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カテゴリ: 特許・商標・著作権
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大学に勤務しているものです。著作権の譲渡に関して分からないので,教えて下さい。 研究成果を論文にまとめてA雑誌

質問者の質問

大学に勤務しているものです。著作権の譲渡に関して分からないので,教えて下さい。

研究成果を論文にまとめてA雑誌に投稿し掲載されたとします。この論文の著作権はA雑誌社に譲渡する必要があり,譲渡書にサインして提出しています。
その論文に使われているαという図表を,他のB学会に委託されて解説記事を書く際に使用します。この段階で,αという図表の著作権はA雑誌社にあるので,A雑誌社にB学会での解説記事に使用する掲載許可を得る必要があるかと思います。そのような手続きをして,B学会誌にαという図表も掲載された解説記事が掲載されます。このとき,B学会からこの解説記事に対する著作権の譲渡を依頼されました。これに応じると,そこで使われているαという図表に関する著作権をA雑誌社とB学会に二重譲渡したことにならないか気になります。どうなのでしょうか。
投稿: 3 年 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
専門家:  patent777 返答済み 3 年 前.
 知的財産権を専門とする者です。

 ご質問にありますように本件図表を含む論文の著作権をA雑誌社に譲渡した後に、本件図表の著作権をB学会に譲渡しますと、本件図表の著作権はA雑誌社とB学会の双方に二重譲渡したことになります。

 このように二重譲渡した場合、登録が第三者対抗要件となります(著作権法77条1号)。

 すなわち、著作権の譲渡について登録した者のみが、著作権者になり、未登録の者に対して著作権者の地位を主張することができます。

 一方、いずれも登録している場合には、先に登録した者が著作権者の地位を有することになります。

 また、いずれも登録していない場合には、双方が著作権者となり、いずれも同一内容の著作権を有することになります。

 したがいまして、A雑誌社が譲渡の登録をし、B学会が登録していない場合は、本件図表の著作権はA雑誌社が有します。

 A雑誌社もB学会もいずれも譲渡の登録をしていない場合は、本件図表の著作権はAとBの双方に帰属することになります。

 また、A雑誌社もB学会もいずれも譲渡の登録をしている場合は、先に登録した者が著作権者ということになります。

 なお、論文の著作者である質問者様には、財産権的性質を有する著作権(複製権、公衆送信権、口述権、譲渡権、翻案権等。著作権法21条~28条)の他に、人格権的性質を有する著作者人格権(公表権、氏名表示権、同一性保持権。同法18条~20条)があります。

 譲渡することができるのは、著作権のみであり、著作者人格権は譲渡することができません(同法59条)。そのため、質問者様は、著作者人格権は持っている点ご留意しておいてください。

 そのため、著作者人格権を譲渡できない代わりに、それを行使しない旨の特約を結ぶことができます。
質問者: 返答済み 3 年 前.

ご回答有難うございました。


 


現在,B学会からの著作権譲渡依頼にどう対処すべきか悩んでいるところです。ご回答からすると,B学会誌に寄稿した解説記事の著作権をB学会に譲渡すると,そこで使用されている(正確にはA雑誌社の許可を得て転載されている)図表の著作権もB学会に譲渡したことになってしまい,二重譲渡になるのですね。そのような状況は避けたいと考えています。


 


図表の著作権はA雑誌社にあるが,それについて解説した記事の著作権はB学会に譲渡するということはできないのでしょうか。つまり,B学会誌の中に掲載されている図表については著作権譲渡せずに,それ以外の部分について著作権譲渡するという考えです。これにより二重譲渡の状況を回避できるのであれば,そのようにしたいと思います。


 


また,図表内に,より詳細な説明を書き加えることや新たなデータを追加して,情報を増やすなどの「加工」をして,B学会誌に掲載すれば,その図表は先にA雑誌に掲載したものとは別のものとして扱われ,私の別な著作物としてB学会に著作権譲渡でき,その結果として二重譲渡という状況を避けることはできないのでしょうか。


 


どちらかの方法でともかく二重譲渡という状況は避けたいと考えています。良い方法を伝授ください。

専門家:  patent777 返答済み 3 年 前.
 まず、ご質問にある「B学会誌の中に掲載されている図表については著作権譲渡せずに,それ以外の部分について著作権譲渡する」につきましては、可能です。

 図表の解説記事の内容が、Aに譲渡した論文とは別の表現のものであれば、その解説記事は、Aに譲渡した論文とは別の著作物となり、個別に著作権が生じます。

 そして、新たに生じた図表の解説記事についての著作権はAに譲渡していませんので、それをBに譲渡しても、二重譲渡ということにはなりません。

 ただし、その図表の解説記事には、Aに譲渡した図表と同一の図表が使われると思われますが、その場合には、その図表の部分についての利用に関しては著作権者であるAの承諾が必要となります(解説記事の承諾は不要です)。

 一方、「図表内に,より詳細な説明を書き加えることや新たなデータを追加して,情報を増やすなどの『加工』をする」ことにつきましては、どこまで加工を施せば、別の著作物となり、別個の著作権が生じずるかという判断が難しいところです。
 
 加工を施しても、「複製」や「翻案」と判断される程度のものですと、その加工した図表のBへの譲渡は二重譲渡などになります。

 複製概念を確立した有名な最高裁の判例では、複製とは「既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるもの」と判示しています。

 そのため、新たに作成した図表が元の図表とほぼ同じようなものであると判断されるほどに似ているのであれば、単なる複製ということになり、新たな図表の著作権をBに譲渡しても二重譲渡となってしまいます。

