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パブリシティ権についての質問です。 私は小説を書いているのですが、その小説の中で主人公がピアノを弾くシーンがあり、実在した作曲家、外国のピアニスト(すでに亡くなった有名な方)の名

解決済みの質問:

パブリシティ権についての質問です。
私は小説を書いているのですが、その小説の中で主人公がピアノを弾くシーンがあり、実在した作曲家、外国のピアニスト(すでに亡くなった有名な方)の名前と 作品の解説、あるいはその方が残したCDのことについて実名を出して触れています。
あくまでもフィクションの話の流れの中で出てくるだけで、名誉を傷つけるような書き方をしてはいないつもりです。曲などの解説もたくさんの本やネット上ですでに書かれてある程度のものなのですが、何か問題になることはありますか?
書籍化の話をいただいており、気になっています。
投稿: 4 年 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
専門家:  patent777 返答済み 4 年 前.

知的財産権を専門に扱っている弁理士です。

 

まず、パブリシティ権とは、肖像権の一つ(他に「プライバシー権」があります)とされており、それを定めた特別の法律は存在せず、これまでの判例を積み重ねて認められてきた権利です。そういう意味では特許法や著作権法などの実定法上の権利である特許権や著作権などのような純然たる知的財産権とは異なります。

 

パブリシティ権が実定法上の権利でないため、その内容がどのようなものであるかについては、裁判例において「著名人の氏名、肖像等が持つ顧客吸引力について、当該著名人の獲得した名声、社会的評価、知名度等から生ずる独立した経済的利益ないし価値として把握し、当該著名人がかかる顧客吸引力の持つ経済的価値を排他的に支配する財産的権利」と判示されています(東高平3.9.26、東地平12.2.29)。

 

ようするにプライバシー権としての肖像権が自らの肖像を人にみだりに使用されないことを内容とするものであるのに対し、パブリシティ権としての肖像権は、自らの肖像に化体した「顧客吸引力」を利用して経済的利益を上げ、また第三者にそれを利用させて経済的利益を獲得するものです。

 

このようにパブリシティ権は財産的な性格を有しますが、実定法上の権利ではないため、その侵害の判断に当たっては、明確な基準は存在しておらず、従来の裁判例から推測するしかありません。

以下に従来の裁判例を示します。

 

1.主体→どのような人物がパブリシティ権を有するのか?

パブリシティ権は、上述しましたように「顧客吸引力」を利用して経済的な利益を上げるものですから、この「顧客吸引力」を持っている人物がパブリシティ権を有することになります。従来の判例では「パブリシティ権とは、歌手、タレント等の芸能人が、その 氏名、肖像から生ずる顧客吸引力のもつ経済的利益ないし価値に対して有する排他的財産権であると解される。このような権利が認められる根拠は、芸能人の特殊性、すなわち、大衆に広くその氏名、肖像等を知らしめて人気を博することにより、氏名、肖像自体に顧客吸引力を持たせ、それをコントロールすることによって経済的利益を得るという点にあると考えられるー土井晩翠事件~横浜地平4.6.4」として、詩人のパブリシティ権を否定したものがあります。

 

このため、本事案における作曲家やピアニストに顧客吸引力がなければ、そもそもパブリシティ権は存在しないこととなります。仮に、顧客吸引力があり、パブリシティ権を有するとした場合には、以下に述べる侵害判断が必要となります。

 

2.権利侵害の判断

従来の裁判例におきましては、次のような基準がしばしば見られます。「他人の氏名、肖像等を使用する目的、方法及び態様を全体的かつ客観的に考察して、右使用が他人の氏名、肖像等の持つ顧客吸引力に着目し、『専ら』その利用を目的とするであるかどうかにより判断すべき」という基準です。(中田英寿事件~東地平12.2.29、ブブカスペシャル7事件~東地平16.7.14、キング・クリムゾン事件~東高平11.2.24、ぺ・ヨンジュ事件~東地平22.10.21)

 

この基準は、「著名人の顧客吸引力にタダ乗りしている性質の商品であるか否か」という判断基準を示していると言えます。また『専ら』これを利用することを目的とするか否かの判断につきましては、程度の問題ですが、明文上の根拠もない財産的な権利であるパブリシティ権に、顧客吸引力の無断利用を理由として、言論や出版の制約を安易に認めるわけにはいかず、一般には安易に『専ら』と認定されることはないようです。

 

例えば、ブロマイドのような典型的な商品化のケースであれば、芸能人の顧客吸引力を専ら利用することを目的としているものであるといえるので、パブリシティ権の侵害と言えますが、ある芸能人等の氏名や肖像を掲載した書籍については、パブリシティ権を保護すべき要 請がある一方で、著者が有する表現の自由、言論の自由、出版の自由を確保する必要もあります。そのため、書籍出版に関する従来の裁判例においては、パブリシティ権の侵害を否定した判決が少なくありません(キング・クリムゾン、中田英寿事件、ピンクレディdeダイエット事件)。

