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patent777
patent777, 弁理士
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特許の発明者は特許権者について

解決済みの質問:

お世話になります。


発明者は特許権者に対して、発明品を利用して販売されている商品の 販売を止めたりすることはできないのでしょうか?


(費用を求めたい訳ではありませんが、発明者として特許権者に対して行使できることがあるのか知りたいです。)


また、発明内容の帰属を契約していないのに勝手に特許権者が設定 されていた場合にその特許申請に対して抗議はできないのでしょうか?


アドバイスをいただけると幸いです。


 

投稿: 3 年 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
専門家:  patent777 返答済み 3 年 前.

 知的財産権を専門とする弁理士です。

 少しお伺いしたいのですが、ご質問内容に「発明内容の帰属を契約していないのに勝手に特許権者が設定されていた」とありますが、質問者様の発明は、所属される会社の業務上創作した発明なのでしょうか?

質問者: 返答済み 3 年 前.

説明不足にてすみません。


 


販売メーカー(A) --> 製造メーカー(B) --> 私


という流れで、私は製造メーカー(B)に依頼されて物を作りました。


私は、販売メーカー(A) とは何も契約などしていません。


 


最近、製造メーカー(B)より、販売メーカー(A)が特許を申請して


いるという話を聞いたので、色々と特許の検索に関するHPを調べて


特許申請の情報を見つけることができました。


そうしたら、発明者に私の名前が記載されていました。


 

専門家:  patent777 返答済み 3 年 前.
事情が分かりました。

1.まず発明者の権利についてご説明します。

 発明者が発明を完成すると、発明者には原始的に「特許を受ける権利」が発生します(特許法(以下「特」とします)29条1項柱書)。


 「特許を受ける権利」とは、発明の完成から特許権が発生するまでの間に存続する権利で、財産権的性質を有するものです。この権利を譲渡したり(33条1項)、仮実施権(ライセンス)を設定することもできます(34条の2、34条の3)。このように収益を得ることもできます。


 また、この「特許を受ける権利」を有するもの者のみが、その発明について特許出願をすることができ(特36条)、審査に合格すれば特許権を取得することができます(特66条)。


 「特許を受ける権利」は発明の完成と共に何の要式行為(出願、申請、登録など)を必要とせずに、自動的に発明者に帰属します。原始的に法人に帰属することはありません。


 共同で開発した発明であっても法人発明とはならず、各開発者全員が「特許を受ける権利」を共有することとなります。


 発明者が「特許を受ける権利」を譲渡し、その後その譲受人が特許権を取得した場合は、もはや発明者は特許権者に対し、差止めや損害賠償等を請求することはできません。原則として発明者だけが発明を独占排他的に実施することができるからです(68条)。


 発明者は、特許原簿等に発明者として掲載される発明者掲載権(一種の名誉権)のみがあるだけです。


 そのため、ご質問にありますような発明者は特許権者に対して、発明品を利用して販売されている商品の 販売を止めたりすることはできないこととなります。


2.職務発明について


 質問者様の発明が職務発明(特35条)に該当し、かつ、契約、勤務規則その他の定めにより職務発明についての特許を受ける権利や特許権などを使用者等(法人など)に譲渡することが定められている(「予約承継」が定められている)場合には、発明の完成と同時に自動的にこれらの権利が使用者等に譲渡されることになります。


 職務発明に該当する場合とは、①使用者等の従業者等がした発明であること、②発明が使用者等の業務範囲に属するものであること(例えば、電気製品の製造・販売を業務目的としている会社であれば、電気製品に関する発 明は業務範囲に属しますが、医薬品や食品に関する発明は業務範囲に属しません。)、③発明が使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属するものであること(従業者のポストや職務内容から判断して発明をすることが当然に予定され又は期待されている場合)。の三つの条件を全て満たすのであれば、「職務発明」に該当します(特35条1項)。


 そして、職務発明についての特許を受ける権利や特許権が使用者等に譲渡される場合、発明をした従業者は使用者等から相当の対価を受けることができます(特35条3項)。


 したがいまして、質問者様が創作した発明が職務発明であって、予約承継が存在しているのであれば、発明の完成と同時に上記権利が使用者等に帰属することとなります。


3.事案についての検討

 質問者様は販売メーカーA及び製造メーカーBの従業員ではありませんので、質問者様の創作した発明はA及びBとの関係におきましては職務発明とはなりません。そのため、特許を受ける権利は発明者である質問者様に帰属しております。

 そして、販売メーカーAの特許権は、特許を受ける権利を有しない者による出願によって取得されたものですので、その特許には無効理由が存在します(特123条1項6号)。

 そのため、質問者様の対応としましては、Aに対して特許権の移転を請求することができます(特74条)。

 また、Aが移転請求に応じない場合は、特許庁に対して特許無効審判を請求し、その特許を無効とすることができます(特123条、125条)。

 ただし、特許を無効としてもすでに発明内容が公開されていますので、公開されてから6月以内であれば、新規性喪失の例外適用(特30条1項、3項)を受けて出願することにより質問者様は特許権を取得することができますが、公開されてから6月が経過している場合には、その発明は新規性を喪失していますので(特29条1項)、特許権を取得することができません(特49条1号)。

 なお、その発明が質問者様の所属されている会社の業務の一環としてなされたものであれば、先ほどご説明した職務発明の要件に該当する場合であって、かつ、予約承継が存在しているものでしたら、職務発明となり、相当の対価の支払いを受けることを条件として、会社が特許権を取得することとなります。



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