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型紙の著作権についての質問です。 現在、ウズベキスタンのある団体と型紙(帽子)の著作権譲渡の契約を締結しようと

解決済みの質問:

型紙の著作権についての質問です。

現在、ウズベキスタンのある団体と型紙(帽子)の著作権譲渡の契約を締結しようと考えております。ウズベキスタン側では、型紙を利用してアトラス(ウズベキスタンの絹織物)で帽子を作成して製品化をする予定です。

一方、私ども日本側では型紙と同パターンで日本の織物で製品を作成して販売しようと考えております。

この場合、著作権譲渡契約書上に、何か特別な起債が必要になりますでしょうか。

池谷と申します。
投稿: 5 年 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
専門家:  patent777 返答済み 5 年 前.

知的財産権を専門に扱っている弁理士です。

 

質問者様(以下「甲」とします)が著作権及び著作者人格権を有しているものとしてご説明します。

 

まず、著作権をウズベキスタンの団体(以下「乙」とします)へ譲渡(著作権法(以下「著」とします)61条1項)しますと、譲渡人である甲は、著作権を有しないことになりますので、その後、甲は著作物たる型紙を使用することができなくなります。

 

著作権は独占排他的権利であり、例え、著作物の創作者であっても、著作権を有していない場合は、私的使用などの例外(著30条~48条)を除いて、譲渡した著作物を使用すると著作権者たる譲受人乙から著作権侵害として訴えられます。

 

契約後に甲ご自身も著作物を使用するのであれば、著作権の譲渡という形式ではなく、著作物の利用許諾契約という形式の方がいいように思われます(著63条)。

利用許諾であれば、乙の独占的な利用許諾ではなく甲も利用できる形の利用許諾にした方がいいと思われます。

 

以下、譲渡についてご説明します。

 

著作物を創作した著作者(本事案では甲)には、著作権の他に著作者人格権も発生します。

 

著作者人格権とは、著作権とは別個の権利であり、著作権が譲渡可能な財産権的性格を有するのに対し、著作者人格権はその名のとおり著作者の人格を保護するもので、人格権であるがゆえに著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができません(著59条)。例え、当事者間において著作者人格権を譲渡する旨の契約を締結しても、それは当事者間では有効であるとしても、著作権法上は、無効であり、著作者人格権は依然、著作者たる甲に帰属します。

 

そのため、著作者人格権の譲渡契約を締結した後の乙による型紙の使用に対して、甲は著作者人格権の侵害の訴えを提起できます。この場合、民法上は当事者間での契約は成立していますので、甲は乙に対して債務不履行の損害賠償責任を負うこととなります(民法415条)。

 

また、乙は第三者による著作者人格権の侵害に対しても、訴えを提起することができず、この場合も甲は乙に対して損害賠償責任を負うこととなります。

 

ここで、著作者人格権とは、公表権(著18条)、氏名表示権(著19条)、同一性保持権(著20条)を指します。

 

公表権とは、まだ公表されていない著作物を公衆に提供し、提示する権利をいいます。

 

氏名表示権とは、著作物の原作品に又は著作物の公衆への提供・提示の際に、その実名もしくは変名を著作者名として表示し又は表示しないこととする権利です。

 

同一性保持権とは、著作物及びその題号の同一性を保持する権利であり、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けない権利です。

 

次に、著作権とは、複数の支分権を束ねたものをいいます。すなわち、著作権は、複製権(著21条)、上演権及び演奏権(著22条)、上映権(著22条の2)、公衆送信権(著23条)、口述権(著24条)、展示権(著25条)、頒布権(著26条)、譲渡権(著26条の2)、貸与権(著26条の3)、翻訳権・翻案権等(著27条)及び二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(著28条)の各支分権を束ねた権利です。

 

これらの各支分権は、著作物の種類や利用態様によって、発生するものとしないものが生じます。本事案のように帽子を作成して販売するケースであれば、複製権、譲渡権、翻案権、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利あたりが関係してくると思われます。

 

複製とは、著作物たる帽子に依拠してそのまま同じく帽子を作成する場合をいいます。複製手段を問わず有形的に再製すれば複製となります(著2条1項15号)。

 

翻案とは、乙が自分より先に創作した甲の帽子に修正増減を施し、新たに創作性のある表現を付加しても、乙の創作した帽子が、甲の帽子(原著作物)に依拠し、かつ、原著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができる場合をいいます。そして、そのように翻案されたのであれば、乙の帽子は二次的著作物となります。

 

 すこし、ややこしい表現で理解し難いかもしれませんが、大雑把に言いますと、複製といえるほどには原著作物と近似していないが、全く別の著作物ともいえない著作物。あるいは、複製といえるほどではないが、それでもなお、二次的著作物から原著作物を直接想起させるほどに似ているといったようなものです。

 

二次的著作物の利用に関する原著作者の権利とは、乙が翻案により二次的著作物を制作した場合、乙がその二次的著作物に有する権利を、原著作物の著作者である甲も有するというものです。

そのため、乙が二次的著作物を利用する場合には、甲の承諾が必要となります。

 

次に譲渡契約についてご説明します。

 

上述しましたように、著作権は支分権の束ですので、著作権のうちどの支分権を譲渡するかを明示した方がいいかもしれません。

 

また、本事案のように乙が原著作物とは異なる素材で帽子を作成する場合には、変形・翻案に該当する可能性もありますので翻案権(著27条)及び二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(著28条)も譲渡の対象となるかもしれません。

 

なお、27条と28条の権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者(甲)に留保されたものと推定されます(著61条2項)。すなわち、27条と28条の権利に関しては、単に「すべての権利」とか「一切の権利」という表現では不十分ということです。

 

先に申しましたように著作者人格権は移転できませんので(著59条)、その代わりに不行使特約を結ぶことにより、債務不履行を免れることができます。

 

著作権は条約等により何らの要式を要せずに日本以外の国においても発生するため、外国における著作権も譲渡するのであれば、その旨を明示しておく必要があります。

 

なお、移転は登録しなくても当事者間(甲と乙)では、効力を有します。しかし、第三者に対抗するためには、登録が必要となるので(著77条1号)、第三者に対抗したいのであれば移転登録をする必要があります。

 

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