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ある歌手のかたの上演台本を書いていますが、(ある歌手の方は今回の上演は承諾すみ)それにまつわる固有名詞、つまり、名前

解決済みの質問:

ある歌手のかたの上演台本を書いていますが、(ある歌手の方は今回の上演は承諾すみ)それにまつわる固有名詞、つまり、名前などは本人の名前を使用してもいいのでしょうか。例えば作曲家
一番一郎というのが、実在としたら、台本上は二番一郎などと変えたほうがよろしいので しょうか。
著作権ではどうなのでしょうか。
自分では、変えたほうが無難と思いましたが、ただ、作詞や作曲や当時一緒にしごとをしたひとの名前を変えてしまうと、
今回上演する歌手の方が有名なため、作曲や作詞家の正式名前もみなさんご存知なのに、変更すると、かえってご覧いただくお客様が違和感があると思うのですが、著作権上どうなのかお教えください。
投稿: 4 年 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
専門家:  patent777 返答済み 4 年 前.

知的財産権を専門とする弁理士です。

少しご質問内容を確認したいのですが、上演台本とは、いわゆる脚本のことでしょうか?

そして、その脚本が、例えばその歌手の方を主役として、ライオンキングだとか、ウエストサイドストーリーのようなニュージカル又は何かの物語、小説などを演じるものなのでしょうか?

そして、その演じる場合の役名に本人の名前、すなわち芸名(本名ではなく歌手名)を使用してもよいのか?ということなのでしょうか?

教えていただけませんか。

質問者: 返答済み 4 年 前.
そうです。脚本のことです。
そして、この脚本はその歌手を主人公としたミュージカルです。
この 主人公の歌手名を使用することは、すでに事務所および、本人からも了承を得ています。

それを踏まえて質問なんですが、

脚本は、この主人公が幼い時からデビューするまでを描く内容になっています。

そして、主人公に関わる人物・登場人物として、
主人公以外の歌手や、デビューにあたり主人公を育てた、プロデューサー、作曲家、作詞家などが当然でてきます。

この主人公に関わる登場人物の固有名詞、つまり名前などは、実際の名前を使用することはできるのでしょうか?という質問です。

今回の主人公の場合、本人はもちろん、デビューの際に主人公の歌を手掛けた作曲家、作詞家もセットでよく知られています。そして、その頃主人公が一緒にしごとをした歌手仲間や先輩歌手などの登場人物も
私としては、実名で登場させたいのですが、
それは可能かどうかという質問です。

主人公に関わる登場人物は実名で登場させることは可能か?

ご理解いただけたら幸いですが、わかりづらかったらすみません。よろしくお願いします。
専門家:  patent777 返答済み 4 年 前.

 ご質問内容は理解できました。

 著作権の観点からご説明申し上げます。

 結論から申しますと、登場人物を実名で登場させても、著作権を侵害することにはならないと思われます。

 著作権の侵害となるためには、歌手や作詞家、作曲家などの「実名」が著作権法上の保護対象である「著作物」でなければなりません。

 ここに「著作物」とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」をいいます(著作権法2条1項1号)。

 「思想又は感情」でなければならないわけですので、単なる事実の羅列やデータなどは除外されます。


 また、「創作性」を必要としますので、著作者の何らかの個性が現れていなければなりません。


 ご質問にありますような人物の実名については、思想又は感情があるとはいえず、また創作性、すなわち、個性が表されているとは考えにくいです。


 もちろん、文章の短いものであっても、俳句のように思想や感情が創作的に表現されているものもありますから、短いものであるということのみで、著作物でないと判断することはできません。


 しかし、この事例に参考となる判例において「言語から構成される作品において、ごく短いものであったり、表現形式に制約があるため、他の表現が想定できない場合や、表現が平凡でかつありふれたものである場合には、筆者の個性が現れていないものとして、創作的な表現ではない」と判示されています(「古文単語語呂合わせ事件」東京地裁平成11.1.25、「ラストメッセージin最終号事件」東京地裁平成7.12.18)。


 このような判例から判断しても、実名については短いことの他に、人物を特定するために付けられる人名は著作物性の要件を満たさない場合が圧倒的に多く、通常は著作物ではないと解釈されています。そのため、実名には著作権は生じていません。


