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ご相談です。20年ほど前に発売したアイドルグループの歌を、グループの1人がまた歌い、CD発売する計画があります。作曲

質問者の質問

ご相談です。20年ほど前に発売したアイドルグループの歌を、グループの1人がま た歌い、CD発売する計画があります。作曲家の了承は得ており曲はそのままいきますが、歌詞は冒頭とサビの部分以外、変更したいと考えています。その旨を作詞家に断りたいのですが、行方不明で連絡がとれません。断りなしに歌詞の大半を変え、タイトルはそのまま「●●●パートⅡ」といったかたちで発売するのは問題がありますよね。

ただし、元の詞を一部変えた旨を明記しておけば問題ないのでしょうか。

また逆に、タイトルも歌詞も全部変えてしまえば、元の作詞家の許可は必要ないでしょうか。

教えていただけると幸いです。
投稿: 3 年 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
専門家:  patent777 返答済み 3 年 前.

知的財産権を専門とする者です。

 

 楽曲につきましては、曲については作曲家が、歌詞については作詞家がそれぞれ原始的に著作権を有しています。

 

 したがいまして、質問者様もご存知のようですが、楽曲を利用する場合には、曲と歌詞の各々の著作権者から利用許諾を受けるか、または著作権の譲渡を受ける必要があります。

 

 一方、著作権は複数の権利を包含しており、その一つに「翻案権」(著作権法27条)という権利があります。

 この翻案権とは、著作権者が編曲、翻案等する権利を独占排他的に有する権利です。そのため、歌詞を変更する場合には歌詞の著作権者から承諾を得る必要があります(同法63条)。

 

 また、著作者(作曲家、作詞家)には、著作権の他に著作者人格権という権利も有しています。著作権は譲渡が可能な財産権的性格を有する権利ですが、著作者人格権は譲渡ができない人格権的性格の権利です(同法59条)。

 

 この著作者人格権の一つに同一性保持権というものがございます(同法20条)。この権利は、著作者(作詞家)の意に反して著作物(歌詞)の変更、切除、その他の改変を受けないという権利です。

 

 したがいまして、著作権者(作詞家又は権利を譲渡している場合にはその譲受人)または著作者(作詞家)の許諾を受けないで著作物(歌詞)を変更しますと、上述した翻案権(同法27条)や同一性保持権(同法20条)の侵害となる可能性があります。

 

 以前、歌手の森進一さんが、コンサートで作詞家に無断で楽曲「おふくろさん」の歌詞を変えて歌ったことに関して、作詞家と揉めた事件がございましたが、これは、作詞家の翻案権や同一性保持権を侵害する行為の典型的な例です。

 

 また、ご質問にあるような「元の詞を一部変えた旨を明記」しても翻案権等と抵触することになります。

 

 ただし、ご質問にありますように「タイトルも歌詞も全部変えてしまえば、元の作詞家の許可は必要ないでしょうか」につきましては、その通りです。

 

 変更後の歌詞から変更前の歌詞を想起させないように全く別の歌詞であれば著作権者の許諾は不要です。

 

 その変更が例えば「パロディ」のように元の作品を想起させる(法律表現では「原著作物の本質的特徴を直接感得させる」)ようなものですと、侵害と判断されるおそれがあります。この点に留意して変更するのであれば、問題はありません。

 

 なお、著作権につきましては、音楽出版社が楽曲の著作権を譲り受けている場合が一般的ですので、その場合には歌詞の翻案についての許諾は音楽出版社の許諾を得ればいいということになります。

 ただし、その場合であっても同一性保持権は譲渡ができませんので作詞家本人の許諾が必要となるのですが、音楽出版社に管理委託しているかもしれません。

 

 また、音楽出版社が著作権を有している場合、曲につきましても作曲家の許諾ではなく、著作権を譲り受けた音楽出版社の許諾を得ておく必要があります。

 

 そのため、著作権の帰属をご確認されていないのであれば、著作権の所有者が作曲家なのかそれとも譲渡された音楽出版社等が有しているのかについてもご確認された方がよろしいかもしれません。

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質問者: 返答済み 3 年 前.

 


明確なお答えをありがとうございます。


とても分かりやすく、重ねて御礼申し上げます。


 


その後、さらに詳しいことが分かったため追加で質問させてください。


 


 


①歌詞の著作権ははじめから作曲家が持っていたようです。


 その作曲家は亡くなっており、奥さんに譲渡されています。


 


 歌のタイトルを「●● パートⅡ」とし、元の歌詞の一部を変更する場合は


 作曲家の奥さまの許諾を得れば大丈夫でしょうか。


 


 


②とはいえ、作詞家の著作者人格権は作曲家に譲渡できず、作詞家にあ


 るのですよね。


 歌のタイトルを「●● パートⅡ」とし、元の歌詞の一部を変更すると


 作詞家から「著作者人格権を侵害された」と訴えられる恐れはあります


 か。作詞家は行方不明なのですが……。


 


 


 また、著作者人格権や著作権の有効期間を念のため教えてください。


 


 


 


 

専門家:  patent777 返答済み 3 年 前.

1.元の歌詞の一部変更について

 

 翻案権(著作権法27条)につきましては、著作権を譲り受けた作曲家の奥様の許諾を得ることで、問題は解決しますが、著作者人格権(同一性保持権(20条))につきましては、質問者様のおっしゃる通り、譲渡できませんので(同法59条)、作詞家からクレームがくる可能性は否定できません。

 

2.著作権の保護期間について

 

 著作権の保護期間につきましては、①原則として、著作者の死後50年までです(同法51条2項)。②無名又は変名の著作物につきましては、原則として、死後50年または公表後50年のうちいずれか早く満了する時までです(52条1項)。

 

3.著作者人格権の保護期間について

 

 著作者人格権につきましては、著作権法上次のような条文が規定されています。

 

 「著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。」(同法60条)。

 

 この規定が存在するため、著作者人格権につきまして、半永久的に保護されるということになります。

 

 ただし、差止請求などの民事訴訟の請求をすることができる者は著作者の遺族または遺言者に限られていますので(同法116条)、これらの者が存しなくなった場合には、民事訴訟を請求されることはなくなることになります。

 

 一方、上述した著作権法60条に違反する行為は、刑事罰の対象となっており(500万以下の罰金)(同法120条)、この刑事罰につきましては、いわゆる「非親告罪」といいまして、権利者が検察に告訴しなくても、検察が起訴することができるので、著作者である作詞家がいなくても、検察がその気になれば適用される可能性のあるものです。

 

 したがいまして、この刑事罰(120条)の規定が存在している限り、半永久的に著作者人格権は保護されるということになります。

 

4.追加の説明~著作権の管理について

 

 先に著作権は音楽出版社が管理していることが一般的と申しましたが、厳密には、作詞家・作曲家が自己の著作権を音楽出版社に譲渡(または期限付き譲渡)している場合、音楽出版社は、譲り受けた著作権を一部自己管理するものを除き、JASRAC等の著作権等管理事業者に委託している場合が一般的です。

 

 ただし、JASRACでは翻案権(同法27条)は管理対象外ですので、歌詞の変更の許諾はできませんが、曲の使用については、作曲家(奥様)の許諾ではなく、このJASRACに申請し使用料を支払うことになるかもしれませんので、奥様と音楽出版社ないしJASRACへの権利の二重譲渡などがないかについてはご確認された方がよいかもしれません。

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