認められない箇所を利用しても、そもそもそのような創作性のない表現箇所は著作物ではなく、著作権が生じていませんので、著作権の侵害ということは成り立たないことになります。

そのため、質問者様の企業情報が、単なる御社に関する事業内容、規模などを表現したにすぎないものであれば、創作性が否定され、著作物とはならず、著作権は生じないことになりますが、企業情報の表現に何等かの個性が発揮されていれば創作性が認められて著作物となり、著作権が生じることとなります。

少し抽象的なご説明で申し訳ありませんが、そのような解釈となります。

また、ご質問には「スタジオの企業情報を写真とともに先方が運営する会議場紹介サイト に無断で載せ、拡充中との虚偽の掲載に使用した模様 」とありますが、この「虚偽の掲載」の行為につきましては、不正競争防止法における不正競争行為に該当する可能性があります。

不正競争防止法における不正競争行為(同法2条1項14号)には、以下のものがあります。

「商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為」

そのため、質問者様の写真を会議場紹介サイト に無断で載せ、拡充中との虚偽の掲載に使用した場合には、この不正競争行為となり、差止請求(不正競争防止法3条)及び損害賠償請求(同法4条)の対象になると思われます。

また、故意の場合には、著作権侵害や不正競争行為に対して刑事罰の適用の対象となります(著作権法119条、不競法21条2項1号)。そのため、質問者様からの連絡後も先方が掲載を止めない場合には、刑事罰の対象となり得ます。

参考までに、本件と類似のケースについての裁判例を以下に掲載しますので、参考になるかと思われます。

昨年の4月にストックフォトサービスを運営するアマナイメージズは、同社が有料販売する写真素材をWebサイトで無断使用した弁護士法人に対して訴訟を提起し、勝訴しています。

この判決は、有料素材サイトで販売されている写真について無断使用が発覚した際、「ほかのサイトからダウンロードしたので無断使用とは知らなかった」のだとしても、利用者は「識別情報や権利関係の不明な著作物の利用を控えるべき義務がある」と判断し、著作物を利用する際には権利関係についての確認を義務付ける内容のものでした(判決年月日:平成27年4月15日、事件番号:平成26(ワ)24391、東京地方裁判所)。

そして、本訴訟において東京地裁は、無断利用した弁護士法人に対し約30万円の支払いを命じる判決を言い渡し、確定しました。

この判決の内容を詳述しますと、

(1)無料ダウンロードサイトから入手する場合であっても、著作物を利用する際は利用者側が権利関係について調査・確認する義務がある。

(2)有料販売時は著作者の氏名表示がない使用を認めるが、無断で不正使用した場合には氏名表示がない場合には著作者人格権の侵害となりうる。

(3)権利者(被害者)は、加害者側に著作権侵害の故意・過失があることを立証しなくても、無断使用の事実を被害者側が示せば、損害賠償責任が認められる可能性がある。

というものです。

この判決は、被害者が、加害者に故意や過失があったかどうかを立証しなくても、無断使用した事実さえ証明すれば勝訴できたという重要な例になります。

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