 したがいまして、そのような著作物ではない実名を利用しても、著作権侵害にはならないと判断されます。

一方で、肖像権という権利があります。この権利は知的財産権の範疇ではありませんが、この権利が影響してくる可能性も考えられます。

 肖像権には、プライバシー権とパブリシティ権があります。

 ただし、肖像権は何でもかんでも主張できるものではありません。

 

 そもそも我が国では、肖像権につきましては、特許権や著作権のような明文規定は存在しません。


 プライバシー権について、強いて法律上の根拠を挙げるとすれば、憲法13条の幸福追求権に含まれるものとして、1964年の「宴のあと事件」以来、プライバシー権が社会通念となり、個人の氏名、肖像もその対象と考えられるようになったという経緯でできた権利です。


 そのため、著作権の様に自己の顔や肖像に複製権があるというようなものではなく、その肖像写真の公開によって、秘匿すべき私生活(プライバシー)を暴露されないという権利です。そして、その延長線上に、通常のマナーに反する方法で撮影されたり、描かれたりすることを拒否する権利も含まれていると考えられています。


 このため、他人に知られたくないような事実を暴露されたり、誰が見ても不名誉と思われるような私生活上の出来事を公開されるのを拒否する権利といえます。

 今回のケースで考えてみますと、著名人は、その著名性ゆえに、よほど不名誉と思われるような実名の用いられ方でない限り、一般人に比べてプライバシー権を主張することは難しく、公序良俗に反したり、名誉毀損に当たるような使われ方をしない限り、プライバシー権の侵害とはならないと考えられます。


 一方、パブリシティ権については、これまでの判例を積み重ねて認められてきた権利です。そういう意味では実定法上の権利である特許権や著作権などのような純然たる知的財産権とは異なります。

 パブリシティ権が実定法上の権利でないため、その内容がどのようなものであるかについては、裁判例において「著名人の氏名、肖像等が持つ顧客吸引力について、当該著名人の獲得した名声、社会的評価、知名度等から生ずる独立した経済的利益ないし価値として把握し、当該著名人がかかる顧客吸引力の持つ経済的価値を排他的に支配する財産的権利」と判示されています(東高平3.9.26、東地平12.2.29)。


 ようするにプライバシー権としての肖像権が自らの氏名、肖像を人にみだりに使用されないことを内容とするものであるのに対し、パブリシティ権としての肖像権は、自らの氏名、肖像に化体した「顧客吸引力」を利用して経済的利益を上げ、また第三者にそれを利用させて経済的利益を獲得するものです。


 
 どのような人物がパブリシティ権を有するのかと申しますと、 パブリシティ権は、上述しましたように「顧客吸引力」を利用して経済的な利益を上げるものですから、この「顧客吸引力」を持っている人物がパブリシティ権を有することになります。

 従来の判例では「パブリシティ権とは、歌手、タレント等の芸能人が、その 氏名、肖像から生ずる顧客吸引力のもつ経済的利益ないし価値に対して有する排他的財産権であると解されています。おそらく著名な作詞家、作曲家も含まれると思われます。


  このため、著名人にはパブリシティ権が存在することになります。そしてパブリシティ権を有する場合には、以下に述べる侵害判断が必要となります。


 
 従来の裁判例におきましては、次のような基準がしばしば見られます。「他人の氏名、肖像等を使用する目的、方法及び態様を全体的かつ客観的に考察して、右使用が他人の氏名、肖像等の持つ顧客吸引力に着目し、『専ら』その利用を目的とするであるかどうかにより判断すべき」という基準です。(中田英寿事件~東地平12.2.29、ブブカスペシャル7事件~東地平16.7.14、キング・クリムゾン事件~東高平11.2.24、ぺ・ヨンジュ事件~東地平22.10.21)


 明文上の根拠もない財産的な権利であるパブリシティ権に、顧客吸引力の無断利用を理由として、言論や出版の制約を安易に認めるわけにはいかず、一般には安易に『専ら』と認定されることはないようです。


 
 本事案では、その実名の利用は顧客吸引力を利用するために用いるのではなく、史実として利用するものですので、演劇で実名を使用しても、問題はないと思われます。

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