JustAnswer のしくみ:
  • 専門家に質問
    知識豊富な専門家があらゆる質問にお答えするために常に待機しています。
  • 専門家が丁寧に対応
    E メールやサイト内オンラインメッセージなど、さまざまな手段で回答を通知。
    必要に応じてフォローアップの質問をすることもできます。
  • 満足度 100% 保証
    専門家からの回答を確認し評価をすることで、支払うかどうかを決めます。
patent777に今すぐ質問する
patent777
patent777, 弁理士資格を取得
カテゴリ: 特許・商標・著作権
満足したユーザー: 469
経験:  特に特許法、実用新案法、意匠法、商標法、パリ条約に精通しています。
61167350
ここに 特許・商標・著作権 に関する質問を入力してください。
patent777がオンラインで質問受付中

はじめまして。 亡くなった叔父が遺した著作物について、ご相談させてください。 叔父の原作をもとに、地方の出版

解決済みの質問:

はじめまして。
亡くなった叔父が遺した著作物について、ご相談させてください。

叔父の原作をもとに、地方の出版社さんが編集した著書が3種類あり、
書店には流通していませんが、家族が運営するHPと、出版社のHPで
それ ぞれ、そこそこ売れています。

平成16年から、出版社さんと、「著作権料に関しての覚書」を取り交わし
「定価の10%の内1/2(=75円/冊)に、発行部数を乗じた金額を算出し、
発行時に支払う。(編集者に1/2=75円/冊)」
という取り決めで、今日まで来ました。

しかし、ここ数年、出版社の業務がかなり縮小し、余裕がないらしく
増刷がなかなか出来てこない状態が続いています。
「在庫が少ないから、卸せない。」または「在庫がない。」と言いながら
出版社のサイトでは販売を続けていたり、
また、収められる著作料も年々減り続け、信頼がゆらいでしまいました。

この際、私どもの方で個人出版し、必要とされる方々に速やかにお届けしたい
とも考えています。

この場合、出版社(もしくは編集者?)に「二次著作物」の権利があると聞きました。
また、版権という言葉も聞きますが、
私ども原作の著作権を持つ側として、出版社に今後の増刷を停止していただき
こちらで個人出版することは、可能でしょうか?

その際、出版社(もしくは編集者?)に「二次著作物」の著作権料として
一定額を支払う義務がありますか?
まったく相場や、出版界の常識がわかりませんので、ご教示ください。
たとえば、上記取り決めの通り「定価の10%の内1/2(=75円/冊)」を目安として
交渉すればよいでしょうか?

もう一つの案としては、
出版社さんに、現在の問題点を改善していただくよう話し合いをして、
それが可能であれば、出版を続けていただく、というのもアリかなと思っています。

その場合、新たに契約書を作っていただき、改善点を明記すればよいでしょうか?


素人の質問で、お恥ずかしいですが、どうぞよろしくお願いいたします。
投稿: 3 年 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
専門家:  patent777 返答済み 3 年 前.

知的財産権を専門とする弁理士です。

 

 まず、二次的著作物についてですが、原著作物を元にしてその内容を翻案した場合には、その翻案した著作物を「二次的著作物」といいます(著作権法2条1項11号)。

 

 「翻案」とは、原著作物に依拠してその本質的内容は変えずに表現を変えたようなものをいいます。例えば、源氏物語などの古典を現代語訳にしたとか、小説をシナリオにしたとか、小説を児童向きの読物にしたような場合、一部の表現を変えたとか、要約したような場合などをいいます。

 

 著作権法上の「編集著作物」とは、「素材の選択又は配列によって創作性を有するもの」をいいます(同法12条)。いわば、個々の著作物を何らかの工夫をして寄せ集めた著作物をいいます。例えば、百科辞典、新聞、雑誌、全集のようなものです。

 

 ご質問にある「叔父の原作をもとに出版社が編集した著書」が、翻案をした「二次的著作物」となるのか、それとも「編集著作物」となるものかは判然としないのですが、叔父様が複数の著書を残しているようでもなさそうですし、ご質問に「二次著作物」の用語を用いられていますので、出版社が「編集」した著書を「二次的著作物」としてご説明します。

 

 すでに述べましたように出版社の編集した著作物は、叔父様の著書を翻案したものであれば、叔父様の著書を原著作物とする二次的著作物となります(同法2条1項11号)。

 

 本筋から離れますが、確認のために申しますと、原著作物の著作権者は、翻案権を有していますので(同法27条)、編集者が叔父様の著書を編集するに際しては、当然に著作権者である叔父様又は譲受人の許諾を受けているはずです。許諾なく翻案すれば、翻案権の侵害となります。

 

 そこで、本題に戻りますが、原著作物の著作権者は、翻案権の他に、二次的著作物の利用に関し、一定の権利も有しています(同法28条)。

 

 本件との関係で申しますと、編集者が自己の創作した二次的著作物を利用(複製、出版など)する場合には、原著作物の著作権者の承諾が必要ということです。原著作物の著作者が二次的著作物の利用に関する承諾権ともいうべき権利を有しています。

 

