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以前本の紹介で著作権法について質問させていただいた者です。 今、知り合いの古美術店の催事カタログを作っています

質問者の質問

以前本の紹介で著作権法について質問させていただいた者です。

今、知り合いの古美術店の催事カタログを作っています。今回は、私はカタログのデザイン制作という形で携わっています。
その中に、ある博物館に所蔵されているものと対になっている商品があり、博物館所蔵(中国)の図録から、もう片方の対の作品画像をスキャンし、参考資料として販売する商品の隣に掲載したいと言われました。勿論、図録の出典なども明記します。商品の解説文もあり、参考資料として掲載する作品について触れています。
今回も、引用という形で画像を掲載することに問題ないと思われますか?
作品自体は何百年も前のものですが、今回は図録の中の一部で、表紙ではないので少し状況が違うのかもしれないと思いました。また、そのページをまるごと載せるのではなく、画像の部分だけを抽出して掲載したいと思っております。(画像のトリミングなどはせずに)

どうぞ宜しくお願いいたします。
投稿: 3 年 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
専門家:  patent777 返答済み 3 年 前.

知的財産権を専門とする弁理士です。

 

商品である美術品の著作権はその美術品の所有者がお持ちなんでしょか、または古美術品ということなので、著作者の死後50年以上は経過しているものでしょうか。

 

 

質問者: 返答済み 3 年 前.

はい、美術店で販売する商品も図録に掲載されている作品も大変古いもので、400年以上前のものです。


ペアになっている商品で、片方はその美術店が所有しており今回催事で展示するもので、片方は博物館が所有しており博物館の図録に掲載されています。

専門家:  patent777 返答済み 3 年 前.

 まず、図録に掲載されている美術品の写真が著作物でない場合には、その利用には許諾を必要としません。

 

 著作物とは、「思想または感情を創作的に表現したもの」ですので(著作権法(以下単に「著」とします)2条1項1号)、写真(画像)に「創作的な表現」がなければ、著作物とはなりません。

 

 写真について創作性を認めることのできないものとして、自動証明写真、プリクラ、監視カメラの写真などが典型例として挙げられています。

 構図や配置、どのようなアングルで捉えシャッターをきるか、光線の照射方法や陰影の有無や付け方をどうするかなどの写真技術や、撮影後の現像、焼付け、などのプリント処理の段階における技術的な創意工夫がなされている場合であって、かつ、それらの創意工夫が写真に現れている場合に初めて「創作性」が認められて、「著作物」となります。

 

 そのため、写真の全てが著作物になるというものではありません。質問者様が利用しようとしている図録に掲載されている美術品の写真について申せば、その美術品を忠実に再現しただけで、写真を単に「複製」手段として使っているにすぎないようなものでしたら、「創作性」はないので「著作物」にはならないということです。

 

 とは申しましても、このような判断は難しいかもしれませんので、以下に、図録の写真が著作物であることを前提に、もう少しご説明します。

 

 その図録が、著作権の保護期間が満了している場合(原則、著作者の死後50年(著51条2項)、又は図録がそれを所蔵する博物館(法人その他団体)名義のもであれば、公表後50年(著53条))には、著作権は消滅していますので、写真を改変することなくそのままご利用になる限りは問題となりません。

 

 一方、著作権が存続している場合には、「引用」(著32条)という方法でご利用になれば著作権者の承諾は不要です。

 

 著作権法(著32条1項)上、引用ができる場合とは、

①公表された著作物であること。②公正な慣行に合致していること、③報道・批評・研究その他の引用の目的上正当な範囲内であること、の3つの要件を満たす必要があります。

 この要件を踏まえた上で、裁判上認められた引用基準というものがございます。以下の4つの要件を全て満たした場合です。


 ①明瞭性→引用する側の著作物(質問者様の図録の写真を掲載した説明資料)と、引用される側の著作物(図録の写真)との区別が明瞭であること。


 ②付従性→引用する質問者様の説明資料が主体で、引用される図録の写真が従たる存在であること。要するに図録の写真が質問者様の説明資料の中に吸収されており、図録の写真がメインであるような内容になっていないこと。例えば、図録の写真が大きく掲載されており、それに対する質問者様の文章、コメントが付け足しのような感じで記載されているようなものでないようにすることです。

 ③必要最小限→引用の範囲が引用の目的上必要最小限の範囲であること。例えば、美術作品・写真・俳句のような短い文芸作品であれば、全部の引用が可能ですが、学説・論文等については全部の引用はできないというようなことです。


 ④人格権への配慮→著作者の人格権侵害や名誉棄損とならないように配慮する必要があります。


 ⑤質問者様の説明資料も著作物であることを要します。高度な独創性は不要ですが、説明文などにおいて何らかなの独自な表現を用いていればいいという程度のものです。単なる事実の羅列だけの内容ではないようにすることが必要です。

 結構、細かい条件ですが、この判例の条件を全部満たすことで引用が可能になると思われます。

 

 そして、上記の条件を全て満たし引用ができるとなった場合でも、著作物を、変形、翻案して引用することはできませんので、ご質問にありますように「写真をトリミングせずに」そのまま掲載することが必要となります。


 また、すでに質問者様もご存知のようですが、著作物を複製するにあたりましては、出所を明示する必要があります(著作権法48条1項1号・3号)。例えば、著作者名(氏名、筆名、雅号、サイン、略称など)、題号、出版社名などの明示が必要です。



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質問者: 返答済み 3 年 前.

有り難うございます。


ご回答いただいた内容にあてはめ、今回も問題ないと思いました。


解説文も美術店のオリジナルですし、販売用の写真を大きく掲載し、参考写真は小さく脇に、作品の情報と図録の情報とともに掲載します。


 


引用の乱用になってはいけないと思いましたので、確認が取れて良かったです。


 


ありがとうございます。

専門家:  patent777 返答済み 3 年 前.
 ご質問にあるように、美術店オリジナルの解説文、すなわち「創作性のある」解説文を記載し、参考写真は脇に小さく、すなわち「引用」の「明瞭区分性」や「主従関係」を満たす利用態様のようですので、引用先(出典)の明示をすることで問題はないと思われます。

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