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patent777, 弁理士
カテゴリ: 特許・商標・著作権
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はじめまして。現在個人事業主としてホームページ関連のソフトウェアを開発を行っているものです。ソフトウェア(ソースコー

解決済みの質問:

はじめまして。現在個人事業主としてホームページ関連のソフトウェアを開発を行っているものです。ソフトウェア(ソースコード)の著作権に関して質問をさせていただきます。
3年前に個人Aよりホームページ関連のプログ ラムの作成を委託され、当方で作成したプログラム一式(ソースコード)を納品いたしました。この時、業務委託契約書などの締結はなく、ソースコードの著作権について、納品時に発注者である個人Aに委譲する旨も明示されておりませんでしたので、一般的に考え、これらのソースコードの著作権は当方にあると認識しております。

昨年の11月に、個人Aより、このホームページを全面的にリニューアルするため、関連するソフトウェアも改定してほしいとの依頼を受け、制作費用の見積もりを提示しましたが、金額の折り合いがつかず、正式な発注が無いまま現在に至りました。

ところが、個人Aは、いつもまにかこのプログラム制作を別の業者に発注をかけました。
このこと自体は問題ないのですが、3年前に当方が作成&納品したソースコードを、当方に断りもなく、勝手に転用、一部は改ざんして、リニューアルされるホームページ用に使用されていることを当方で確認いたしました。

これは、当方が作成したソフトウェア(ソースコード)の著作権の侵害にあたると思うのですが、いかがでしょか? ご意見をいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
投稿: 4 年 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
専門家:  patent777 返答済み 4 年 前.

知的財産権を専門としている弁理士です。

 

まず、プログラムの著作物性についてご説明します。

 

著作権法で保護される著作物は「思想又は感情を創作的に表現したもの・・・」(著作権法(以下「著」とします)2条1項1号)ですので、「創作性ないし独創性」があり、かつ、その「具体的表現」が保護されるのであって、「アイデア」は保護対象外です。「アイデア」は「技術的思想」として特許法の保護対象となります(特2条1項)。

 

この定義を「プログラム」について当てはめてみますと、著作権法上のプログラムとは「コンピュータ-に対する指令」ですので(著2条1項10号の2)、プログラムの表現は、そのまま「指令」すなわち「機能」となります。プログラムの表現の保護が、実際にはプログラムの機能の保護となります。

 

「プログラム」は、小説、美術、音楽、映画など他の著作物と異なり、「表現」を保護することは「機能」を保護することに直結します。

機能の保護という著作権法の本来の保護対象とは異なりますが、プログラムも保護対象となります(著10条1項9号)。

 

そのため、質問者様の作成したプログラムに創作性が認められれば、それはプログラムの著作物として保護されます。

 

また、システム設計書、フローチャート、マニュアル等が存在するのであれば、これらを言語の著作物(著10条1項1号)として保護される可能性もあります。

 

次に、権利の帰属についてご説明します。

 

著作権法は無方式主義(著17条2項)を採用していますので、何らの手続きや登録などを要せずに、プログラムの完成と同時に質問者様に著作権と著作者人格権が発生します。

 

本事案のように業務委託契約によりプログラムを作成した場合であっても、料金の支払いの有無に関係なく、実際に創作した受注者である質問者様に著作権等が原始的に発生します。

 

業務委託契約に著作権の譲渡契約があったならば原始的に帰属した著作権を、その後に発注者に譲渡しなければなりませんが、そのような契約がないようですので著作権等は質問者様に帰属しています。

 

なお、著作者人格権は一身専属的な権利ですので、例え譲渡契約を当事者間で締結しても、民法上はともかく著作権法上はその契約は無効であって、著作者人格権は譲渡することができません(著59条)。

 

そこで、おそらく著作物として成立するであろう本件プログラムの著作権等が質問者様にあることを前提として、以下に個人Aの行為、すなわち質問者様のプログラムを転用、一部改ざんする行為が著作権等の侵害となるか否かについてご説明します。

 

個人Aがプログラムを転用、一部改ざんするに際して、当該プログラムを複製しているはずですので、複製権(著21)との抵触が考えられます。また、改ざんしていますので翻案権(著27条)と二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(著28条)との抵触が考えられます。

 

