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patent777
patent777, 弁理士
カテゴリ: 特許・商標・著作権
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このたび、業務により、上司の命令によって、毎日上がってくるデータを月末に集計してグラフ化するシステムを、Excelの

解決済みの質問:

このたび、業務により、上司の命令によって、毎日上がってくるデータを月末に集計してグラフ化するシステムを、ExcelのVBAシステムを用いて自動化するシステムを作りました。そのシステムのみ(データは除く)を今後の自分の参考にしようと自宅のPCに記録すべくUSBメモリーに記録し持ち出そうとしたところ、上司から「 業務により作成したシステムは会社の所有に属する為持ち出しは不可」と注意を受けました。
それでは、業務により作ったものに関しては、一切個人に所属する知的財産は認められないのでしょうか。
また、業務上使用する為若しくは、会社にて自分が使う為に作成したものに関し、自分に属する知的財産(所有権)はどこまで認められるのでしょうか。今回の場合(Excel VBAを用いてつくったシステム)は、コードの部分(プログラムの部分)すらも、個人の知的財産権(所有権)は、認められないのでしょうか。
投稿: 4 年 前.
カテゴリ: 特許・商標・著作権
専門家:  patent777 返答済み 4 年 前.

知的財産権を専門に扱っている弁理士です。

発明には、職務発明、業務発明、自由発明というものがあります。

質問者様(以下「甲」とします)の発明が職務発明であれば、甲が出願をして特許権を取得した場合、会社(以下「乙」とします)には、貴方の許諾なく自動的に通常実施権(発明を使用できるライセンス)を取得できます(特許法35条1項)。

また、職務発明であれば、乙が予め「特許を受ける権利」や「特許権」などを乙に承継させる旨の契約、勤務規則、その他の定め(以下「予約承継の規定」という)がある場合には、乙は上記の権利を取得できるので、発明者である甲は権利を保留することができません。乙に権利が帰属します(特許法35条2項反対解釈)。

ただし、予約承継の規定がなければ、甲との交渉によらなければ、乙は権利を取得できず、甲に権利が帰属します(先にご説明した通常実施権は予約承継の規定がなくても乙に発生します)。

ここで、「職務発明」とは、①使用者等(会社など)の従業者等がした発明であること、② 発明が使用者等の業務範囲に属するものであること(例えば、電気製品の製造・販売を業務目的としている会社であれば、電気製品に関する発明は業務範囲に属しますが、医薬品や食品に関する発明は業務範囲に属しません。)、③発明が使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属するものであること(甲のポストや職務内容から判断して発明をすることが当然に予定され又は期待されている場合)。の三つの条件を全て満たすのであれば、「職務発明」に該当します(特許法35条1項)。

ちなみに、「業務発明」とは、前記の①と②のみを満たした発明を言い、「自由発明」とは①のみを満たした発明を言います。

したがいまして、甲の発明が「業務発明」や「自由発明」であれば、乙は、甲の許可なく、出願したり、使用したりできず、当然、上記通常実施権は発生せず、権利も承継できません。権利は甲に帰属(保留)します。

また、「特許を受ける権利」とは、発明者である甲が発明を完成させた時点から特許権が発生するまでの期間に発生する権利のことを言い、この「特許を受ける権利」を有する者だけが、出願することができ、かつ、特許権を取得することができます(特許法29条1項柱書き、同法49条7号)。

結論を言いますと、甲の発明が職務発明の場合、乙に予約承継の規定があれば、「特許を受ける権利」や「特許権」などは乙に帰属し、当該規定がなければ、乙は通常実施権のみ取得し、「特許を受ける権利」や「特許権」は甲に帰属(保留)されます。

したがいまして、会社の予約承継の規定の存在とその内容を確認することをお勧めします。

以上

質問者: 返答済み 4 年 前.

この度は、迅速な御回答ありがとうございます。

先生の御回答が抽象的で分かりづらいので、私の具体例で申しますと、

日毎紙ベースで上がってくるデータにつき、週ごとに纏めエクセルの表のシートに記述します。

新たな週になると、「更新」ボタンをクリックすると、前の週に記述したシートをコピーし、データの部分が削除されたシート(自動的に「第~週」とシート名も変更されます)が表示されます。更に最終週は、「更新」ボタンをクリックすると、予めSUM関数を用いて作成してある「集計シートひな形」をコピーし、週ごとに作成したデータシート必要な部分のみが「集計シート」にコピーされる。

といったシステムをExcelのVBAを用いて、上司の命令の元に作成しましたが、以前申しましたとおり、上司より注意を受けました。

 

労働契約及び勤務規則若しくはその他の定めにつき、予約承継の規定は有りません。

 

表の内容(システム)は、業務の範囲に属します。

 

また、Excelに元々あるプログラム言語をも用いて作成したもの(但し、エクセルに相当詳しい人でないと使えないが、参考書及びマニュアルは、一般の書店にて販売してある)であるため、

「特許出願」するまでのものではないので、「発明」とまでは言えないと思います。

 

よって、上記により、作成したものは、どこまでが(ソースコードのみが)自己の所有(知的財産)

に属し、どこからが、会社の所有に属するのでしょうか。

専門家:  patent777 返答済み 4 年 前.

返信内容を読む限り、質問者様のおっしゃる通り、このシステムは自然法則を利用した技術的思想とはいえず、発明には該当しません。したがいまして、特許法の問題とはなりません。

 

このシステムはプログラムの著作物となり(著作権法10条1項9号)、著作権法の問題となります。

 

直接オブジェクト・プログラムを作成した場合はそれ自体が著作物となりますが、まずソース・プログラムを作成し、それがコンパイラーで変換されてオブジェクト・プログラムを作成した場合は、ソース・プログラムが著作物となり、オブジェクト・プログラムはソース・プログラムの複製物ということになります。

 

著作者人格権と著作権(以下「著作権等」とします)は、著作者に帰属します(著作権法17条1項)。

著作者とは、著作物を創作した者です(同法2条1項2号)。

そして、著作権等はいかなる手続きをしなくても創作の完成と同時に自動的に創作者すなわち著作者に発生します(同法17条2項)。

 

したがいまして、原則として著作権等は創作者である甲に発生することとなります。

 

しかし、このプログラムの著作物が職務著作物に該当する場合には著作者は会社となり、著作権等は会社に帰属します(同法15条2項)。

 

職務著作物となるのは、以下の3要件を全て満たす場合です。

①法人等の発意に基づき作成されたものであること

②法人等の業務に従事する者が職務上作成するものであること

③作成時に契約、勤務規則その他に別段の定めがないこと

 

結論から申しまして、質問者様が作成されたプログラムは職務著作物に該当するものと思われます。

 

まず、上司の命令により、本システムを制作しているので①の要件を満たし、質問者様は従業員であり、自己の職務として本システムを作成しているため②の要件も満たし、また、プログラムの作成時に契約や勤務規則等で法人以外の者を著作者とする定めがないようですので③の要件も満たし、職務著作物になると思われます。

 

したがいまして、本件プログラムの著作者は会社ということとなり、会社に著作者人格権と著作権が帰属します。

 

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