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patent777
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現在、書籍の執筆を行っています。専門用語の定義に関して、書籍の中で引用を行いたいと思いますが、引用に際してその引用許諾の申請を著作権者に文書等で行う必要はありますか? たとえば、

解決済みの質問:

現在、書籍の執筆を行っています。専門用語の定義に関して、書籍の中で引用を行いたいと思いますが、引用に際してその引用許諾の申請を著作権者に文書等で行う必要はありますか?
たとえば、下記の様な例ではいかがでしょうか?

「Sales and Operations Planningの略。企業において、経営層と生産や販売、在庫などの業務部門が情報を共有、意思決定速度を高めることでサプライチェーン全体を最適化しようという手法を指す。経営層が販売実績(セールス)の情報を基にした事業計画を立て(プランニング)、業務部門が実行する(オペレーションズ)。SCM(サプライチェーン管理)システムが保持する製品や仕掛品、部品の在庫などの「数量」に関する情報を、原価などと結びつけた「金額」の情報に変えて経営層に提供することで、経営判断を仰ぐ。経営層の意思決定のスピードと精度を高めることを目的に、SCMシステムの新しい概念として注目を集めている。」

出典:日経コンピュータ「情報システムハンドブック」(C)日経BP社
投稿: 3 年 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
専門家:  patent777 返答済み 3 年 前.

 

 知的財産権を専門とする者です。

 

 結論から先に申しますと、私的使用目的の複製(著作権法30条)でない限りは、引用につき、引用先の文(章)の内容及び引用の仕方(態様)によって、著作権者の許諾が必要となるか又は不要であるかが異なってきます。

 

 まず、引用先の文(章)の内容についてですが、その文(章)が「著作物」に該当する場合には、許諾を必要とするか、又は後述する「引用」の要件(著作権法32条)を満たす態様で引用する必要があります。

 

 反対解釈としまして、引用先の文(章)が「著作物」に該当しなければ、その利用につきましては著作権者の承諾は不要となります。著作権が生じるためには「著作物」でなければならないからです。

 

 そこで、著作権法上、「著作物」とは、「思想または感情を創作的に表現したもの・・・」と規定されています(同法2条1項1号)。

 

 すなわち、「著作物」と認められるためには「創作的な表現」でなければなりません。

 例えば、単なる事実の羅列(東京タワーの高さは333メートル、時刻表、理科年表など)、誰が書いても同じような表現となる暑中見舞いなどの挨拶文、人事異動記事、雑報などは、創作性がなく著作物とは認められません。

 

 これを別の表現で申せば、ある思想なり感情を表現するに際して、その「表現の選択の幅が狭いもの」、それを誰が表現しようとしても同じような表現となってしまうようなものを、表現した文(章)については、著作物とは認められず、その利用に際して著作権者の承諾は不要ということです。

 

 ご質問にあるような「Sales and Operations Planning」を説明するのに、その分野の専門家であればほとんどの方が、ご質問にあるような内容の文章となるようなものでしたら、そのような文章は著作物ではないといえます。

 

 ただ、ご質問にあるような長文の場合、実質的内容は異ならないにしましても、その「表現」は各人で異なってくると予想されますので、ご質問のあるケースでは、その文章は「著作物」として認められるのではないかと思われます(著作権法はあくまで創作性のある「表現」を保護するものであり、創作性はあってもアイデア等の思想そのものは保護されません)。

 

 続きまして、仮に著作物と認められる文章であっても、先に述べたように著作権法上の「引用」の要件(同法32条)を全て満たす場合には、著作権者の承諾を得ずにその文(章)を利用することができます。

 

 引用が認められるためには、①公表された著作物であること。②公正な慣行に合致していること、③報道・批評・研究その他の引用の目的上正当な範囲内であること、の3つの要件を満たす必要があります。

 この要件を踏まえた上で、裁判上認められた引用基準というものがございます。以下の6つの要件を全て満たした場合です。

 ①明瞭性→引用する側の著作物(質問者様の書籍)と、引用される側の文(章)との区別が明瞭であること。例えば、引用部分をかぎかっこで括るなどです。

 ②付従性→引用する質問者様の書籍が主体で、引用される文(章)が従たる存在であること。要するに複製した文(章)が質問者様の書籍の中に吸収されており、複製部分がメインであるような内容になっていないということです。

 

 ③必要最小限→引用の範囲が引用の目的上必要最小限の範囲であること。例えば、美術作品・写真・俳句のような短い文芸作品であれば、全部の引用が可能ですが、学説・論文等については全部の引用はできないというようなことです。

 

 ④人格権への配慮→著作者の人格権侵害や名誉棄損とならないように配慮する必要があります。

 ⑤質問者様の書籍も著作物であることを要します。高度な独創性は不要ですが、説明文などにおいて何らかのご自身の表現を用いていればいいという程度のものです。


 ⑥報道、研究、批評その他の引用の目的上正当な範囲内で複製する場合です。


 結構、細かい条件ですが、この条件を全部満たすことで引用が可能になると思われます。

 

 また、元の著作物を引用するにあたりましては、出所を明示する必要があります(著作権法48条1項1号)。例えば、著作者名(氏名、筆名、雅号、サイン、略称など)、題号、出版社名などの明示が必要です。

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