まず、複製権についてですが、許諾なくプログラムを複製していれば当然に複製権侵害となります。一方で、私的使用の目的をもって著作物を複製する場合は、複製権の侵害を免れます(著30条1項)が、これが認められるのは、その使用をする者、すなわち個人A自身が複製し、かつ、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する場合に限られます。業者に発注したり、公衆が閲覧するホームページの作成のための複製は私的使用の目的を超えているので、複製権の制限はされません。

 

次に、翻案についてですが、翻案とは、個人Aが自分より先に創作した質問者様のプログラムに修正増減を施し、新たに創作性のある表現を付加しても、個人Aの創作したプログラムが、質問者様のプログラム(原著作物)に依拠し、かつ、原著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができる場合をいいます。そして、そのように翻案されたのであれば、個人Aのプログラムは二次的著作物となります。

 

 すこし、ややこしい表現で理解し難いかもしれませんが、大雑把に言いますと、複製といえるほどには原著作物と近似していないが、全く別の著作物ともいえない著作物。あるいは、複製といえるほどではないが、それでもなお、二次的著作物から原著作物を直接想起させるほどに似ているといったようなものです。

 

 実際には、どのような行為が翻案に該当するかは、著作物の種類や表現態様などによって異なり、確定的な基準は存在せず、ケース・バイ・ケースで判断せざるをえません。また、複製と翻案の厳密な境界も存在しないのが実情です。

 

プログラムについていえば、あるプログラム言語で表わされたプログラムを他のコンピュータ言語に変更する場合、プログラムのバージョンアップなどは翻訳、翻案とされ可能性が高いです。本事案については、改ざんの程度にもよりますが、質問者様のプログラムのかなりの部分を用いながら、変更を加えたような場合には、翻案に該当し、個人Aのプログラムは二次的著作物となり翻案権の侵害となります。

 

 なお、個人Aのプログラムが、質問者様のプログラムを翻案して作成された二次的著作物に該当する場合には、個人Aはその二次的著作物の著作者(著2条1項2号)となり、その二次的著作物について著作権等を有します。

 

 しかし、二次的著作物については、原著作物の著作者である質問者様にも同様に著作権等が生じます(著18条、19条、20条、28条)。そのため、個人Aは自己が製作したプログラム(二次的著作物)を利用するに際しては、質問者様の同意を得なければなりません。

 

 また、第三者が個人Aのプログラムを利用する場合には、個人Aの他に質問者様の同意を得る必要があります。同意を得ずに利用した場合には、質問者様の著作権等を侵害することになります。

 

ただし、プログラムの著作権については、以下の制限規定が存在します。

「プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案(これにより創作した二次的著作物の複製を含む。)をすることができる。・・・。」(著47条の3第1項)。

 

本規定は、プログラムをコンピュータで使用するには、インストールし(複製)、バックアップを取り(複製)、異機種に移植するために変更し(翻案)、バグを取り除く(翻案)等の作業が必然的に伴いますが、これらにつき個々に権利者の許諾を必要とすると、プログラムの利用・流通に大きな支障となり、権利者の利益にもならないため、複製物の所有者は、コンピュータにおいて利用するために必要と認められる限度で複製・翻案ができるとするものです。

 

所有者が他人にプログラムを利用させる場合は自ら電子計算機において利用するためとはならず、また、「必要と認められる限度」は判例によって定まるものですが、一般的には、複数のコンピュータで同時に使用するためのコピーや市販のゲームソフトのバックアップコピーは「必要と認められる限度」を超えており、著作権の行使は制限されないといわれています。

 

一方で、バージョンアップあるいは機能向上のための複製・翻案などは必要と認められる限度内と考えられています。

 

以上のことを踏まえて本事案について考えてみますと、ホームページを全面的にリニューアルするために、プログラムを一部改ざんする、すなわち複製・翻案する行為は、必要と認められる限度を超えていると判断される可能性が高いと思われます。

 

したがいまして、個人Aの行為は質問者様の著作権等を侵害する可能性が高いものと思われます。

 

なお、ソフトウェアは特許法の保護対象ともなり得ますが(特許法2条1項)、特許法で保護されるソフトウェアは、ハードウェアと協働する場合だけです。単なるOSソフトのみ、ビジネスソフトのみ、ゲームソフトのみは保護の対象外というのが特許庁の審査実務です。

 

したがって、洗濯機や炊飯器の制御に用いられるプログラムやエンジンの回転数・温度を制御するプログラムや記憶媒体など、ハードウェアと一体となって使用される場合に限られますので、本事案におけるプログラムは特許法の保護対象外として審査実務では扱われる可能性が高そうです。

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