 

本事案において、実在した作曲家や外国のピアニストが我が国において、どの程度、周知、著名であるのか、また、質問者様の小説の中でどのような描写で用いられているのか等によって侵害の判断が分かれるところですが、フィクションの話の流れの中のワンシーン程度で使用されている程度であれば、顧客吸引力を利用していると認められることはないと思われます。

 

なお、パブリシティ権が実定法上の権利ではないため、最近では、上述しました一般的な判断基準とは異なる裁判例も出ており、それは従来よりも緩やかな基準のものもあれば、厳しい基準のものもあります。ご参考までに以下にその裁判例を示します。

 

①緩やかな(侵害と認定されやすい)基準の裁判例

「著名な芸能人の有するパブリシティ権に対して、他の者が、当該芸能人に無断で、その顧客吸引力を表す肖像等を商業的な方法で利用する場合には、当該芸能人に対する不法行為を構成し、当該無断利用者は、そのパブリシティ権侵害の不法行為による損害賠償義務を負うと解するのが相当である。」

 

②厳しい(侵害と認定されにくい)基準の裁判例

「著名人が、このような情報発信が違法であるとして損害賠償請求ができるのは、著名人に関する肖像、氏名その他の情報の利用という事実のほかに、情報発信行為が名誉棄損、侮辱、不当なプライバシー侵害など民法709条に規定する不法行為上の違法行為に該当する場合、著名人のキャラクターを商品化したり広告に用いるなど、著名人のいわゆる人格権を侵害する場合をはじめとする何らかの『付加的要件』が必要であるというべきである→@BUBKA事件~東地平17.8.31」

この基準によれば、パブリシティ権の侵害が認められるためには、商品化、広告化という使用態様がなければならないことになり、その意味で従来より厳格な基準であるといえます。

質問者: 返答済み 4 年 前.

丁寧なご説明をありがとうございます。

今回のご相談の件では、ただ著名人の名前を出す、作品名を出すというだけじゃなくて、その顧客吸引力に『専ら』タダ乗りしているかという点、そして、名誉棄損、侮辱にあたるような記載かどうかが問題になってきそうですね。

小説の中では主人公がピアノを弾くシーンが数回あり、主にバッハ、モーツアルトなど誰でも知ってる作曲家の名前とその作品名、作品についての解説が書かれています。解説は批判的なものではなく、小説の中のワンシーンで使うだけなので、数百ページ中のほんの数ページにすぎません。

そのほか、ピアニストのグレン・グールドの生涯と彼の残した『バッハのゴールドベルク変奏曲』という名盤のことについても触れています。こちらもほんの数行程度の記載です。

CDの名前だけ出す分には、著作権に触れることはなかったですよね。

以上の点は、いただいた回答から考えて、特に心配しなくてもいいのかな、と思いました。

一つだけ気になる部分があるのですが、ある有名な作曲家について、『NY育ちの不良少年だった』と書いてあるのですが、こういうのも名誉毀損に当たりますか? 

わりと有名なエピソードなので大丈夫だと思っていたのですが、避けたほうが無難なのでしょうか。

専門家:  patent777 返答済み 4 年 前.

CDの名前、すなわち題号は、それ自体に創作性がある場合は、著作権法2条1項1号にいうところの著作物性が認められます。単に題号というだけの理由で著作物性が否定されるものではありません。

 

しかし、実際問題として、題号に「著作者の創造的選択」が認められることは稀であり、認められても思想・感情を表現したものといえるような例はほとんどありませんので、結局、題号に関しましては著作物となる場合はほとんどないと考えてもよいと思われます。

 

次に、名誉棄損が成立するためには「公然と事実を示して人の名誉を棄損した」ことが必要です。

ここで「名誉」とは、人の社会上の地位、または価値を指し、人の社会的評価の対象となるものは道徳、知能、技量、美醜、健康、身分、家柄などおよそ社会生活におけて尊重される一切の性質を含んでいます。

 

有名な作曲家について、『NY育ちの不良少年だった』との記載は、形式的には名誉棄損となるのでしょうが、歴史上の人物や著名人、成功者などについて、その生い立ちが貧しかった、素行が悪かったなどといったことがよく書籍等に記載されます。

 

このような記載はその人物の名誉を傷つけるために用いられるのではなく、そのような逆境から這い上がったというように、むしろその人物を讃えるために用いられるものであって、それによってその人物の名誉を棄損することにはならないでしょう。

 

小説の流れの中のどのような場面で記載されるのか、どのような意図をもって記載されるのか、読者にその記載がどのように受け止められるのか(名誉を害するように受け止められるのか否か)によって、判断がなされると思われます。

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