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patent777
patent777, 弁理士
カテゴリ: 特許・商標・著作権
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地方の文化施設で、芸術文化事業の運営を担当している者です。 毎年、プロの演出家を招き、一般市民や市民団体に加え、プ

質問者の質問

地方の文化施設で、芸術文化事業の運営を担当している者です。
毎年、プロの演出家を招き、一般市民や市民団体に加え、プロのダンサーが出演する市民参加型事業を開催し、今年度も舞台公演を先月12月に開 催いたしました。
この公演では、演出家が代表を務める会社に、舞台一式の業務、舞台の映像撮影及びDVD化のための編集業務を委託し、演出家は、脚本も書き、出演もしております。

また、本市民参加型事業は、上記文化施設の指定管理者である、わたくしが勤める財団が主催をしており、演出家の会社には、財団が委託をしております。

公演において、DVD化用の撮影の他に、主催者記録用のビデオ撮影を行ったところ、演出家から、撮影の許可をしていないので、映像を削除するように言われました。
この場合、映像を削除しなくてはいけないのでしょうか。
また、完成した作品及び映像の権利は、財団と演出家と、それぞれどのように発生するのでしょうか。

まとまりのない質問になってしまい、恐縮ですが、ご教示いただけましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
投稿: 3 年 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
専門家:  patent777 返答済み 3 年 前.

 知的財産権を専門とする弁理士です。
 ご質問の内容を整理いたしますと、
 ①質問者様がお勤めになる財団(以下「甲」とします)が主催者となって市民参加型事業を行った。
 ②事業内容は一般市民、市民団体及びプロのダンサーが出演する舞台公演であった。
 ③舞台公演の脚本、演出、撮影、編集の業務を甲が、演出家が代表を務める会社(以下「乙」とします)に委託した。
 ④甲の公演のDVD化用の撮影、主催者記録用の撮影行為に対して、乙から映像の削除を求められた。

といったものと思われます。

 そこで、本ケースにおいてどのような著作物が発生するのかを考えてみますと、

 乙が作成した「脚本」につき言語の著作物(著作権法(以下「著」とします)10条1項1号)、演じられた演技の「振り付け」自体に対して舞踊の著作物(著10条1項3号)、それから舞台で用いられたオリジナルの装置があればその「舞台装置」について美術の著作物(著10条1項4号)が考えられます。

 そして、それらの著作物について生じる著作者人格権及び著作権(以下「著作権等」とします)は、原則として、実際に著作物を創作した著作者(著2条1項1号)に発生します。

 また、演じる 「行為」自体に対しては著作隣接権が発生します。この権利は、実演を行う者及び実演を指揮しまたは演出する者である実演家(著2条1項4号)に発生します。

 そのため、著作権等と著作隣接権は、原則として、創作者であり、演出家でもある乙に生じることとなります。

 そして、著作権者である乙のみが、公演を撮影したり、編集したり、録画する権利を有します。また、録画につきましては、著作隣接権者である実演家も権利を有しますが、実演家も乙ということになります。

 以上はあくまでも原則ですが、上述した各著作物が以下にご説明する「職務著作」(著15条)に該当するのであれば、法人である甲が著作者となり、著作権等を有することになります。この「職務著作」に該当するためには以下の4要件をすべて満たす必要があります。

①法人等の発意に基づき、②法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物で、③法人等が自己の著作の名義の下に公表するもので、④作成時に契約、勤務規則その他の別段の定めがない場合は、その著作者は法人等、すなわち甲となります(著15条1項)。

 上記の①につきましては、財団も法人等に該当します。また、甲から依頼がされていますので、法人等の発意に基づくと解されます。

 ②につきましては、判断が難しいところです。裁判例でも、従業者ではなく、委託契約の受任者や請負契約の請負人というだけで、従業者ではない、という単純な判断はしておらず、実質的な指揮監督下にあったか、報酬の支払いなどの要素を勘案しながら判断しています。

