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カテゴリ: 特許・商標・著作権
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メーカーの者です。 特許権侵害についての質問です。よろしくお願いします。 私どもは代理店を通じて「商品」を販

解決済みの質問:

メーカーの者です。
特許権侵害についての質問です。よろしくお願いします。

私どもは代理店を通じて「商品」を販売している のですが、代理店が私どもに「無断」で海外に「商品」を販売したとします。その「商品」がその国の特許権を侵害していた場合、特許侵害で訴えられるのはまず「代理店」なのでしょうか。
それとも両方?メーカーである我々の責任を回避するにはどうすれば良いのでしょうか。
また、このような場合、損害賠償は範囲はどれくらいまで及ぶのでしょうか。
また、裁判はどの国で行われるのが一般的なのでしょうか。
投稿: 4 年 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
専門家:  patent777 返答済み 4 年 前.

-もう少し詳しく状況を説明していただけませんか。
知的財産権を専門とする弁理士です。

少し状況を確認したいのですが、

①質問者様がその商品を日本国内で製造し、それを代理店に卸した後、代理店が、国内のみならず、海外にもその商品を輸出し、かつ、販売しているということでしょうか?

②その商品の販売先の外国の特許権者は、当該商品について日本でも特許権を有しているのかでしょうか?

③質問者様は、代理店の海外での販売行為を全く知らなかった、関与していなかったということでしょうか?

以上3点について教えてください。

質問者: 返答済み 4 年 前.

お世話様です。



我々が製造した商品を日本及び、特許権を侵害しない海外への販売は許可していたとします。ところが、その代理店が我々が許可していないAという国に販売し、特許侵害をしてしまった。その責任はメーカーである我々にも及ぶとは思いますが、回避する方法はありますか。



また、その商品の特許権者の本社は米国で、米国でも特許を取得している場合、米国で訴訟を起こされることもあるのでしょうか。


 


その商品は日本では特許取得者しておりません。

専門家:  patent777 返答済み 4 年 前.

それでは、検討する項目に分けてご説明いたします。

1.基本原則について


適用される法律は侵害をした行為地であるA国の法律だと思われます。

 いわゆる「属地主義」という原則がございます。この原則はほとんどの国で採用されている原則で、その国の特許権の効力は、当該国の領地内でのみ及び、他国に特許権の効力を及ぼすことができないというものです。


2.A国における輸入・販売の行為について


 上述しました属地主義の原則に基づいて考えますと、本事案では、特許権者は行為地であるA国のみならず米国にも同一の発明(商品)についての特許権(以下「対応特許権」とします)を有しているとのことですが、「A国での侵害行為」に対しては、A国の特許権に基づいて差止請求権や損害賠償請求権といった権利を行使することができ、米国の特許権に基づいて権利行使をすることができないことになろうかと思われます。


 仮に、米国の特許権に基づいてA国での侵害行為に対して権利を行使することができるとすれば、わざわざA国で特許権を取得する必要はなく、米国の特許権のみ取得すればいいことになります。


 特許権を取得するためには、特許権の取得を希望する国ごとに特許出願をし、各国ごとで審査基準の異なる審査を受け、各国ごとの言語に翻訳し、さらに各国ごとに所定の手数料を支払わなければなりません。そのような労力や費用をかけてまでも本国の他に他国にも権利を取得するということは、本国の権利を他国に及ぼすことができないからということです。


 したがいまして、A国の特許権に基づき権利行使がなされ、A国の法律に基づきA国の裁判所で訴訟が行われると思われます。


 仮に、特許権者が日本でも対応特許権を有しているのであれば、商品を製造しA国に輸出する行為は特許製品の実施行為となり(日本国特許法2条3項1号)、日本における対応特許権の侵害となります(同法68条)。そして、日本国特許法に基づき日本の裁判所で訴訟が行われることになります。


3.日本における製造・輸出の行為について


 もう一つ考えられますのは、A国の特許権に基づき日本における特許製品の製造・輸出の行為に対して、権利行使をすることができるか、という問題です。


 これにつきましても属地主義の原則に立てば、A国の特許権の効力を日本に及ぼすことはできないということになろうかと思われます。


 この件に関しましては、本事案と同様の事案についての最高裁の判決(最判平14.9.26判決、「FM信号復調装置事件」)がありますので、その概略をご参考までに紹介します。以下、「米国」のところを「A国」と読み替えてください。


〔事実の概要〕


 原告Xは、米国において、「FM信号復調装置」という名称の本件米国特許権を有している(ただし、日本では対応特許権を有していない)。被告Yは、日本においてカードリーダー(以下「Y製品」という)を製造して米国に輸出し、Yが100%出資した米国法人訴外Tは、同国でこれを輸入・販売していた。


 Xは、YがY製品を日本から米国に輸出する等の行為が、米国特許法271条⒝項に規定する特許権侵害を積極的に誘導する行為に当たる等と主張して、Yに対し、Y製品の日本での製造や米国への輸出等の差止め、日本で占有するY製品の廃棄、および不法行為による損害賠償を請求した。


