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カテゴリ: 特許・商標・著作権
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顧客様用に、会社カレンダーを作成するのですが、既存の壁掛けカレンダーの名入れ部分に、会社名と、そのカレンダーに掲載さ

質問者の質問

顧客様用に、会社カレンダーを作成するのですが、既存の壁掛けカレンダーの名入れ部分に、会社名と、そのカレンダーに掲載されている芭蕉・一茶等の俳句の英訳を印刷したいと思っております。(外国仕様 のため)
俳句をこちらで英訳しようと思うのですが、何か法的に問題はあるでしょうかと昨日聞きましたが、その既存カレンダーに一茶・芭蕉以外の2種の俳句が掲載されていました。

五月雨のあまだればかり浮御堂   阿波野青畝
日盛の蝶飛んでいる森の中   山口青邨

の2種は作者が死後50年以内なのですが、英訳はいかがでしょうか?また、英訳において何が必要でしょうか?
投稿: 3 年 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
専門家:  patent777 返答済み 3 年 前.

知的財産権を専門とする弁理士です。

 まず、著作権法で保護されるためには「著作物」でなければなりませんが、俳句は「思想又は感情を創作的に表現したもの・・・」(著作権法(以下「法」とします)2条1項1号)ですので、「著作物」となり、著作権者である俳人は財産権である著作権と人格的権利である著作者人格権を有します。


 著作権には、複製権(法21条)~翻案権等(27条、28条)の複数の権利が含まれます。


 一方、著作者人格権には未公表の著作物を公表するか否かを決める権利である公表権(法18条)、氏名を表示するか否かを決める権利である氏名表示権(法19条)、著作物の同一性を保持する権利である同一性保持権(法20条)を有します。


 本件におきましては、著作物である俳句の翻訳という行為ですので、著作権におきましては翻訳権(27条)が関わり、著作者人格権におきましては、すでに氏名が表示されて公表されているので、公表権は問題とならず、翻訳してカレンダーに掲載するに際して氏名を表示すれば氏名表示権も問題とならず、翻訳に伴う同一性保持権が関係してくると思われます。


 以下に翻訳権(著作権)と同一性保持権(著作者人格権)に分けてご説明します。


1. 翻訳権


(1)著作権の保護期間が切れている著作物につきましては、著作権者の許諾を得ずに翻訳することができます。


 著作権の保護期間は原則として著作者の死後50年までです(法51条)ので、保護期間が切れている芭蕉・一茶等の俳句の翻訳につきましては、許諾なく可能です。


(2)一方、死後50年が経過しておらず、翻訳権が存続している著作物につきましては、著作権者の承諾がなければ翻訳することができません。


 そのため、死後50年が経過していない著作者である阿波野青畝、山口青邨などの俳句を翻訳する場合には、著作権者(翻案権者)の承諾が必要となります。


 承諾をもらう手続としましては、著作権等管理事業法に基づく著作権管理事業者である「公益社団法人 日本文藝家協会」に権利が委託されていれば、こちらに申請すればよいです。しかし、こちらに委託されていなければ著作権者(相続人、親族など)に直接連絡することになります。


2. 同一性保持権


(1)著作者人格権は一身専属的なものであり(著59条)、原則として死者には人格権はないと考えられますが、著作権法では著作者の死後においても人格権の保護を認めています。


 すなわち、著作者の死後、著作物を公衆に提供・提示する者は、著作者が存しているとしたならばその人格権の侵害となるべき行為をしてはならない、と規定されています(著60条)。


 そのため、著作者の死後において著作者人格権の侵害となるべき行為をした場合には、遺族等(著作者の配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹または遺言で指定された者)が、差止請求権(著112条)や名誉回復措置請求権(著115条)を行使することができます(著116条)。


 ただし、遺族等が生存していない場合は上記の権利を行使することはできません。


 一方、死後における人格権侵害には、刑事罰の適用があり、5百万円以下の罰金に処されます(著120条)。これは非親告罪となっていますので、告訴がなくても公訴が提起されますので(著123条)、現実に訴えられる場合は少ないとしても理論的には永久に刑事罰を受ける可能性があります。


(2)そのため、俳句の翻訳が同一性保持権の侵害となるかですが、同一性保持権は法上「著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。」(著20条1項)と規定されています。


 芭蕉や一茶などのように死後長い年月が経過した俳句の翻訳につては、死亡した著作者の利益の保護というよりも著作物を社会公共のために利用するという側面の方が強くなるといわれていますので、名誉・声望を害せず、誤訳がないように翻訳をする限りにおいては、問題がないと思われます。


(3)一方、阿波野青畝や山口青邨の俳句のようにまだ著作権が存続している俳句の翻訳については、厳格に解釈され、翻訳が同一性保持権に抵触すると判断される可能性もあると思われます。


 そのため、翻訳権の承諾を得る際には、著作者人格権の不行使の許諾も得ておいた方がよろしいかと思われます。


3.したがいまして、芭蕉、一茶など、著作権の保護期間が切れている俳句につきましては、正確に翻訳する限りにおいて許諾なく翻訳することができますが、阿波野青畝や山口青邨のように著作権が保護されている俳句につきましては、翻案と著作者人格権の不行使の許諾を得た後、名誉・声望を害さないように翻訳することができると思われます。

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