 一方、翻案とは、質問者様が元の図表に修正増減を施し、新たに創作性のある表現を付加しても、新たに創作した図表が、元の図表に依拠し、かつ、新たに創作した図表から元の図表の表現上の本質的な特徴を直接感得することができる場合をいいます。そして、そのように翻案されたのであれば、新たに創作した図表は二次的著作物となります。

 すこし、ややこしい表現で理解し難いかもしれませんが、大雑把に言いますと、複製といえるほどには元の図表と近似していないが、全く別の図表ともいえない著作物。あるいは、複製といえるほどではないが、それでもなお、二次的著作物である新たに創作した図表から元の図表を直接想起させるほどに似ているといったようなものです。

 実際には、どのような行為が翻案に該当するかは、著作物の種類や表現態様などによって異なり、確定的な基準は存在せず、ケース・バイ・ケースで判断せざるをえません。また、複製と翻案の厳密な境界も存在しないのが実情です。

 新たな図表が、元の図表を翻案して作成された二次的著作物に該当する場合には、その二次的著作物について著作権が生じます。

 しかし、二次的著作物については、元の図表の著作権者であるAにも同様に著作権等が生じます(法28条)。そのため、質問者様は新たに創作した図表(二次的著作物)をBに譲渡するに際しては、Aの同意を得なければなりません。

 ただし、複製にも翻案にも該当しない場合、すなわち、新たに創作した図表から元の図表を直接感得することができないほど加工の度合いが進んでいる場合には、別個の著作物として新たな著作権が生じ、自由に利用できることとなります。
質問者: 返答済み 3 年 前.

詳しいご回答,有難うございました。
2番目にお聞きした,元の図表に加工してオリジナルな著作物にして,新たな著作権を生じさせ,自由に利用できるようにするためには,相当に工夫しないといけないということが良く分かりました。
そうしますと,今回の場合,既にA雑誌に掲載されている図表に関しては著作権譲渡せず,その図表に関する解釈などをオリジナルに書き起こした文章の部分についてのみ,掲載するB学会誌に著作権譲渡するということができれば問題解決と考えます。そのようなことは今回のご回答の最初に可能と記載されているので,その方向で対処したいと思うのですが,具体的にはどのようなことに注意すべきなのでしょうか。私が今回B学会から提出を要求されている著作権譲渡同意書に安易に署名すると,このB学会誌の原稿に転載したA雑誌に既に掲載済みの図表について,二重譲渡になってしまうのではないかと恐れています。つまり,B学会誌に掲載予定の原稿のうち,該当の(A雑誌既掲載の)図表に関しては権利譲渡しないという特約を,権利譲渡同意書に盛り込む必要はないのかということです。

専門家:  patent777 返答済み 3 年 前.
 質問者様がご懸念されているとおり、当該図表の二重譲渡を避けるためには「B学会誌に掲載予定の原稿のうち,該当の(A雑誌既掲載の)図表に関しては権利譲渡しないという『特約』を,権利譲渡同意書に盛り込む」ことで対処することになろうかと思われます。

 著作権法には、「著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる」と規定されています(同法61条1項)。

 したがいまして、内容的に「一部譲渡」が可能であると解することも可能であると思われます。学説でも、一部譲渡を認める見解があります。

 そのため、当該図表についてはBに譲渡しないこと及びBに譲渡する範囲を明確にして、譲渡すべきと思われます。(その場合、文書など譲渡した範囲が明確に残る形で譲渡契約を締結する点にご留意してください)。
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質問者: 返答済み 3 年 前.

大変的確なお答えを頂き,感謝申し上げます。


非常にすっきりとしましたので,この知識を持ってB学会の譲渡契約に臨みます。有難うございました。

専門家:  patent777 返答済み 3 年 前.
 こちらこそ感謝いただきありがとうございます。

 少し説明を追加しますと、先にご説明した著作権法61条1項に基づく「著作権の一部譲渡」についての「一部」とは、どの範囲まで著作権を細分化して譲渡することが許されるかという問題があります。

 極端な細分化も可能とする見解や、当事者の合意に基づき内容的に自由に著作権を細分化して譲渡することを認めると、多数の第三者への分割譲渡およびその譲受人によるさらなる細分化した利用許諾や再分割譲渡を通じて、権利の境界が曖昧となる危険を避けることがでず、このような事態は、取引の安全の観点のみならず、ある利用態様についての差止請求権者は誰か、といったようなことを不明確にし、著作権侵害訴訟のような権利行使の場面でも混乱を生ぜしめるから、抑制的に考えるべきである、とする見解もあります。

 そのため、本件のようなB学会誌へ掲載予定の原稿(論文)のうち当該図表はAに帰属し、当該図表の解説記事についてはBに帰属するといった譲渡が、著作権法61条1項でいう「一部譲渡」に当たるかどうかは確信的にはわかりません。

 しかし、少なくとも、民法における契約自由の原則では、公序良俗に反しない限り、どのような私的契約を結んでも、当事者の合意がある限り、その契約の効力は当事者間では有効となりますので、本件のように当該図表はAに、その解説記事はBに帰属するという契約は、質問者様とBとの間におきましては一般法に照らして有効ということになります。

 契約におきまして重要となるのは、繰り返しとなりますが、譲渡の範囲を明確にするということです。

 例えば、権利譲渡同意書に質問者様のBへの掲載論文も添付し、譲渡とする範囲(当該図表の解説記事)と譲渡しない範囲(当該図表)とを色分けするか、その他の方法により、明確に区別しておくというような態様もあろうかと思われます(仮に権利の帰属について後々に訴訟となっても証拠として十分信頼性があると裁判官に認定されるような形にしておくことが重要と思われます)。

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