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patent777
patent777, 弁理士
カテゴリ: 特許・商標・著作権
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弊社では個人向けの写真集の制作を請け負っております。先日アニメーションのキャラクターのコスプレをしたお客様から写真集

解決済みの質問:

弊社では個人向けの写真集の制作を請け負っております。先日アニメーションのキャラクターのコスプレをしたお客様から写真集の制作依頼が来ました、この場合著作権等はどうなるのでしょうか。
又、1冊のご注文と複数冊のご注文では違いが生じるのでしょうか、宜しくお願い致します。
投稿: 4 年 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
専門家:  patent777 返答済み 4 年 前.

知的財産権を専門に扱っている弁理士です。

 

結論から申しますと、著作権法上、質問者様が写真集を作成する行為は、制作部数に関係なく、著作権侵害となります。

 

この場合の著作権とは、アニメの著作権であって、キャラクターやコスプレ衣装には著作権は発生しません。

 

以下、詳細についてご説明します。

 

まず、アニメとは別個にキャラクターそのものを、すなわちアニメに具体的に表現されたのではなく、アニメ全体を通じて形成される登場人物などの名称、姿態、役割を総合した人格については、著作権法上、保護されないとする考えが主流です。

 

最高裁の「ポパイ事件」において、「具体的な漫画を離れ、右登場人物のいわゆるキャラクターをもって著作物ということはできない。けだし、キャラクターというものは、漫画の具体的的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象概念であって、具体的表現そのものではなく、それ自体が思想又は感情を創作的に表現したものということができないからである。」と判示され、キャラクター自体の著作物性を否定しています。

 

しかし、キャラクター自体の著作物性が否定されるからといってアニメのキャラクターが保護されないかといいますとそうではありません。アニメの著作権によってキャラクターも間接的に保護されます。

 

ここで問題となるのは、キャラクター自体が直接保護されるのであれば、問題とされる物がアニメのどのシーンで具体的に表現された登場人物のシーンを複製したものかを立証しなくても、名称、容姿、特徴等を含めた人物像が共通していることを立証すれば、著作権侵害が成立します。

 

一方、キャラクター自体ではなく、アニメが保護される場合は、著作権者が自己のアニメのどのシーンの衣装を真似したものであるかを特定できなければ、著作権侵害は成立しないこととなります。

 

しかし、先の「ポパイ事件」の最高裁判例では、キャラクター自体の著作物性を認めない立場であっても、ある漫画のキャラクターの特徴的な表現が実質的に類似しており、それを見たものが当該キャラクターを想起するような場合には、具体的な画面の特定をしなくとも、著作権侵害を認めています。

 

そのため、本事案においても、コスプレ衣装からキャラクターが想起される場合には、アニメのどのシーンの衣装なのかを著作権者が立証しなくても、アニメの著作権侵害となります。

 

ここに、著作権とは、複数の支分権の束をいいます(著作権法(以下「著」とします)21条~28条)。

本事案では、写真集の制作依頼者が、自らコスプレ衣装を無断で制作しているのであれば、依頼者は、アニメの著作権のうち、複製権(著21条)の侵害の対象となります。

コスプレ衣装が、アニメのキャラクターに「依拠」して、かつ、当該キャラクターと「類似」しているのであれば 、その衣装を制作する行為は複製となります。

 

なお、依頼者が私的に使用することを目的とする限りにおいては、複製権侵害となりません(著30条)。

 

しかし、例え、依頼者のコスプレ衣装を制作する行為が侵害ではなくても、質問者様が、コスプレ写真を撮影する行為は、アニメの著作権の複製権侵害となります。

 

すなわち、著作物であるアニメ(具体的にはキャラクター)を私的使用の目的で複製した依頼者のコスプレ衣装を、私的使用以外の目的で質問者様が写真を撮る(すなわち複製している(著2条1項15号))からです。著作物(アニメ)の複製物(コスプレ衣装)を複製(写真撮影)していることになります。

 

ここに、私的使用の目的といえるためには、使用する者自らが複製(本事案では写真撮影)する必要があり、本事案のように質問者様が使用するために、撮影するのではなく、依頼者が使用するために質問者様が写真を撮る場合は該当しません。

 

このため、質問者様の行為は複製権侵害(著21条)となります。

 

このことは、依頼者がコスプレ衣装を著作権者の許諾を得た販売者(小売店等)から購入したものであっても同様です。この場合、依頼者は自らコスプレ衣装を制作していないので、依頼者は著作権侵害とはなりませんが、質問者様は、私的使用の目的以外の目的で、著作物の複製物であるコスプレ衣装の写真を撮影(すなわち複製)しているからです。

 

以上により、著作権法上は侵害となりますが、写真を撮影する行為が、著作権者にどれほどの実害を与えるかは分かりませんので、実際に訴えられるか否かは何とも言えません。

 

 

 

質問者: 返答済み 4 年 前.
ご回答ありがとうございました。
一部こちらの説明が不足しておりましたので追記致します。

弊社では一切の撮影業務はしておらず、お客様個人が撮影したお写真から写真集の制作をしております。
通常はお誕生、七五三、成人式、結婚式、ご旅行等1冊からの個人用記念写真集を作っておりますが、
こういったケースは初めてでしたので質問させて頂きました。

今回仕上がりを見て増刷もお考えのようですので、写真集を個人で使用されるのか
こちらでは解りません。オーダーを受けて良いものなんでしょうか?

専門家:  patent777 返答済み 4 年 前.

質問者様が写真を撮るなどの複製をせずに写真集を制作するのであれば著作権の侵害とはなりません。

それは複製行為に当たらないからです。

 

しかし、質問者様自身が増刷までするのであれば複製権侵害になると思われます。

 

複製とは、「印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいいます。」(著2条1項15号)。

 

そのため、増刷するにあたって質問者様が何らかの方法で複製する行為が伴う場合には、法上の複製行為となるからです。

 

なお、質問者様の複製行為は私的使用の目的とはならないことは前回申しました通りです。

 

ただし、現実問題として、1回程度で、しかも個人的な写真集の制作によって著作権者がどれほどの損害を蒙るかといえば、ほとんど無いに等しいでしょう。感情的にも、大々的に宣伝広告をしているとか、インターネットで広告しているなどをしていなければ、著作権者が時間も労力もかかる訴訟を提起する可能性はあまり高くないのではないかと推測されますし、そもそも本事案の事実を知ることもないと思われます(なので増刷してもいいとはいえませんが)。

 

ただし、写真集の依頼主がその写真集を販売したりするなど、何か目立つ方法で使用されるようなことがあれば、問題となるおそれがあります。

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