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patent777, 弁理士
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ラジオ番組を録音してインターネット上にアップロードすることの違法性と賠償金額、時効について。 肯定派:DVD等

解決済みの質問:

ラジオ番組を録音してインターネット上にアップロードすることの違法性と賠償金額、時効について。

肯定派:DVD等になっているものならDVD等の売り上げに影響するが、なっていないものなら影響はなく迷惑にならないので良い。

否定派:著作隣接権の侵害にあたる。
投稿: 3 年 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
専門家:  patent777 返答済み 3 年 前.

知的財産権を専門とする弁理士です。

 「ラジオ番組を録音してインターネット上にアップロードする」行為は、DVD等になっているか否かに関わりなく、著作権法に違反します。


1.放送事業者の有する権利

 

 

 放送事業者の有する著作隣接権のうち、複製権(著作権法(以下「著」とします)98条)及び送信可能化権(著99条の2)に抵触します。


 複製とは、「印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製すること」と規定されています(著2条1項15号)。
      

 そのため、ラジオ番組を録音する行為は「複製」となり、私的使用の目的で複製するものでない限り、複製権の侵害となります(著21条、30条1項、102条1項)。

 

 また、公衆送信とは、「公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信・・・を行うことをいう。」と規定され(著2条1項7号の2)、自動公衆送信とは、「公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう」と規定されています(著2条1項9号の4)。


 さらに、送信可能化とは、「次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう。

 イ 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置・・・の公衆送信用記録媒体に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。
 ロ 省略。」 と規定されています(著2条1項9号の5)

 そのため、「ラジオ番組を録音してインターネット上にアップロードする」行為は、アクセスした公衆の要求に応じて、録音されたラジオ番組を聞かせる(自動公衆送信)するための準備段階である送信可能化する行為となります(著99条の2)。

 

2.レコード製作者(原盤権者)の有する権利

 

 放送内容に音楽の著作物が含まれている場合には、レコード製作者の著作隣接権には送信可能化権が含まれているため(96条の2)、原盤権者からの許諾が得られない限り、正規の音楽CDに収録された音声について、送信可能化ができず、このため、自動公衆送信を行うことができません。

 

3.著作権者の有する権利

 

 放送内容に「著作物」が含まれている場合には、著作権のうち複製権(著21条)及び公衆送信権(著23条)と抵触します。


 音楽の著作物の他に、小説の一部朗読や落語などのような「著作物」が含まれて場合には、これに該当します。

4.実演家の有する権利

 

 ラジオ番組で音楽が使用されている場合が典型的な例ですが、その場合には、歌手や楽曲の演奏家の有する著作隣接権のうち録音権(著91条)や送信可能化権(著92条の2)と抵触します。


 楽曲が使用された場合だけでなく、番組に出演している者の実演と認められるような内容のラジオ番組である場合には、その者の著作隣接権を侵害することになります。
 

 

 

 ちなみに、実演とは、「著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう」と規定されています(著2条1項3号)。

 

5.賠償金額について

 

 具体的な金額は権利者との交渉次第ですので、ここで提示することはできません。そのため、ここでは、著作権法上で規定されている損害額(推定)の算出方法についてのご説明に代えさせていただきます。

 

 質問者様が、「営利目的」でラジオ番組をアップロードする場合には、通常、①公衆送信が公衆によって受信された著作物や実演等の複製物(受信複製物)の数量に、受信複製物の単位数量当たりの利益額を乗じた額から、権利者等が販売できない事情があるときはその事情に相当する分の額を控除した額を損害額とするもの(著114条1項)、または②質問者様がその行為によって利益を受けているときは、その利益額を損害額と推定するもの(同条2項)があります。

 

 また、営利を目的としない場合であっても、ライセンス料相当額を最低限の損害額とすると規定されています(同条3項)。


 そのため、これらを目安に相手方との交渉により又は司法の場で損害額が決められることになります。

 

6.損害賠償請求権の時効について

 

 時効につきましては、民法724条において「被害者等が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。」とあり、また、「不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。」と規定されています。

 

そのため、権利者が損害及び加害者を知ったにもかかわらず、その知った時から3年以内に権利行使をしなければ、質問者様のアップロード行為の時から20年が経過していなくても、損害賠償請求権は消滅します。


一方、権利者が、いつまで経っても損害及び加害者に気づかない場合には、質問者様のアップロード行為が行われた時から20年経過した時に損害賠償請求権が消滅するということです。

7.刑事罰について

 

 著作権や著作隣接権を侵害した場合には、刑事罰の対象となりますので、ご注意ください。


 ちなみに、侵害罪の場合には、「10年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定められています(著119条1項、123条1項)。
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