 形式的には「法人等の業務に従事する者」とは、法人等の指揮監督下において労務を提供する者ということであり、通常は雇用契約に基づく場合です。

 委任契約の場合は、受任者は、一般に、委任者に対して独立の地位に立ち自己の裁量によって業務を遂行するので、法人等の指揮監督下あるか否かの判断は難しいです。学説では、法人等の業務に従事する者とする立場と従事しないとする立場の両方があるのが実情です。

 ③につきましては、作成した従業者ではなく法人等が著作者として表示されて公表する場合です。

 ④につきましては、著作物の作成時点において、契約等によって法人等甲以外の者乙を著作者とする定めがあれば、その契約等を優先するというものです。

 以上の4つの要件に基づき判断すれば、②の従業者の要件を満たしていれば、著作者は甲となり、満たしていないのであれば、原則どおり乙が著作者となります。

 仮に職務著作の要件を満たし、甲が著作者となれば、甲には複製権等(著21条~28条)を有します。ただし、実演家の権利である著作隣接権は乙に帰属しますので、「録画」につきましては、乙の承諾が必要になると思われます。また、乙も録画するには著作権者である甲の承諾が必要になると思われます。

質問者: 返答済み 3 年 前.


丁寧に回答くださり、ありがとうございます。


 


追加で質問をしたく、恐れ入りますが、再度ご教授ください。


 


 


脚本、振付、舞台装置などの著作が発生することは了解いたしました。


 


法人著作に関しましては、


②につきましては、作品の内容は基本的には演出家に任せておりましたが、仕様に基づいて製作されているかどうか、主催者として、常に見ておりました。報酬の支払いは、委託費に含んでおりました。


③チラシなどの印刷物、ホームページや新聞広告など、外部に公表する情報としましては、主催として財団名を、演出として演出家の名前を出しておりました。


④契約には、具体的に著作権の帰属については記載しておりません。


・・・4つの要件を満たしているかとなると、完全には言い切れないでしょうか。


 


では、1回限りで行われた舞台公演自体は、誰の権利になるのでしょうか。


出演者や演出家など、共同の著作物ということになるのでしょうか。


 


感覚的なものかもしれませんが、事業自体は、主催者であり委託者である当財団に帰属するもののように感じます。


主催者の著作権は、何に発生してきますでしょうか。


 


 


最後に、録画に関しましては、どちらの著作権にしろ、著作隣接権が発生するので、乙の承諾が必要ということですね。


今回の録画に関しまして、演出家に事前の許可を得ませんでしたが、2次利用はしておりませんし、今後もいたしません。


とはいえ、撮影したことは法令に抵触するのでしょうか。


 


再度の質問も長くなり、恐縮ですが、どうぞ、よろしくお願いいたします。

専門家:  patent777 返答済み 3 年 前.

 おそらく、職務著作としては認められず、著作者は演出家となり、演出家に著作権等が生じるのではないかと考えられます。

 ②の「法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物」という要件は、雇用関係から生ずるような指揮命令・監督関係があり、法人等に著作権を原始的に帰属させることを前提としているかどうかで決まります。

 仕様に基づいて製作されているかどうか、主催者として、常に見ていた、ということですが、全体的な方向性は指導できたかもしれませんが、演出の内容を具体的に指導し、決定するところまで、主催者が直接的に関与していないのであれば、②の要件を満たしていると判断されるのは難しいように思われます。

 また、③の「法人等が自己の著作の名義の下に公表するもの」は、例えば、公演前に館内放送で、又は舞台上などで、質問者様を「著作者」として表示するような場合をいいます。

 今回のように広告やHPで「主催者」として表示しており、別に「演出として」演出家の名前も同時に表示している場合は、著作者を当該演出家として表示していると判断されると思われます。

 この②と③の要件におきまして、職務著作と判断されるのは難しいのではないかと思われます。

 なお、著作権の発生と公演回数とは無関係ですので、1回限りで行われた舞台公演であっても、著作権等は著作者に生じます。

 本事案のような場合、契約段階におかれまして、著作権及び著作者隣接権の帰属について、主催者側に譲渡する契約を締結しておくと、後の紛争を未然に防止するには有効です。 

 大変、悔しい思いをされるかもしれませんが、以上が私の見解です。質問者様の意図に則する様な回答をすることができないことを深くお詫び申し上げます。

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