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patent777, 弁理士
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著作権に関して質問です。

解決済みの質問:

著作権に関して質問です。
著作物のコピーは教育機関などでは例外的に認められていますが、障害者就労移行支援事業所(障害者総合支援法に定められた)の訓練内で著作物をコピーし配布するのは可能でしょうか?
なお母体となる法人は株式会社です。
また例えば「コピーを配布し訓練後回収するなら大丈夫」など、どの範囲までなら著作物の使用が認められるでしょうか?お知恵をお貸しください。
投稿: 5 ヶ月 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
質問者: 返答済み 5 ヶ月 前.
36861;加情報です。
著作物とは中学校の問題集(国語、数学、理科、社会)です。そのため問題自体は著作物では無いような気もしますが…ご教授いただければ幸いです。
専門家:  patent777 返答済み 5 ヶ月 前.

知的財産権を専門とする者です。

まず、中学校の問題集であっても著作物となり得ます。

著作物とは著作権法上以下のように規定されています。

「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」著作権法2条1項1号)。

ここで要求される「創作性」につきましては、高度な芸術性や創作のための困難性などは不要でして、他人の模倣でなかったり、ありふれたものでなければ創作性が認められて著作物となります。

そのため、ご利用されようとしている問題集の表現がありふれたものであるとか、単なる事実をそのまま表現したに過ぎないといったようなものでない限りは、著作物となり得ます。ただし、問題集のすべての表現が著作物となるとはいえませんので、その問題集に掲載されている文章などのうち、創作性のない箇所のみを利用した場合には、著作権とは抵触しないこととなります。

そのため、以下では問題集が著作物であるまたは、創作性がある部分を利用することを前提にご説明します。

障害者の支援のために問題集を利用するということですので、著作権法のうち、これに関連する箇所に絞ってご説明させていただきます。

1.教科用図書への掲載の場合は許諾を得ずに利用できます(同法33条)。

公表された著作物であって、教科用図書(小・中・高校で利用され文科省の検定を受けたものなど)に掲載する場合には、コピーすることができます。

ただし、本件では、教科用図書への複製ではないようですので、本規定は適用されないと思われます。

2.教科用拡大図書等の作成のための複製の場合には許諾を得ずに利用できます(同法33条の2)

視覚障害者や発達障害者のために、複製することができるのですが、複製できる対象が教科用図書となりますので、本件のような問題集は本規定が適用されません。

3.視覚障害者等のための複製の場合には許諾なく利用できます(同法37条)。

この規定が適用される条件は、①公表された著作物を利用すること、②複製の主体は、視覚障害者等の福祉に関する事業を行う者で政令で定めるものであり、政令(著作権法施行令2条)において、国立国会図書館、大学等の図書館、学校図書館、視聴覚障害者情報提供施設、知的障害児施設、盲ろうあ児施設等が指定されています。その他文化庁長官が指定すれば法人格のないNPO法人等もこれに当たります。③視覚障害者やそれ以外の視覚による表現の認識に障害のある者(発達障害者、色覚障害者等)が利用するための複製であること、④利用方法が、録音図書、拡大図書、デジタル録音図書(デイジー図書)、布の絵本、触図、各種コード化、映像資料のサウンドを映像の音声解説とともに録音すること等、視覚障害者等がアクセスするのに必要な方式での複製であること

これらの要件すべてを満たすことで複製することができます。

ご質問にある「障害者就労移行支援事業所」が政令で定められている者となる場合には、複製ができると思われますが、母体となる株式会社が複製する場合には、適用されないこととなります。

4.聴覚障害者等のための複製の場合には許諾なく利用できます(同法37条の2)

聴覚障害者や発達障害者や難聴者の福祉に関する事業を行う者で政令で定めるものは、聴覚によりその表現が認識される方式(聴覚及び他の知覚により認識される方式を含む)で公衆に提供されている著作物を、音声を文字にする等の聴覚障害者等が利用するために必要な方式により複製することができます。

この場合も政令(著作権法施行令2条の2)に定められている者でなければ複製することができません。例えば視聴覚障害者情報提供施設を設置して聴覚障害者等のために情報提供事業を行う国、地方公共団体等や文化庁長官が指定するものや学校図書館等が定められています。

5.引用(32条)

引用につきましては、教育機関や障害者のための利用に限らず、著作物の利用一般に関する場合であり、この「引用」となるような利用をする場合には著作権の侵害とはなりません。文章を使用する場合や写真を利用する場合には、引用であれば、著作権とは抵触しないことになります。
 この「引用」に該当するには、①公表された著作物であること。②公正な慣行に合致していること、③報道・批評・研究その他の引用の目的上正当な範囲内であること、の3つの要件を満たす必要があります。
 この要件を踏まえた上で、裁判上認められた引用基準というものがございます。以下の5つの要件を全て満たした場合です。
 ①明瞭性→引用する側の著作物(質問者様の文章)と、引用される側の著作物(問題集)との区別が明瞭であること。例えば、引用部分をかぎかっこで括るなどです。写真のように引用した範囲が明確であれば線で囲むなどをしなくても明瞭の要件を満たすと思われます。
 ②付従性→引用する質問者様の文章が主体で、引用される元の著作物(問題文)が従たる存在であること。要するに引用した表現部分が質問者様の投稿文の中に吸収されており、引用部分がメインであるような内容になっていないということです。
 ③必要最小限→引用の範囲が引用の目的上必要最小限の範囲であること。例えば、美術作品・写真・俳句のような短い文芸作品であれば、全部の引用が可能ですが、学説・論文等については全部の引用はできないというようなことです。
 ④人格権への配慮→著作者の人格権侵害や名誉棄損とならないように配慮する必要があります。
 ⑤質問者様の文章も著作物であることを要します。高度な独創性は不要ですが、説明文などにおいて何らかのご自身の表現を用いていればいいという程度のものです。
 結構、細かい条件ですが、この判例の条件を全部満たすことで引用が可能になると思われます。
 また、元の著作物(問題集)を引用するにあたりましては、出所を明示する必要があります(著作権法48条1項1号)。例えば、著作者名(氏名、筆名、雅号、サイン、略称など)、題号、出版社名などの明示が必要です。
 したがいまして、上記に掲げましたいずれかの制限規定に該当するような場合には、著作権者の承諾を得ずに利用することができるということになります。

質問者: 返答済み 5 ヶ月 前.
35443;しく説明していただきありがとうございます!それでは、
オリジナルに創作した問題や文章の量を超えない範囲で、著作物のコピーを何ページかつけて利用するのは引用など制限規定にあたりますか??
専門家:  patent777 返答済み 5 ヶ月 前.

具体的なパーセンテージが定められているわけではないので、何ページであれば引用に該当するとかしないとかといったことは言えませんが、質問者様の創作した問題や文章の中に、先の中学校の問題集が従属的に記載されている場合には、引用に当たることになります。

引用に該当するかしないかは、仮に訴訟となった場合に裁判所で判断され、ケースバイケースで判断されることになります。

安全サイドでお話ししますと、質問者様の文章に対して中学校の問題集をかなり少なめに複製しないと引用には該当しないのではないかと予想されます。

それから、引用するには、「報道・批評・研究その他の引用の目的上正当な範囲内であること」も要件となりますが、この「その他の引用の目的上正当な範囲内」についてもケースバイケースで判断されますので、市販の問題集の複製がこの要件に合致するかは難しいところではないかと思われます。

この引用は、裁判で争ってみなければ適用されるかどうかがはっきりしない規定ですので、その利用にあたってはリスクが大きいということになってしまいます。

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