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カテゴリ: 特許・商標・著作権
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ネットで塾向けや個人の生徒にネット学習システムを提供するつもりなのですが、そのとき自分で作った教材の中に問題集からス

質問者の質問

ネットで塾向けや個人の生徒にネット学習システムを提供するつもりなのですが、そのとき自分で作った教材の中に問題集からスキャナーした図があるのですが、著作権に反するでしょうか。著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とあります。問題集の図は、それにあてはまるのでしょうか。
2人の弁護士さんに聞いたところ、あてはまらないと言われました。しかし、その弁護士さんは、著作権専門ではないので気になっています。宜しくお願いします。
投稿: 4 年 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
専門家:  patent777 返答済み 4 年 前.

 知的財産権を専門とする弁理士です。

 問題集の図が、質問者様のおっしゃる通り、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法2条1項1号)に該当する可能性があります。

 ここでいう「思想又は感情」とは、図を作成する過程において何らかの思想・感情が移入され、著作者の気持ちが現れていれば、その図は思想・感情を表現したものといえます。

 特に高邁な学問的・哲学的・文学的な内容のものである必要はなく、作者の考えや気持ちが現れていれば足りると解されています。

 例えば、あるデータなどの事実それ自体であるとか、事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は著作物に該当しません(著作権法10条2項)。反対解釈として、そのような事実等を単に表現した図でなければ、著作物性が認められるということです。

 また、「創作性」とは、完全な独創性までは要求されておらず、学術性や芸術性の高さも問題とされておらず、何らかの個性が現れていればよいと解されています。

 もう少し端的に申しますと他人の模倣でなければ創作性は認められると考えられます。そして、思想や感情が創作的である必要はなく、その具体的な表現に創作性があれば足りるとされています。

 また、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と規定されているのは、著作物から実用品や工業製品を排除することを意味しているにすぎないと解され、具体的な著作物の種類には、著作権法10条1項で例示されております「言語の著作物」~「プログラムの著作物」があります。

 以上の内容に照らしてみますと、問題集の図であっても、他人の模倣でなく、著作者が独自に考えたものであって、単なる事実の表現ではなく、何らかの創作性が認められれば、十分に図形の著作物(著作権法10条1項6号)となりえます。

 従いまして、そのような問題集の図をスキャナーして、ご自分の教材に取り込む行為は、著作権のうち複製権(著作権法21条)を侵害し、また、インターネット上に掲載等する行為は公衆送信権(同23)を侵害することとなります。

 万が一のため著作者の許諾を得ておいた方がよろしいかと思われます。

質問者: 返答済み 4 年 前.

説明が不十分でした。その問題の図は、学校で使われている教科書の写真や図をそのまま問題集に図としてのせたものです。思想や感情の表現には入らないのではないでしょうか。教科書の写真や図をそのままそっくりに図として使われているのですか。そこがポイントだと思います。宜しくお願いします。

専門家:  patent777 返答済み 4 年 前.

 先ほど回答した弁理士です。

 写真や図がどのようなものに掲載されているか、ということと、「思想又は感情の表現」に該当するか否か、ということとは関係がありません。

 図等が文部科学大臣の検定を経た教科用図書に掲載されているものであっても、その図等が思想又は感情を創作的に表現したものと認められるものであれば、著作物となります。

 なお、図形の著作物の対象となるのは、地図、海図、設計図、図表、グラフ、図解、地球儀、機械や建築物の図面や模型、イラスト図、デフォルメされた図などで、これらに思想又は感情が創作的に表現されたものと認められれば、著作物ということです。

 例えば、あるデータの数値があり、それを既存のビジネスソフト(エクセルなど)を使って、単にグラフ化したようなものは、だれでも思いつくものなので、おそらく著作物性は否定されますが、そのようなグラフなどに、何らかの装飾を施せば、著作物性が認められる可能性があります。

 ただし、著作物であっても、許諾を得ずに例外的に利用できる場合は、以下のものがあります。

 1.私的使用を目的とする場合(著作権法(以下「著」とします)30条)。

個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において、使用する者が複製する場合です。

 しかし、これは本事案では該当しません。

 2.引用する(著32条)

 引用ができる場合とは、①公表された著作物であること。②公正な慣行に合致していること、③報道・批評・研究その他の引用の目的上正当な範囲内であること、の3つの要件を満たす必要があります。
 
 具体的には、著作権法32条を踏まえた上で、裁判上認められた引用基準というものがございます。以下の4つの要件を全て満たした場合です。

 ①明瞭性→引用する側の著作物と、引用される側の著作物との区別が明瞭であること。例えば、引用文をかぎかっこでくくって表示するような場合です。

 ②付従性→(1)引用する質問者様の著作物が主体で、引用される他人の著作物は従たる存在であり、(2)引用された著作物が引用先である質問者様の著作物の中に吸収されており、引用文が本文より高い存在価値を持たず、(3)他人の著作物が大部分で質問者様の文章、コメントがそれより少ないということがないことです。

 ③必要最小限→引用の範囲が引用の目的上必要最小限の範囲であること。例えば、美術作品・写真・俳句のような短い文芸作品であれば、全部の引用が可能ですが、学説・論文等については全部の引用はできないというようなことです。

 ④人格権への配慮→著作者の人格権侵害や名誉棄損とならないように配慮する必要があります。

 これら判例の条件を全部満たすことで引用が可能になると考えられます。

 そして、上記の条件を全て満たし引用ができるとなった場合には、通常に引用する場合のほかに、著作物を翻訳して引用することができます(著作権法43条2号)。外国の文献等を日本語に翻訳して引用することができるということです。

 ただし著作物を、変形、翻案して引用することはできません。

 また、著作物を複製するにあたっては、出所を明示する必要があり、、著作物を複製以外の方法により利用する場合には、出所を明示する慣行があるときに限り、出所を明示する必要があります(著作権法48条1項1号・3号)。

 例えば、著作者名(氏名、筆名、雅号、サイン、略称など)、題号、出版社名などの明示が必要です。

 なお、①国・地方公共団体・独立行政法人・地方独立行政法人が、②一般に周知させることを目的として、③その著作の名義の下に公表する、④広報資料・調査統計資料・報告書・その他これらに類する著作物は、⑤説明の材料として、⑥新聞紙・雑誌・その他の刊行物に転載できます。⑦ただし、禁止する旨の表示がある場合はこの限りでありません(著作権法32条2項)。


 この場合の転載も、翻訳して転載でき、出所の明示が必要となります。


 3.営利を目的としていない教育機関で利用する場合(著35条)

 本事案では営利目的と思われますので、この規定は適用できないこととなります。

 4.時事問題の論説とか政治上の演説等を利用する場合(著39条、40条)

 本事案とは関係がなさそうです。

 5.翻案して利用する場合(著27条、28条)。

 教科書の図をご自分の表現で変形して(翻案)利用する場合には問題ありません。翻案の度合いは、原形を感得させない(直接感じさせない)程度まで必要です。

 したがいまして、お使いになっている図・写真が著作物として成立する可能性がありそうであれば、許諾を得るか、引用するか、翻案して利用するか、のいずれかになると思われます。

 

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