 第一審及び第二審は、Xの請求を棄却した。Xが上告受理申立て。


〔判決〕

 上告棄却。


〔判旨〕


 「・・・特許権の効力の準拠法に関しては、・・・条理に基づいて、当該特許権と最も密接な関係がある国である当該特許権が登録された国の法律によると解するのが相当である。」


 「したがって、・・・本件米国特許権が登録された国であるアメリカ合衆国の法律が準拠法となる。」


 「米国特許法・・・271条⒝項、283条によれば、本件米国特許権の侵害を積極的に誘導する行為・・・が我が国においてされ、又は侵害品が我が国内にあるときでも、侵害行為に対する差止め及び侵害品の廃棄請求が認容される余地がある。


 しかし、・・・本件米国特許権に基づき我が国における行為の差止め等を認めることは、本件米国特許権の効力をその領域外である我が国に及ぼすのと実質的に同一の結果を生ずることになって、我が国の採る属地主義の原則に反するものであり、また、我が国とアメリカ合衆国との間で・・・条約も存しないから、・・・米国特許法を適用した結果・・・は、我が国の特許法秩序の基本理念と相いれない・・・。


 したがって、米国特許法の上記各規定を適用してYに差止め又は廃棄を命ずることは、法例33条にいう我が国の公の秩序に反するものと解するのが相当である・・・。」


 「本件損害賠償請求について、法例11条1項にいう『原因タル事実ノ発生シタル地』は、本件米国特許権の直接侵害行為が行われ、権利侵害という結果が生じたアメリカ合衆国と解すべきである。けだし、(ア)我が国におけるYの行為が、アメリカ合衆国での本件米国特許権侵害を積極的に誘導する行為であった場合には、権利侵害という結果は同国において発生したものということができ、(イ)・・・アメリカ合衆国の法律によると解しても、・・・Yの予測可能性を害することにもならないからである。」 以上。


 以上ご説明しました内容からしますと、本事案におきましてもA国で訴訟が行われるものと推測します。ただし、A国が属地主義を採用していないとか、米国との個別条約によって米国の特許権の効力を及ぼすことを認めているといった特別の事情が存在する場合には、結論が異なってきます。しかし、そのような場合であっても、上記の最高裁判例が判示しますように、少なくとも、わが国における製造・輸出の行為に対しましては、米国特許権及びA国特許権を及ぼすことはできないと思われます。


4.損害賠償額について


 損害賠償額につきましては、A国の法律に基づき決定されることになると思われますので、はっきりしたことを申すことはできません。


 参考までに、わが国の場合の損害額の算定方法をご説明します。わが国では、損害賠償については「逸失利益」の補填にとどまります。これは、増加すべき利益が不法行為によって増加しなくなったことによる損害又は侵害行為により市場における潜在的顧客を奪われたことによって失った利益をいいます。


 わが国では、実損のみを補填しますが、外国では、権利者に実際に生じた損害を補填する外に制裁金を加算する国があります。


 したがいまして、そのような国では、以下にご説明するわが国の損害額よりも多くなる可能性があることをご了承ください。


 わが国では、特許権侵害による損害額の算出が困難であることに鑑み、特許法102条において損害額の推定規定を設けています。


 これによりますと、①質問者様が販売した 数量にその商品の単位数量あたりの利益額を乗じて得た額を算出し、そこから質問者様の販売数量の全部または一部に相当する数量を特許権者が販売することができない事情が存在するときは、その販売できないとする数量に応じた額を控除した額を損害額とします(同条1項)。なお、販売することができない事情とは、質問者様の広告宣伝活動による販売量の増加、権利者との地域的不競合、他の競合製品の存在などにより、質問者様の販売数量がそのまま特許権者の販売数量とはならず、もっと少ない数量になるであろうということです。②被告の侵害行為による利益額を特許権者の損害額と推定する場合(同条2項)、これは、特許製品が販売される市場には侵害品のほかにも代替品が存在する等、様々な要因が存在するため、侵害と損害との因果関係の厳密な立証は極めて困難である場合に適用されます。③上述した方法の算定が困難である場合には実施料相当額を損害額とします(同条3項)。これは、ライセンス契約を締結した場合に支払われる額を損害額とするものです。


 通常は、これらの算定方法による損害額を複数請求する場合が多いですが、裁判所は、故意や重大な過失がないなどの事情が存在する場合には、それを参酌して損害額を減額したりすることもあります(同条4項)。


 以上が我国における特許権侵害の場合の損害額の算定基準です。


 A国の算定方法がわが国と全く同じではないと思われますが、一応の目安にはなろうかと思われます。


5.損害賠償責任について


 直接の侵害行為を行っているのは代理店ですが、質問者様も監督責任が問われる可能性があります。その場合には、共同不法行為として賠償責任を負う可能性があるものと推測されます。


 特に代理店の不法行為を知った後もこれを放置しますと、責任は重くなるものと思われますので、代理店への商品の供給の中止、代理店への輸出・販売の行為の中止命令をしていないのであれば、すぐに中止させた方がよろしいと思われます。

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