 その一方、二次的著作物の著作権者である出版社もその二次的著作物の利用に関して承諾権を有しており、例え原著作物の著作権者がその二次的著作物を利用する場合であっても、出版社の承諾が必要ということです。

 

 したがいまして、その二次的著作物をお互いが利用するに際しては、双方の承諾が必要になるということです。

 

 つづきまして、「版権」についてですが、これは、法律用語としましては、1875年(明治8年)に改正された出版条例から1899年(明治32年)に著作権法が交付されるまでの間に用いられたものであり、現在では「版権」という用語は日本の法律では正式に用いられていません。

 

 もっとも、法律的な厳密さを必ずしも要求しない場面では、著作権や商標権などの知的財産権全般をまとめて「版権」と呼んだり、著作権を利用したビジネスのことを「版権ビジネス」と呼ぶなど、一部で著作権の通称として用いたり、著作権の支分権の一つである出版権の意味で用いることがあります。

 

 そのため、本件では、版権とうい権利は気にしなくても問題ないと思われます。

 

 以上述べましたように、質問者様及び出版社の双方が二次的著作物を出版するには、お互いの承諾が必要となりますので、双方の意向に合致した方策をとられた方がいいのではないかと思われます。

 

 そういう意味では、質問者様と出版社のいずれか一方が強い立場というわけではないので、著作権料に関しましても、お互いの意向を踏まえたうえでの料金設定になろうかと思われます。現状で特段の支障がなければ、すでにお互いの合意形成がされている現状の料金を維持するのもいいですし、その辺は出版社の出方、様子次第になろうかと思われます。

 

 また、出版社側も著書の出版継続を望まれているようですので、その意向を踏まえたうえで、質問者様も原著作物の著作権者が有する二次的著作物の利用権(同法28条)を有することを背景として、出版社に著書を卸して貰う方向で交渉をした方がよろしいのかもしれません。

 

 

質問者: 返答済み 3 年 前.

patent777さま


ご丁寧な説明、ありがとうございます。


大変参考になり、概要は理解できたかな?と思います。


 


追加での質問、というか確認になりますが、よろしくお願いします。


 


二次著作物である本を、出版社が出版(増刷)するには、


こちら(原著作物の著作権者)の承諾が必要ということでしょうか。


 


こちらから、「今後の増刷を認めません。中止してください。」と、


出版社に言うことはできるのでしょうか。


 


また、こちらが別途、原著作をそのまま本にしたり、少々編集して本に


することは、支障がないでしょうか?


(出版社側に了解を得る必要はないですよね。)


 


出版社さんとは、双方が納得できるよう、穏便に交渉しようと思って


いますが、原著作物の著作権者の権利というか、立場がどのようなものかきちんと把握したうえで、交渉に臨みたいと思っています。


 


どうぞ、ご教示お願いいたします。


 


 


 


 

専門家:  patent777 返答済み 3 年 前.

 まず、増刷を認めないことができるか、につきましてですが、

 

 これは、一般の民事における契約のお話になりますが、原則として、当初において出版社との間で、どのような契約を結ばれていたかによります。

 

 契約スタイルは書面によるものでも、口頭でも構わないのですが、契約において、出版期間、地域、著作権料、出版内容、出版数、増刷数などの取決めをしていれば、それに従うことになり、そのような契約があるにもかかわらず、契約内容に反して、増刷の中止を申し出た場合は、債務不履行の損害賠償責任(民法415条)の対象となります。

 

 一方、当初においてそのような契約を締結したいなかった場合ですが、その場合に、原著作物の著作権者には、先にご説明しましたように二次的著作物の利用権(著作権法28条)を有していますので、出版社の増刷(複製)、出版(譲渡)行為に対して承諾しないという権利を有します。

 

 そのため、出版社に対し増刷を中止してほしいと申し出る法的地位はありますが、出版社がそれに応じず訴訟となった場合、裁判所において契約を締結していなかったという事情も考慮され、その他の出版界の慣習など色々な事情が考慮される可能性がありますので、増刷の中止申立てが認められないケースも考えられます。もちろん認められるケースも考えられます。

 すなわち、結論がはっきりとは断定できないということです。

 

 したがいまして、まずは、出版社に対して、質問者様が利用権(著作権法28条)を有しており、その権利には二次的著作物の利用に関する承諾を認めるか否かを決める権利があるという法的根拠をご説明した上で、著書を卸して貰うように交渉し、交渉決裂の場合には訴訟もあり得ることをそれとなく匂わせるという方法もあろうかと思われます。

 

 実際に出版社が応じなかった場合に、訴訟を提起するか否かはその時点で再度ご判断した方がよろしいかと思われます。その際には、弁護士やお近くの「法テラス」にご相談した方がよろしいかもしれません。

 

 原著作物を出版したり、編集することは可能です。出版社の承諾を得る必要はありません。

 

 ただ、原著作物を編集した著書が、出版社の著書と同じようなものでしたら、出版社の著書を翻案したものとして、出版社の翻案権(著作権法27条)と抵触することとなりますので、その点にはご注意が必要です。

 

 

patent777をはじめその他名の特許・商標・著作権カテゴリの専門家が質問受付中

特許・商標・著作権 についての関連する質問